それは本当に正しいのか。
最近は、目まぐるしく変わっていく現代の進歩に対して、人々はその悪い面を無視して、または、それを知らないまま効率や結果に目を光らせ、仕方なく受け入れていく風潮があると考えています。そこで、新たな視点を与えられたらと思い、久々の投稿に至りました。
私は大学で、教員になるための教職課程をとっていて、これまで教員になるために必要な知識や教養を身につけてきた。その中で学んだことの一つに、最近の学校教育は、従来の教育(知識の暗記学習のような学習)を見直し、「主体的で対話的な深い学び」を実現する授業の必要性が高まっているということがある。これは、ロボットなどの科学の進歩に並行して、今後社会でより人らしく活躍できる人材を育てるためにできた試みだ。
これを初めて知った時、私は、この教育の進歩、改善に対して、これからよりよい教育になっていくのだと、今後の学校教育に強い期待を抱いた。悪い面など何も見えなかった。
しかし、ある日新聞をみていると、私が大学で学んできた、あの潔白な「主体的で対話的な深い学び」に対する批判の声を目にした。
それは、この学びが多く実践されることで、それができない人が苦しんでいくのではないか。と言う批判である。主体的、対話的な深い学びについていけない人が周りと自分を比べて劣等感を抱き落ちていく、そんなことが書かれていた。
これをみて、私自身の大学での学びを振り返った時に私自身もある種の息苦しさを授業の際に感じていたのを思い出した。大学の授業の先生は、受講生たちが将来「主体的対話的な深い学び」を提供できる先生になってほしいと言う思いから、私たちにもその深い学びができる授業をしてくれていた。その際に、私自身苦しんだのだ。なぜならそれまで小中高と、大半は知識の暗記学習のような学習をしてきた私にとって、自分で考えを膨らませて、それを皆と共有し、また深く考えを巡らせる。といったような授業を経験したことがなかったからである。社会に出た時に必要になるから、と先生が言っていた傍らで1人、必死にくらいつくも、慣れずに息苦しさを感じていたのを思い出した。
そして今日ツイッターをみていると、#発達障害がトレンド入りしており、ある投稿が目に入った。それは、社会の健常者の寛容範囲が狭くなるにつれて、障害者が増えていっている。というようなツイートである。これをみたときに、自分の中でこれまでの大学での学びと、新聞での批判とこの投稿が一直線に並び、自分の考えが整理された。
社会は、科学などの進歩が進む一方で、人に対する期待が上がり、暗記以外のロボットにない能力をより人に求めるようになった。その延長で今の子供たちが社会でより人らしい活躍ができるようにと「主体的対話的な深い学び」の需要も高まった。しかし、その反面で、それは人間の定義を狭めていると感じた。ただ知識を暗記するだけでなく、主体的に学び、人と滑らかなコミュニケーションをとり、深く考えることができる人。人間はこうでなくてはいけないという範囲が狭まり、それからはみでる人を苦しませる危険性があるのだ。
これを経て、あの”深い学び”が絶対的にいいものだという考えはなくなった。
しかし、完全に「主体的、対話的な深い学び」に対して悲観的になっているわけではない。
わたしが考えたことは、深い学びについていけない人たちに手を差し伸べられるような人材を、深い学びを通して育てていく事である。
人はこうでなくてはいけない、という狭い価値観を広げていくのではなく、多様性に寛容な人材を育てていくことがなにより大事だと考えた。
私は将来教師になるかはまだわからないけれど、もし誰かを教育する立場になるのなら、多様性に目を向け、困っている人に手を差し伸べられる人を育てていきたい、と強く思った。
そして、今教育関係の場で働いている人やそれ以外の人に、人という定義が狭まっている今だからこそ、伝えたいこと、それは、’みんな同じ人間’であるということである。
今回のことを通して、世の中の移り変わりが目まぐるしい中で、人々は、新しく出てくるものに対して悪い面を見る視点が失われていると感じた。私自身も、深い学びに対して新聞の記事をみるまではその悪い面に気づかなかった。無理にでも新しい学習についていこうとして神経さえすり減らしていた。そして、これから必要なことは、変化に対して悪い面を理解しつつもそれを起こさないよう工夫することである。今回の”深い学び”に関して言えば、人の定義を狭めないように、’みんな同じ人’なのだと考えられる人材を育てていくことが必要であると私は考えた。
日常で当然のように取り入れられているものに対して、その悪い面にも目を向ける。目を向けたら、それぞれが、その悪い面をどう表出させないように工夫できるか深く考える。こういうことこそ、今の時代に必要なことだと私は思う。
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