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プリンセスだからお城に住む

朝、ベッドから見える山積みの段ボールを眺めながら後3日で約6年間の一人暮らしが幕を閉じることを思い出す
ベッドやテレビ、冷蔵庫などの大型家財は業者さんが梱包を行うため、当日まで生活の風景を残す
段ボールは日に日に増えていくのに、まだまだふかふかのベッドで寝ているからなのか、一向に実感が湧かない

一人暮らしは割と好きだった
誰にも干渉されない自由に時が流れる空間は、門限が厳しかった私にとって初めて与えられたお城だった
無性に泣きたい時は思いっきり泣いて、真顔になれないぐらい嬉しいことがあった時は音楽を流して踊った

朝方の4時に帰っても怒られないし、お風呂に入らないで寝ても何も言われない
掃除だって洗濯だってやる気が出るまで放置していい
全て自由で自分次第だからこそ、自分のお城は自分で作らなきゃと思い、ほどほどに家事をし、ほどほどに健康的な生活を送った

誰かと住んだら、いつ思いっきり泣けばいいの
踊りたい時は一緒に踊ってもらおうかな
「自分のお城だから」というより「誰かといるから」という理由で義務感のように家事をして、入るまで足が重いお風呂に入るようになるかもしれないな

大好きな人がいる暖かさとその日の出来事をタイムリーで共有できる楽しさは、たくさんの新しい景色を見せてくれるだろう

不安と期待が拮抗する夜に、またふかふかのベッドで眠りにつく
新しいお家もわたしのお城になるといいな

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