忘れなくてもいいや
暑いからなのか、苦しかったからなのか
何もできずにただ天井と風に揺られるカーテンを見ていたあの夏を私はいつ忘れられるだろうか
季節外れのリクルートスーツを着て、朝の電車に乗りたいと思いながら昼間の電車に乗っていたあの夏を私はいつ忘れられるだろうか
多分ずっと忘れられないだろうな
あの日があったから今の自分があるなんて言いたくない、溺れて息ができない日なんてない方がいい
それでも、あの時、誰かが伸ばしてくれた手を掴み、誰かが引っ張ってくる足に絡みついたその手を振り切った私をそっと抱きしめたい
「苦しいね、頑張ってるね」
そう言ってそばにいたい
あの時の私は、かわいそうなんかじゃなかった
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