見出し画像

心淋し川(西條奈加)/コーヒーが冷めないうちに(川口俊和) 感想

知人に借りた本の読書大会中です。
今休みを取っていまして、その間に読み切りたい次第であります。
ちなみに残り3冊です(終わるかな~?)
では早速感想を。

心淋し川(西條奈加)

実はわたくしこれまで時代小説に縁がなく、多分この本を貸してもらわなければ一生読むことはなかったでしょう。
そして感想を一言でいうと「面白かった」です。
後でWikiを調べたのですが、第164回直木賞受賞作のようですね。

私は大体作家さんで本を選ぶため、東野圭吾・有川浩・伊坂幸太郎などの超有名著者(しかもけっこう皆さん新刊を出される……)ばかりに偏向しがちなのです。

このように人に本を借りるきっかけがなければ、前にレビューした「元カレの遺言状」や「流浪の月」も読んでいなかっただろうな。

さて、時代小説に縁のない私ですので、正直読み始めはとても読みにくいなぁと思いました。
江戸に詳しくなんかないのでね。
私、英国贔屓(つまりはヨーロッパ史激推し)に反比例するように日本史には全く興味がなく、特に江戸幕府?徳川家康くらいしかわからんわwってなレベルです。
「うた恋い。」という漫画が好きなので唯一平安時代が好きかなぁといったところ。
しかしね、読み進めていくうちにさすが直木賞受賞作、とは思わせられました。
私のような時代小説初心者でも多分数ページ読めば引き込まれると思いますので是非手に取ってみてほしい。

あらすじ

短編が全六話。
すべて主人公が変わりますが、場所は同じところ「心町(うらまち)」を舞台にしています。若干群像劇的になっていて、最後の話だけはそれぞれの話の脇役で出てきた差配が主人公になり、少しだけつながる構成。

①心淋し川:本のタイトルにもなっている小話。貧しい娘がいいところの男と恋仲になるが男が京に仕事に出ることを決める。二人は好きあっていたが、この男はあきらめ、以前から見染めてくれた手代とくっつく。

②閨仏(ねやぼとけ):4人の妾が住む長屋の話。夫が死んでしまったので食い扶持がなくなるが、夜の道具に仏の顔を掘って金を工面していく話。

③はじめましょ:四紋屋という食堂を引き継いだ男が、子供を身ごもったことが原因で喧嘩別れした元彼女が引き取った養子とであい、復縁する。

④冬虫夏草:薬屋の大女将だったが家が凋落し心町に引っ越してきた母息子。もらった金持ちの嫁に息子を取られた母が、息子が下半身不随になったことを理由に囲う話。

⑤明けぬ里:遊郭一の美女と、運よく遊郭を上がれた主人公が再会する話。主人公は顔もよくないが贔屓の客が見請け人になってくれ好いた男とくっついた。しかし遊郭一の美女は買われた男の召使が好きで、子供を身ごもった音をきっかけに心中する。

⑥灰の男:①~⑥に出てくる心町の差配が主人公。息子を殺された盗賊を追って心町に来ていた。実は心町にいるボケた嶺爺がその盗賊だったが、一瞬我に返った彼が「息子の仇」と叫び、お互いの境地が同じことに気づく。

感想

あらすじに書きましたが、どの話も一ひねりあってね。やはり文学とはこうではないと、という手本のような短編集でした。

①好きな男と一緒になれなかったけど自分を見てくれる人と結婚できた
②夫は死んでしまったが自分の才に気づき妾3人を養っていけそうだ。
③本当の子供は流産してしまったが、ずっと後悔していた別れた彼女との家族になれた。
家は凋落したが唯一大切な息子を囲うことができる。
⑤遊郭一の美人ではなかったし暮らしは貧しいが、結婚もして子供も身ごもった自分と心中してしまった彼女。(どちらが幸せだったか?
⑥お互いに息子を殺された身。果たして悪いのはどちらか。

このようなひとつ、問いかけのある作品が私は好きですね。
ただ、時代小説を読んだことがない私には「差配」などの昔の文化(役職なのかな?)やそれに倣った言葉などがよくわからず初めの方読むときは読みづらいと感じてしまいました。内容が頭に入ってこなくて……。
だいたい雰囲気がわかってきたらあとはすらすらと読めたので、初めを我慢すればなんとかいけるんではないかと。
文章自体はとても読みやすく、物語もさることながら、このあたりも、さすが直木賞受賞作だなぁといったところ。

おすすめです!

コーヒーが冷めないうちに(川口俊和)

対してこちらの作品は正直全く面白くないので読まなくていいです。以上!

あらすじと感想だけ軽くメモっておきます。

あらすじ:色々条件あるけど過去に戻れるコーヒー屋さんに過去に戻りたい客がつぎつぎ訪れる話。

感想:登場人物が多いわりに深堀されず名前と人物が一致しない。(登場人物を多く出す話だとキャラを立たせないと話にならないと思うんだが)
物語も何の問いかけもなくただ過去に戻りたい人が来て問題解決して帰っていくだけ。「ふーん」で終わる。文章にも魅力ない。〇〇した。〇〇いった。の繰り返し。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?