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BANANA FISH 感想 6巻 シン・ユーシス・英二とアッシュの関係性について

私の一押し缶ビールはグリーンラベルです。あんまりお酒強くないのでアッサリ目なので好きです。酒好きの元カレが家飲みではこれしか買わなかったので一緒に飲んでたら癖になりました。懐かしい思い出。

さて4分の1終わって、次は6巻の感想にいきましょうか……。だんだん気が重くなっていく。

そうそう、BANANA FISHって10巻超えたあたりからあんまり読みたくなくなるんだよね。辛くて、もう読みたくないって思うんだよね。すごいよね……。こんな漫画いまだにBANANA FISHしか出会ってないよ。

6巻のストーリー

ショーターに英二を殺させようとするドースン(弟) → アッシュが英二を守りショーターを殺す → ゴルツィネ外出・ユーシス逃げる → シン・アレックス隊突入 → 混乱に乗じてアッシュ逃げる → アッシュ、伊部さん・マックス・英二も逃がす → アッシュ、ドースン(弟)殺す → シン、ショーターを殺したアッシュに挑み負ける → シンとユーシス合流 → 伊部さん・マックスはチャーリー警部(とショーター姉)の家へ → アッシュ(と英二)はアレックス達と合流

盛りだくさん過ぎる……こりゃ長くなりそうだ……。

アッシュの涙

6巻でもアッシュは涙します。結構序盤から泣いています。まぁ、展開が展開だからね……。

BANANA FISHを打たれ、英二を殺しそうになってしまったショーターがアッシュに懇願するシーン。

「オレ…を殺して…くれ…オレは…もう……だめ…だ…解放…してくれ……自由に……苦しい……」(BANANA FISH 6巻より)

このセリフを聞いたアッシュは涙を流しています。そして英二にナイフで襲い掛かるショーターに「NO!!」と言って泣く。その時拘束していた鎖をオーサーが緩め、アーサーは迷わずショーターを射殺します。この後アッシュは自分の両手を見つめ、震えています。

残酷なほど聡明な判断力……5巻感想の最後で書いたアッシュは恐ろしいほど聡明な「自分自身が怖いのではないか?」という私の考察もあながち間違っていないのではないでしょうか?

アッシュは確かに正しい。だって、ショーターは苦しみ、死にたがっていたし、躊躇っていては英二が死んでいた。だけど、人間正しい判断を瞬時にできるかというと、凡人はそうじゃあないんですよね。殺したくないって心理が、判断を揺るがすんです。でもアッシュは違う。的確に瞬時に判断し、実行できる。正しくプログラミングされたロボットのように。それはすごいことだけど、アッシュは自分自身が人間らしくなくて、怖いのかもね。

死んだショーターはドースン(弟)とスタッフに脳を解剖するため連れていかれます。それを泣いてみているしかないアッシュ……。号泣……。

そしてオーサーは英二も同じようにBANANA FISHで洗脳し、アッシュを殺すよう暗示をかけると言います。するとアッシュは、また涙を流し

「オレを殺してくれ………頼むから……」(BANANA FISH 6巻より)

と言います。絶対に生き延びてゴルツィネに仕返ししてやると言っていたアッシュが、泣きながら殺してくれというんですよ。それほどまでに親友だったショーターを殺してしまったことはアッシュにとって深い、深い傷になったわけです。

その後6巻後半になって、解剖されたショーターを見て、アッシュは泣き崩れます。

これで6巻の泣くシーンは終わり。アッシュが泣くときはいつも誰か大切な人が死んだときですね。しかもけっこう号泣する。

アッシュは解剖されたショーターをみて泣き叫んだあと、ドースンをマシンガンで連射して殺します。この時もまだ涙を流しているんだけど、シンがそのアッシュを見つけた時、もう涙は流れていない。これがシンとアッシュの出会いのシーンです。

シンとアッシュ

シンはショーターを殺したアッシュに勝負を挑みます。私はこの恐れずリーダーとしてアッシュに立ち向かうシンのシーンが結構好きです。アッシュが号泣していたときすごい暗いんだけど、シンがアッシュに挑むと何となくポップな感じになるというか(ごめんねシン)

アッシュは「10年早い」と言いあっさりシンの「飛竜牙」を躱して負かせます。「殺せよ」といさぎの良いシン、かっこいいですよね~。でもアッシュは殺さない。

「おまえにはまだそんな資格はない」(BANANA FISH 6巻より)

と言います。これは、言い換えれば、リーダーとしてシンを認めていないってことだと私は思ってます。だからシンの言っていた

「あんたがほんとうにショーターを殺したのなら―――あんたを許すわけにはいかない ”友人を裏切るものには死の償いを” これはボスとしてオレの最初の仕事というわけだ」(BANANA FISH 6巻より)

「ボス同士の勝負」とシンは言いますが、アッシュはそう思っていない。だから殺さず去ったんだろうなー。

でもちゃんと殺される覚悟をもって、アッシュに挑んで「殺せよ」と言ったシンは、ボスの素質アリだと思うよ。アッシュがいなければ、シンは作中一番優秀だと思っています。でもアッシュがいたことが大きいんだよね。アッシュは自分の前に誰もいないけど、シンはアッシュがいつも前にいるんだもんね。1番と2番って実は0と100くらい違うよね。

私はアッシュとシンは似た者同士だと思うけど……環境が違うから違った成長をしたと思う。私はシンがすごいと思うのは、目の前にエベレストみたいな高い山(アッシュ)がいるのに、諦めないで切磋琢磨していく向上心。アッシュなんかいたらさ、みんな大体崇拝者になるんだよ。でもシンはチャイニーズのボスとしてアッシュの子分ではなく、ボス同士だという立場を常にこれからも守って接していくよね。それは自分についてきてくれているチャイニーズの仲間たちのために、ボスとして絶対に守らなければならない姿勢だから。しかも陰ではアッシュにかなわない事実はきちんと認めて、努力もしている。もーーーーーーーめーーーーーーっちゃすき!

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ここの「…ったくおっかねぇ兄ちゃんだぜ」とか、ちょっと(かわいい感じに)口悪いの好きです。ポップじゃない??

ユーシスとアッシュ

話は前後しますが、ユーシスがアッシュの手錠の鍵を渡しに行くシーンの会話がとっても重要なので書きます。

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「君は愛する者に対する攻撃にはほんとに弱い人だね……自分自身に加えられる攻撃には信じられないほど強いのに」(BANANA FISH 6巻より)

ハイこのセリフ。これがユーシスのアッシュに対する感情のすべてですね。本当に吉田先生すげえよ。ユーシスはアッシュに自分を重ねている。自分と似て顔が美しいだけの不幸な生い立ちのアッシュを。で、多分だけどアッシュは肉体的にも精神的にもユーシスより上。ユーシスは多分自分にもう少し能力があればアッシュになれたと思っている。つまり、アッシュを認め尊敬している。(ここまでシンと一緒)で、そのアッシュは自分の為でなく他人のために一生懸命になるのが許せない。(ちなみにシンは尊敬するアッシュを目標に自分を磨いた。ここが違う)

かる~く代弁すると「僕がその能力があれば絶対に自分自身のために使うのに、なんで今までさんざん蔑まれてきたのに、君は人のために自分の素晴らしい能力を使うんだ!?僕の理想のアッシュであってくれよ!」って感じ。つまりユーシスはアッシュの崇拝者なんだよねぇ~。信者なのよ。自分しか理解していないはずのイエス・キリストという神聖な存在であるので、理解できないクズどもには情けの心を使ってほしくないわけ。まさにマグダラのマリア。イエス様、私だけがこんなに働いている(分かってあげられる)んですよ。なぜ妹に構うの!ってやつですわ。

しかしイエス様は常に平等だし、何ならユーシスはアッシュに嫌われてるからねぇ。だってアッシュはゴルツィネに散々操り人形にされかけて、それを一番嫌ってるじゃん。どうして同じ立場のユーシス、お前にアッシュが一番嫌がることが分からない。アッシュは誰かに自分の勝手な虚像みたいなの作られて崇拝されるの一番嫌うでしょ。しかもその妄想された像と違うことしたら激おこぷんぷん丸で襲ってくるんだから相当立ち悪い信者だわ。こわー。

あ、私ユーシス大っ嫌いなので、かなり辛辣ですがお気になさらず。マジでアッシュはこいつのせいで追い詰められたんだからな。容赦せんぞ。

好きなセリフ

6巻で私が好きなのはこちら!

アッシュがマックス(と伊部さん)を武器庫に連れて行った時のやりとり。

「銃器はあつかえるか おっさん」「ベトナム帰還兵にいうセリフかよ?」(BANANA FISH 6巻より)

マックスもかなり戦闘要員ですよね!二人の会話アメリカンジョーク(皮肉)たっぷりで大好きです。

英二を救いに行くアッシュ

あ~~ここも重要すぎる~~。なんなんだ6巻まじで重要なシーン詰め込みすぎ怖いよ~~。

まず、冷静すぎるアッシュが恐ろしいここ。

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おんなじ話になるから何回も言わないけど、感情ないのかってくらい割り切っているアッシュは本当に、強いね。ショーターが死んだことをきちんと理解して、今はそんなことよりも英二を守り抜くことが一番優先順位が高いと判断している。こりゃロボットでもアッシュには勝てねぇわ。

さらに、英二とアッシュの関係性が変わっていく重要なシーンですよね。ここ!

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「人殺しは オレひとりでたくさんだ おまえはオレが守る オレのそばから離れるな!」(BANANA FISH 6巻より)

おいおい自分の身は守れ(3巻)と言って銃を渡してたよね。

「日本人てのはマゾじゃねぇのか 何でも自分のせいにしたがるんだな わかったよ 好きにしろよ めんどくせぇやつだな」「ほんとかい?じゃいっしょにいて いいんだね」「そのかわり 自分の身は自分で守れよ 足手まといはゴメンだからな!おまえオレより年上なんだろ?」(BANANA FISH 3巻より)

3巻感想ですでに書いているので引用いたします。気になる人は読んでくださいな~。

このときアッシュは自分の身を自分で守れと英二に言う。でも未来、アッシュはもう英二に銃を持たせたくないって言う。3巻のアッシュは、1人で生きてきたから、1人でどうにかできないことが弱いって思っていそう。だから英二にも銃を渡し強さを求める。でも、人それぞれ強みと弱み、やれることとやれないことがあるって、英二との人間関係を通して気づくんじゃないかな?だから銃を持たない英二のことを侮らなくなる。そして甘えられるようにもなる。でもそれはもっと後の話で……。3巻でまだ浅い2人の関係と、まだ幼いアッシュがよく表されているのが、このセリフのやりとりだと思います。3巻感想より引用)

アッシュはさ、ショーターが英二を殺そうとしたのを見ていたよね。そして苦しんでいるのも見た。だから、英二を守り、ショーターを救うためにショーターを殺した。どれがどんなにつらい思いなのかわかるのは、ショーターを殺したアッシュだけ。同じ思いを英二にさせたくない。そういう意味での「守る」でもあると思う。

アッシュは苦境に立つたび成長しているのが良く分かる。ショーターを殺したというきっかけがエグすぎるけど。

まだ英二に甘えるまではいっていないけど、確実に成長はしているよね。アッシュ自身も、二人の関係も。

BANANA FISHの中でも3本の指に入る屈指の名シーン

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「…オレが怖いか?」「まさか!」(BANANA FISH 6巻より)

もう私の感想なんて蛇足以下のゴミでしかない。ここに解説まがいの感想書いたらすべてが台無しとすら思う。この英二のセリフ、表情にアッシュがどれだけ救われたかと思うと、涙腺が緩くなる。

まず、BANANA FISHを読み返して一番初めに読者が涙するのはこのシーンじゃないかと思うんだ。初見だとこのやり取りでは泣かないんですよ。今後の二人の関係を踏まえてこのシーンを読むから、泣くんです。

自分ですら恐れる自分自身を怖くないのは英二だけ。アッシュが英二を崇拝しても仕方ないよな。

最終話にむけた伏線

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「君と同じ気持ちだからだよ… アッシュ」「君まで失うことになりたくないよ そんなことになったら――ぼくはきっと狂っちまう」(BANANA FISH 6巻より)

このシーンで英二はアッシュと同じくショーターを思う。ショーターを失った辛さはアッシュが死ぬことになる辛さと同じと英二は言う。そしてハッとしたようなアッシュの表情。そんな風に言ってくれる人が、今までアッシュにはいなかったんだろうね。きっとこの複雑な表情は(死んで引き合いに出されたショーターには悪いが)英二の台詞に感動してるんじゃないかなと思う。

私はこちらの記事にかかれていたのを読んでやっと納得できたことがあります。素晴らしい感想なのでぜひ。。。

自分の死を悟っていたとして、それで英二が悲しむことは承知の上だったのだろうか。自分が死んだら英二がどう思うか、アッシュはたぶん分かってたと思う。自分のことを信じてくれている英二の気持ちが伝わったから、それに甘えて死んでいくことを選んだんじゃないかな。(上記記事より)

もうね、ストン、って納得したんですよ。

ああそっかってね。

アッシュは分かってて英二に甘えて死んだんだって。6巻の時点ですでに「狂う」っていうくらいなんだから、死んだら英二が悲しむことなんかアッシュは分かるはずだ。

でも、アッシュがいなくても英二は「狂っちまう」ことがないと信じて安らかに眠れるくらい、19巻で二人のきずなは深まっていたんだ。信頼し合っていたんだって。

あ、だめだ、泣きそう……。だ、だからこのシーンは最終話への伏線だと思う。まだまだ二人のきずなは30%くらいってとこかな!

「2時間経ったら起こせよ!」から始まる新婚生活

というわけでメジャーリーグ復帰したアッシュ・リンクスですが。(NYに戻ったことをメジャーリーグ復帰っていい方、センスあるよね。あ、6巻からの引用です)

ついに、英二とのラブラブ期が訪れますね!!わーい!!しばらく英二と新婚さんいらっしゃい状態になるし、オーサーへの反撃にもでる!

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読者もウハウハ~スッキリ~イケイケ~とまるで野球観戦のようなテンションMAXの7巻に続きます!

みてよこのボスのアッシュ!!かっこよすぎる!!早口でよどみなく命令するシーンみてくれ!!これが俺の嫁だわさ!!

(あと7巻から役者もそろってめちゃくちゃ面白くなるから、BANANA FISHは導入が6巻までだと思ってるよ。次回もお楽しみに!)

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