スキップとローファー 第三巻 おすすめ場面 名作漫画とはどういうことか解説します
ゴールデンウィークが!!
私のゴールデンウィークが終わってしまった!!そしてもう直ぐ2023年も、半年が過ぎてしまうのに体重-3kg目標が+3kgなんだけどえっ…怖…。
まあ、気を取り直して。
「スキップとローファー」マイブームは続いています!
そうそう、4月からアニメ化もされてるし、どんなに大々的に本屋に平積みされているんだろうと、のぞいてみたんですね。
わたしは電子書籍を購入しているのですが(1Kマンションだと本棚問題があってね…)こう何回も読み返していると紙も欲しくなってね…。電子書籍は電子書籍でいいんだけど、紙も細かい書き込みが見れたり、読み返しやすくていいんだよね。マジで買おうかなとか思ってる正直…。好き過ぎて貢ぎたいんだ。
そしたらですね、全然見当たらないんですよ!本屋で!
推しの子、ブルーロック、鬼滅の刃……
あれあれ?私の“推しの子”は???(うまいこと言ったつもり)
アフタヌーンコミックがマイナーなのはわかっとるけど「おおきく振りかぶって」だってアフタヌーンだし、かつてアニメ化されたときは平積みされてたよ!?あ、そうか、人気すぎて売り切れてるのかな?
しかし普通に講談社コミックの棚に1〜8巻が置いてあるだけでした。
ええーもっと推してよここの本屋センスねーなー!!
こんな神作品がメディア化もしているのにするーされていいわけないじゃん〜〜悔しい〜〜!!
なので私ができる限り宣伝していくわ。アリンコみたいな影響力しかない私ですが千里の道も一歩からです!
スキップとローファーおすすめ場面第三巻!いっきまーす!
兼近先輩が高嶺先輩を励ますシーン
兼近先輩推しとして、第3巻にこのシーンをあげないわけにはいかない。というよりもこのScene.12の1話としての完成度、非常に高いんですよねぇ。
一年から生徒会に関わり、生徒会長になるためにずっと真面目に努力してきた高嶺先輩ですが、ぽっと出のサッカー部の人気者・風上先輩にその座をあっさり奪われてしまぃす。
うまいなぁ、と私を唸らせた理由はね。
こういうことって、人生で往々にしてあるんですよね。
一番努力したから、一番結果が得られるわけではないのです。高嶺先輩って真面目で努力家なんだけど、要領が悪いんですね。
私は努力は実る派だし、自分の人生においては、努力した分の結果を得てきました。それは私がそれなりに要領が良くて、実る努力しかしないからです。これは頑張っても先がないな、というのを努力する前にやめるか、初めから結果を期待しないという割り切りをするわけです。
努力っていうのは、しんどいことをする必要があります。リスクの見積もりは重要です。私は損をしたくないので、最低限のリスクで最低限のリターンを得たいのですね。
そして、高嶺先輩の努力が実らないのは、このリスク見積もりが甘いから。
努力は実らないこともあるんだぜ…なんていうやつは要領が悪いだけだと私は思っています。
がむしゃらに頑張るのではなくPlan Do Check Actionなのですよ。結局ね!そして目標なしの努力で得られるものは少ない。経験が得られる?違いますよ。目標を達成するための努力値見積もりがあって失敗するから、経験値が得られるんです。何も考えず努力値振って失敗したところで何の経験値も得られません。
で、高峰先輩はこの目標値を達成するための努力値配分がいまいちだったために、ぽっと出の人気者にあっさりと生徒会長の座を奪われます。
私はあまりないけれど、こういう失敗経験をしたことがある人って割と多いのでは?
まじめに努力すれば、生徒会長になれるという、ありきたり説教漫画ではないスキップとローファー、しびれるねえ。現実という大きな壁をめちゃくちゃあっさり突き付けてくれるやん~~~!!!
この時点でめちゃくちゃ面白いんですよ。この話。
なのに生徒会長奪われる説明なんて数ページで済ませちゃってるんだからね。そこにしびれるあこがれるぅ……。日常漫画なのにテンポよすぎて神ィ……。
しかも本題はそこではない。この話の主題は、高峰先輩を励ます兼近先輩にあります。
「そりゃ僕だっていつか最高のものを作ってみんなに認められたいけど……」
「これだって誰にもみせないよりは君らが笑ってくれるならいいと思ったんだ」
幼少期のつたない作品を見せるのは、恥ずかしいですよね。なんと、兼近先輩の「励まし」とは、その恥ずかしい作品を高峰先輩に見せるってだけ。特に何も言わないんです。
「生徒会長になれなくて残念だね」「運が悪かっただけだよ」「高峰さんには努力したっていう価値がある」「あきらめないでこれからも頑張ってね」
なんて、そんな薄っぺらい台詞の一言も言わないんです。
すると、次の日高峰先輩は吹っ切ることができています。
わかるか!?スキップとローファーのすごさがわかりますか?
「いつか最高のものを作ってみんなにみとめられたいけど」
→生徒会長になりたかったけどなれなかった高峰先輩
「誰にもみせないよりは君らが笑ってくれるならいい」
→恥ずかしい失敗も、無駄な努力も、いつかは笑い飛ばせる過去にできる。もしかしたら未来の糧になっているかも。
こういいたかった兼近先輩は、言葉ではなく過去の作品を見せるという態度で高峰先輩を励ましたのです。
この情緒の深さがわかるかね!?この作品の情緒がわかるかぁ!?!?
だから好きなんですよ!このエモさが!!!!!
説教されたって響かねぇんだよ!!その身をもって示されたことが心に響くんだ!!!
2話のおすすめシーンでも話したけどね。結局聖書なのよ。
与えよ。さらば与えられん。
自分の恥ずかしい過去をさらすという身を切った兼近先輩の励ましだったからこそ、高峰先輩は悔しい思いを乗り越えられた。
失敗も恥も、“自分だけじゃないんだ”と思えたから、だから乗り越えられたんですよ。
そしてもうひとつ、作者、ほんと漫画うめぇなーーーとおもうのがここよ。ここ。黄色い枠のコマに注目。
兼近先輩→高峰先輩の部分はわかりますよね。
そのあとに志摩君のコマが一瞬入ります。
別に必要なくない?ここで、志摩君は、たまたま居合わせて、一緒に映画を見ることになっただけなんですね。
全然この話の主軸にいないんですよ。でもスキップとローファーの主役はみつみと志摩君です。この番外編とも思える高峰先輩メインの12話すらも、志摩君の成長の伏線にしているんです。もう感服ですよね。
志摩君は兼近先輩のように自分の弱さをさらけ出すことができないよね。
彼はわがままも言わないしいい人だけど、自分の良さも悪さも出せない。
この先の志摩君と兼近先輩の関係性は絶対に考察するけれども、その伏線になっています。
志摩君はこのコマで何の台詞もありませんが、何を思ったのでしょうね。
私は、プライドを捨て三枚目に徹することのできる兼近先輩を「かっこいい」と思ったか、そういう風にふるまえない自分と比較し「嫉妬」したのか、その辺だと思っています。
うーん、うまいな、ほんと。
この作者「画」だけで心理描写とか台詞書かないのに、読者の読解力を誘導するような筆力(漫画力)があるんだよね。
長くなってきたけどもう1シーンだけ紹介させてね!
上野動物園デートした帰りの二人です。
このシーンも私が言いたいのは作者の漫画力です。
すでに黄色で枠組みしたところ。このコマがうまいポイントです。
あまり関係性の良くない弟にお土産を買う志摩君なのですが、弟が上野動物園に来たことがあると気づき、お土産をみつみにあげようとします。
みつみは、「志摩君からもらうからうれしいんだよ」といいますが、納得がいかない感じ(画像右半分)
しかし、このシーンの前にみつみからもらったパンダのキーホルダーがアップになり(黄色枠のコマ)、みつみのコマ、そして志摩君の納得のいった笑顔コマと切り替わっていきます。
っか~~~~!情緒!情緒でしかないね!!!
志摩君の心理が吹き出しの心理描写(文字)ではなく、漫画のコマ(画)を使用して表現されているのがわかりますか!?
つまりだよ!もはや蛇足でしかないが私が説明しておくとだな!
志麻君はパンダのキーホルダーをもらったことがうれしかったのではなく、みつみにもらったことがうれしかったんだよ。だから、何をもらうかではなく誰にもらうかが重要だと説いたみつみの説明に納得できたのですよ。
それをだな!コマ割りと画だけで表現してるんだよ!
スキップとローファーの良さがいかに漫画でなくては伝わらないか。
作者・高松美咲先生がいかに漫画がうまいか、わかりますか!?!
漫画という媒体でないとだめなんです。
名作漫画ってこういうことなんです。
プライベートライアンが映画でなくてはならないように。
スキップとローファーは漫画でなくてはならない。
もし漫画にアカデミー賞があったら。
歴史に残る総舐めを実現してくれるでしょう。
ちなみにアニメも非常にレベルが高いです。制作P.A.Worksだし。
でも、漫画でなくては伝わらない良さがこの作品には確かにあります。
屈指の名作です。
完結していない8巻時点ですでに。
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