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君たちはどう生きるか 感想 鬼才宮崎駿監督の才能は枯れない!まだこんな作品作れるなら生涯現役でいてくれ。

はいまず一言。

宮崎駿は天才。アラサーで、劇場でこの作品見れた自分のタイミングの良さに感謝。

子供が見て楽しいジブリ作品か?と言われたら自信がない。

作者のメッセージは、完全に大人向け。

だがしかし、面白い。
ターゲット層どこだよ、って感じの映画。

主題難しいけど、画面が楽しいので、子供も楽しめるかも。

私のNo.1ジブリは「ハウルの動く城」ですが、それは好みの問題もある。

「君たちはどう生きるか」は、名作なのは間違いないです。
この作品が評価されないようなことがあれば、日本のアート・エンタメ界隈は終了している。と断言すらできる。

この作品、一切の公開前の事前情報がなかったそうですが、それもうなづけるかもしれない。ネタバレされない方が面白いし、どんな作品?と言われて、一言で答えられないんだよね。

ちなみにこの作品低評価にしているやつとは絶対分かり合えないんで何があってもマジで話しかけてこないで下さい。

感想メモ

・主題は、「母親を亡くした少年が、母親を亡くしたことを乗り越え成長する」話
・ただしそんなに暗い物語ではない
・母親を亡くして東京から疎開(舞台は戦時中の日本)→母の妹が、新しい母となるという複雑な主人公の環境と思春期の少年の乗り越える姿を描いており、どちらかというとメッセージとしては「前を向いていく」「ポジティブ」なものなので、私好みでした
・疎開した屋敷にいる不気味なアオサギを起点として、死んだはずの母のいる異世界に義母が消え、それを追いかけて主人公も飛び込みます
・その異世界は主人公の大叔父(読書好きで行方不明になった)が作り上げた世界で自分の意のままになるとされる。主人公は後を継ぐことを薦められるが断る。
→これは簡単な対比構造になっていて、現実逃避して自分の世界に閉じこもった大叔父と、母を亡くし義母ともうまくいかず、田舎で友人もできず現実逃避したいが、成長して現実に生きることを選んだ主人公という明暗をわかりやすくするためだと思います。

・一緒に異世界に(嫌々)飛ばされたお付きのばぁやは、異世界では主人公の窮地を救う若い海女さんだったのは……うーん、ジブリはやはり『意味のない配役をしない』からすごいんだよなぁ。最後、渡されたお守り人形がポケットの中からばぁやの姿に戻るまでの細かいギミックにはマジで感服。
・お母さんも異世界では生きていますが、ちゃんと元の時代に戻ります。主人公を生まなきゃといいながら。ポジティブでイイ。
・唯一、超・重要登場人物アオサギの正体がわからないままなのですが、友人関係がうまくいかなかった主人公が、異世界に飛ばされて唯一共闘関係になるこのアオサギ。最後は自ら「友人だ」と宣言します。つまり、異世界や現実世界においても、アオサギの「元ネタ」は存在しません。先ほども言いましたが、ジブリに意味のない配役はない。アオサギは主人公が初めて自ら生み出した、元ネタのない「新しい友人」を示唆しているのでは?というのが私の推測。本当にそうだとすれば、宮崎駿には足を向けて寝れませんね。構想が練られすぎていて脱帽感服。
・「我を学べば死す」的な石の墓が出てくる。→本や小説の中にのめりこんで現実逃避し始めたら大叔父みたいになっちゃうよってことなんかな。
・ま、ジブリあるあるですが、とにかく音楽が素晴らしい。アオサギは初め不気味で正体不明の怖い生き物で異世界に主人公を連れ出そうとする悪者にみえるんですが、異世界に行ってからアオサギと主人公が共闘関係になってからは、なんだかかわいくみえるんですね。アオサギと初対面するときの緊張感は、あれは映像とそして音楽ですよ。素晴らしいの一言。ちなみにジブリNo.1音楽を誇るのは「千と千尋の神隠し」異論は認めません。

色々難しいメモを書いたけれど、インコが支配する新世界や、アオサギが飛べなくなって困惑する(外見が変わっていく)シーンなど、きもかわ~な画面も多く、主題が難しい部分はあれど、

きちんとエンタメとしてまとまっていて面白い!

何回も何回も何回でも言ってやる!

「作者の主張」と「エンターテインメント」がちょうどフィフティーフィフティーな作品が神なんです。

この塩梅が、宮崎駿ってのは天性の才能で備わっている。
しかも一発ではなく何発もそんな作品を生み出し、年老いた今年ですら、「君たちはどう生きるか」を作りやがった。
そりゃちょっとやそっとの監督じゃ超えられませんよ。

確かにハウルは越えられない。
この作品は主人公が母の死を乗り越え、思春期に成長する話なので、恋愛要素がないんですね。
でもそれは私の好みの問題です。私が恋愛要素が好きなだけ。
「君たちはどう生きるか」は紛れもない名作。

今、エンタメ極振りでメッセージ性もくそもない作品ばかりがバズる中、一切宣伝せず、メッセージ性が強く少し難解でもあるこの作品を公開した男気にも惚れる。

こんな名作が評価されなくなったら、文学的に日本はマジで終わります。

ぼぉーっとみてるときっと意味が分からない、でも面白い。

宮崎駿、生涯現役でいてくれ。
もう死なないでくれ。
そう願いましたね。

意味わからないけどなんとなく言いたいことはわかる。

これを狙ってできるんだから、マジモンだよ。


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