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兄夫婦と行くイタリア

数年来の懸案への回答

正月に実家で兄と飲んでいると、ここ数年言われ続けている話をされた。曰く、「お前と二人でイタリアに旅行したのが忘れられない。」「ツアーではないので、見たいところをじっくりと楽しめるのが良かった。」それから決まって、「今度は夫婦で行きたいので一緒に行ってはくれないか」となる。

兄と二人でイタリアに行ったきっかけは何だったのか思い出せない。どちらが誘ったのかも思い出せない程昔のことだ。兄が勤続何十年とのことで、会社から休暇とお金をもらった時だったので、それを機にどちらかが言い出したのだろう。家内が母親とふたりでスペインやイタリアへ旅したこともあるので、その裏で行ったのかもしれない。

いずれにせよ、正月に会う度にそんな話をされ、いつもお茶を濁すような曖昧な態度を続けていた。こちらにも都合はあるし、お金もかかる事だし、手配や準備が大変だ。酔った勢いで安請け合いもできかねる。ツアーで行けば良いのにと思うが、団体旅行ではなく、気ままに動ける個人旅行で是非とも行きたいのだと言う。自分達は外国語がままならないし、旅慣れてもいないので、ということなのだ。

ただ自分も還暦を過ぎ、時間にも少し余裕ができたのと、去年は長年の目標のサンチャゴ巡礼路を踏破し、何かしらひと区切りしたような思いがあって、引き受けようかなという気になった。それに兄は自分より10歳年上で、兄嫁はさら年上だ。足腰の元気な今しか無かろうと思い、今年の正月には「考えてみようかな」と返事をしておいた。

旅の手配を開始

さて、そう答えた手前、正月気分が抜けてから早速日程を組み始めた。兄夫婦に行きたい都市を挙げてもらい、15日間の予定を立てる。家内は今年はクロアチアに行きたがっていたが、最終的には譲歩してくれた。但し仕事の都合で15日間の休みは取れないので、途中で合流することになった。

日程が決まれば、次は飛行機とホテルを押さえる。アリタリアなき後、出発時刻、乗り継ぎの時間と価格を天秤にかけエミレーツにする。マルペンサ空港から入国しミラノに3泊、フィレンツェ4泊、アッシジ1泊、ローマ4泊と列車で南下してフイミチーノ空港から帰国する。もちろん往復ともドバイ経由だ。ホテルも四つ星を目安に公式サイトや幾つかのホテル予約サイトを比較しながら予約を済ませ、旅の大枠は何とか整った。

費用を概算

以前に比べ、円は安く、インフレも手伝って海外旅行は高くつく。肌感覚ではしばらく前の1.5倍という感じ。燃油サーチャージも溜息が出るほどの値段。それに観光名所は予約が必須の所が多くなり、入場料はどんどんと値上がりしている上に、数が多くなれば予約手数料もバカにならない。さらには都市税という名の観光税がかかる。都市や宿泊施設のランクにより税額は異なり、一人一泊3€~7.5€。合計すると一人1万円を簡単に超えてしまった。

列車や観光で訪れる施設の予約も必要だが、8月出発のため、まだ予約が始まっていない所もあり、今後手配することになる。ひと段落ついたところで、今後の手配を含めた概算費用を出すとトータルでひとりあたり約50万円。これに食事代(昼、夜)と市内交通費が加わる。これでも同日出発の同じフライトを使う某旅行社主催「イタリア10日間ツアー」に比べると結構安くおさまった方だ。

観光を計画

イタリアは世界遺産の数が世界随一で、古代遺跡や聖堂、美術館は数多ある。以前は予約無しでもしばらく待てば入場できたが、昨今は観光客の増加のため、予約がないと1,2時間待つことも珍しくないという。そういえば、フランスだけれどもベルサイユ宮殿に入るのに3時間待ったことがある。あんなのは二度と嫌だ。

これも兄夫婦に入場したい観光地や施設を聞いた上で、予約がした方が良いかどうか調べる。開館時間や休館日、いつから予約が可能かを一覧にして予定に落とし込む。予約の必要のない観光地も立地を考慮して予定に入れていく。そんな作業を続けていると、大雑把な日程ができあがった。

旅の栞

折角日程表らしき物ができたので、「旅の栞」を作ることにした。ネットで無料テンプレートをダウンロード。昔撮ったフィレンツェのドゥオーモの写真を表紙に、簡易日程表と各日の詳細日程を作成する。地図もGoogleマップにホテルや訪問予定の観光施設に印をつけて保存したものを貼り付ける。各観光施設には公式サイトや便利な情報サイトのリンクをつけていく。

PDFで保存して「小冊子」で両面印刷すると手頃な栞ができあがる。通常の用紙に両面に印刷すると裏の印刷が透けて見にくくなるため、少し厚手の両面印刷用の用紙を使う。なかなか立派な栞だ。後は列車や観光施設の予約の時間が確定すれば完成となる。

PDFファイルはスマートフォンにも保存しておく。スマートフォンで見る際には地図も拡大できるし、貼り付けておいたリンクですぐに情報が得られる。以前、青森旅行に行ったとき、交通機関の時刻表をリンクに貼り付けておいて大いに役立ったのを思い出して作ってみたというわけだ。

旅の醍醐味

旅行はグリコの「一粒で二度おいしい」(今も通じるのか?)より上手で「三度楽しめる」といわれる。旅行の企画をする時、旅行中、後に旅を振り返った時だ。そう考えると、旅行の企画を一人で引き受けるのも何だか楽しみを独り占めしているような気になる。責任もあり、大変は大変なのだけれども、夏の旅を夢想しては、うきうきとした気分になるのも悪くはないと思えるのだ。^

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