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SNS中毒者の末期症状

先日のお休みの日、妻は用事があり一人で出かけたいというので、私と5歳娘と3歳息子の3人で一日過ごすことになった。
娘に何をしたいか聞いてみると「髪切り屋さん(なぜか娘は美容室と床屋のことをこう呼ぶ)に行って、ドラえもんの映画を観たい」と言う。

確かに髪がだいぶ伸びてきた。そして来週は卒園式で、娘はまだ年中組の歳なのであるが、在園生を代表して、先輩に「おくることば」を言うというので、ちょっと髪型を整えておいた方がいい。

ドラえもんの映画については、王様のブランチ(関東ローカルの総合情報テレビ番組)の映画コーナーで上映中だということをチェックしていたらしい。

息子に「ねえねが、髪切り屋さんと映画に行くって言ってるけどそれでいい?」と聞くと「あい!」と答える。
息子は基本的に娘の言うことに従順である。
娘に逆らうと怖いことを、私と息子は熟知している。

とにかく私たち三人はイオンモールに向かった。イオンモールは髪切り屋さんもイオンシネマもあり、便利である。毎週イオンモールに行っている。もうイオンモールなしの人生が考えられない。

addicted to イオンモールである。

今大人になれなくて、いきなりなれなくて oh baby (oh baby)イオンモールにaddictedかもである。

宇多田ヒカルに思いを馳せつつ、イオンモールに到着したのだが、髪切り屋さんの予約にはまだ時間があるので、最初にお昼ご飯を食べることにした。

イオンモール内の回転寿司屋に入った。

ここは異常な偏食である娘が食べられるものが複数ある稀有な店である。入店するやいなや「納豆巻き(8分の1カット)」「もりうどん(ネギなし)」「ポテトフライ」を頼んだ。これで娘はしばらくご機嫌である。

息子にも同じメニューをオーダーする。息子は娘と同じでなければ気が済まないので、一緒のものを頼む。

そして娘と息子の頼んだものがきて、二人が食べ始めて落ち着いたところで、私もどんなものをオーダーしようか考える。

私たちが行きつけのこの回転寿司は、タッチパネルでオーダーする方式であり、「店長おすすめ」「季節のおすすめ」などのわくわくするカテゴリーもあり、タッチパネル片手に、注文をあれこれ考えるのが楽しい。

いろいろ吟味しているうちに、こんな画面が私の目に飛び込んできた。

これである。

ここの回転寿司は、安さが売りというところはなく、回転寿司にしては本格派という雰囲気を醸し出してはいる。
ただ一貫の平均価格帯は400円から600円である。

このお店の一貫の単価として、1650円は圧倒的に高価である。

私はうにが大好物ではある。1650円のうにを食べてみたい気持ちはあるものの、さすがに一貫1650円は自粛せざるを得ないなと考えた。

しかしである。
ここで私に悪魔的アイディアが降り注いできた。
これnoteに使える。1650円のうにを食べたら、noteで文章を書ける。

これは重度SNS中毒の人間の考え方である。

私は本来はインスタグラムなどで映え写真をあげる人たちに対して「フッ、映え写真をあげなければ生きてはいけないとは…承認欲求に支配された悲しきモンスター…」という中2病的な立場を貫いていた。

noteを始めるまでは、SNSを全くやったことがなくアナログに生きてきた。

しかし私は最近、noteのSNS的側面にとらわれている。うにが1650円という画面を見て、「これを頼んだら2000字は書けるな」と思ってしまうのだ。


そしてきっとその文章に関して誰かが何らかの反応をしてくださるということを期待してしまう。

この発想、悲しきSNS中毒者である。

私はそもそも子育てをしていく中で、子どもがかわいい行動をしたり、発言をしたりすることの記録を取ろうとしてnoteで文章を書き始めた。

しかし、最近は手段と目的が転倒しつつあると感じることがある。

ここ最近は、子どもと接している時に(なんか子どもらしくて、かわいくて、無邪気で、大人にはないような発言をしてくれ… #子どもに教えられたこと #子どもの成長記録っぽい行動をしてくれないか…)と心の底で願ってしまうのだ。

そして、そのような発言や行動が子どもに表出したならば(よし、この発言・行動でほっこり系育児記事の2500字いただきました)などと考えてしまう。

邪な育児になっている。

これはSNS中毒重度者だ。
承認欲求おばけとは私のことだ。

SNSを気にせずに真面目に育児をしたい。でもこの快感を知ってしまったら、もう後戻りできない。

あなた(note≒SNS)を知ってしまった今、あなた(note≒SNS)を知らない過去には戻れない。

キスより抱きしめて、いきなりやめないで oh baby(oh baby) noteにaddictedかも。


そして1650円のうにがきた。

うん、なんかどうだろう?

とりあえず食べようとしたら、息子が「食べたいでつ」と言うので、うにの身を軍艦にスプーンでのせて、息子にあげた。
そしてあっという間に息子は一口で食べ切ってしまった。

美味しかったかどうか聞くと「海苔かな?」と息子は答えた。
うにより海苔の方が印象にのこるとは。
海苔しか思い出に残らないとは。

結局、1650円のうにはどれくらい美味しかったか私には分からなかったが、こうして一つnoteで文章を書くことができたのでまあしょうがないと諦めた。

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