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奨学金を「借金」から「自己投資」へ

今回のテーマは奨学金です(約2000文字)

ほとんどの方がご存知だと思いますが、改めて紹介すると奨学金制度とは「経済的理由で修学が困難な優れた学生に学資の貸与を行い、また、経済・社会情勢等を踏まえ、学生等が安心して学べるよう、「貸与」または「給付」する制度」のことです。

令和元年度時点で、制度を利用する人は約45万人います。貸与型の奨学金は結局のところ利息も支払う借金なので、負のイメージを持っている人が多いでしょう。

日本学生支援機構のホームページに実態調査があるので興味がある方は見てみてください。

42歳まで返済し続ける私

私も貸与型の奨学金を利用していて、42歳くらいまで返済を続けることになりそうです。

特に雇用が不安定な情勢下では、制度を利用することで、もともと経済的に余裕がないのにさらに経済的な負い目や不安感を覚えるのも不思議ではありません。

実際、私自身も大学卒業時、就職先が見つからず精神的にかなりキツい時期を過ごしていました。

借金を背負い、人生に委縮してしまった

今となっては、あの時の自分はとても視野が狭かったと後悔しているんですが、当時の私はただでさえ余裕のない家庭なのに借金を背負ってさらに息の詰まった人生観を抱いていたように思います。

何をするにしても「お金使って大丈夫かなぁ」「何もしないほうがいい」とどんどん内向的で出不精になってしまい、大学生活を何もせずに終えてしまいました。卒業できただけ奇跡。

過去だから好き勝手言えますが、そもそも目標も無く大学に入ったのが間違い、こんなことなら奨学金を利用せず高卒で働いて手に職つけたほうが良かった、とさえ思うこともあります。

貸与型奨学金は確かに利息も支払う借金であることに間違いありません。定期的な返済も発生するのである程度の資金計画は必要になります。

しかし今回の記事を通して私は、かつての私のように奨学金を借りることで人生に委縮してしまっている人を少しでも前向きにできればと思っています。

そこで、奨学金における利息について考えてみます。つまり、借りることで上乗せして返済する部分のことです。

実はとても有利な奨学金

私のケースをざっくりした表した数字ですが、400万の借入で20年の返済期間、利息の総額は約40万です。

これを20年かけて返済するので1年あたりの利息は2万円、月額たったの約1,600円ということになります。ちょっと食費に気を配ればカバーできるレベルですね。

正直この考え方が適切かどうかは微妙ですが、何が言いたいかというと貸与型奨学金は利息が非常に低く設定されているということです。

金融機関などでも教育ローンを組むことができますが金利2%~3%のものが多いのに対して、私が利用する奨学金制度では1.08%に設定されていました。

長い目で見れば、借りたお金をちょっとだけ上乗せしてそのまま返すと考えれば気も軽くなるのではないでしょうか?(ちょっと無理があるかな…?)

その上で、奨学金制度を過大に恐れず、在学中に社会で戦うための武器を作り上げるための「自己投資」と考えれば、当時の私のように精神的に路頭に迷うこともなくなるでしょう。

繰上返済?それとも・・・

生活資金に余裕が生まれれば繰上返済も可能です。繰上返済すれば利息を減らすメリットがあります。

それに借金から解放される、あるいは経済的困難な状況からしっかり稼げるようになったという達成感も大きいです。

とはいえ、先ほど述べてきたように貸与型奨学金は非常に利息が低いので、金額上のメリットはあまり大きくないと考えることもできます。

繰上返済せずに、例えば投資などに回すことで利息以上の運用益を出すことができれば、それはそれで有効な使い方と言えます。

繰上返済するかどうかは本人の自由なので、繰上返済だけでなくさまざまな使い道があることを頭の片隅に置いておくと良いでしょう。

2021年4月からスタートした企業による代理返済

新たに始まった動きとして、企業による代理返済があります。奨学金の返済は、借入者本人が日本学生支援機構へ送金することになっていましたが、2021年4月より企業による直接送金の受付を開始しました。

これまで企業が肩代わりする場合は給料(手当)として支給していたため、所得増加となり返済にあたる金額も課税対象となっていました。

しかし、企業が直接返済できるようになることで返済部分が課税されずに済むし、企業も損金に算入できるため双方にメリットがあります。

こちらのページでは代理返済制度を導入している企業が掲載されています。奨学金を利用中の学生は就職先の選択肢に入れるのもいいかもしれません。

借金を背負うということに目が行きがちな奨学金制度ですが、普通にお金を借りるよりは相当に有利なのは上述の通りです。

奨学金制度を「借金」ではなく「自己投資」という目線で捉えられるようになると、学業への励み方もまた変わるかもしれませんね。

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