彼岸花

東京の彼岸花が好きだ。

街路樹のわきに突如として現れる、

東京の彼岸花が好きだ。

群れるでもなく、独り芝居をするでもなく、

ただそこで、生きているだけ。


葉はつけず、決して太くはない茎一本で

すっくと佇んでいる。

線香花火のクライマックスを映すのに、

最期はどす黒く色褪せて、醜く、生にしがみついて、萎れていく。

花弁を散らすこともせず。


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