【Pottoka】気軽で楽しくおいしい最高のビストロ
今宵はPottokaへ。
https://pottoka.fr/
ミシュラン掲載店。
質の高いレストランやビストロが軒を連ねるサン・ドミニク通りにほど近い。
フランス南西部の街バイヨンヌに本店を持つバスク料理店。
バスクといえばサンセバスチャンなどのスペインの街を思い浮かべるが、こちらは同じバスクでもフレンチ・バスク。
とはいえ、サンセバスチャンからバイヨンヌまで車で1時間もかからない距離。
今は国境で隔てられているが、もともとは同じ文化圏といってよいのだろう。
店の前を何度か通ったが、いつも混雑していた。
人気店なのだろう。
ようやく予約が取れたので、楽しみにしてやって来た。
前菜、メイン・デザートで39ユーロ。5,000円ほど。
エッフェル塔にほど近いこの立地でこの値段はかなり安い。
小さいお店は今日も満席に近い。
カウンターの左端に座らされる。
おっ、好きな席だ。
居心地がいい。
前菜は、バスク地方なので久しぶりにマグロでも食べてみようかと思ったが、シェフの得意料理はこちらよとお姉さんに言われるがままスズキのタルタルを。
まあ、味の想像がつきそうだけど、オススメに乗るしかなかろう。
すぐに運ばれてくる。
予想よりも手の込んだ料理のようだ。
スズキの状態は凡庸だけれど、ハーブでほんのりと風味がつけてある。
雑穀をパリパリに揚げたものと、酸味の強いレモンのムースが上に。
松の実、ネギなどが散らしてあり、周りにはひよこ豆をペースト状にしたフムス。
このわたみたいな癖の強い海のものが載っている。
メニューをみるとウニだ。
生のウニとはちょっと違って、塩漬けしたような味。
前もどこかで書いたけれど、フレンチのシェフにすればスズキのような無味乾燥な魚は使いやすいのだろう。
ここにお得意の味や風味や香りをどんどん足していく。
これはとてもおいしいと思った。
味が足されて足されて、結果的によいハーモニーを奏でている。
ハーブのエキゾチックな風味、レモンの心地よい酸味、松の実の香ばしさ、ウニが運ぶ磯の香り。
すべてがうまくマッチして、一つの皿としてまとまっている。
今日の店はあたりだと確信した。
メインはウサギにしてみる。
事前にメイン料理にあう赤ワインをお願いしたところ、割と重ためのボルドーを持ってきてくれたのだが、理由がわかった。
ウサギには、かなりしっかりとした赤ワインソースがかかっている。
ウサギが隠れるほどたっぷりと。
これがまあ、スペシャルなおいしさ。
赤ワインの酸味が味覚を刺激する。
背筋がきゅっとなる。
ほっぺたが落ちるような、という表現はこの皿にこそふさわしい。
コクがあって、ありすぎず、酸味があって、ありすぎず、甘みがあって、ありすぎず、トータルな旨味を感じさせる。
付け合わせはセロリ。
マシュドポテトのように潰してある。
マッシュドセロリとでも言おうか。
これがまたおいしい。
赤ワインの重ためのソースに舌がつかれてきた頃にセロリを一口頬張ると、さっぱりと口が落ち着く。
ああ、何たる好循環。
何となく満たされたのでデザートは今宵はやめておく。
とはいえ居心地のいいこのカウンター席にもう少し座っていたい。
というわけでアルマニャックを注文する。
スタッフの女性は僕がデザートを頼むと思っていたのだろう。
まさかの食後酒に、「あっ、そっちに行きますか」という反応。
デザートはまた今度だ。
この店は、必ず再訪する。
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