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おバイク一人旅〜青森県大間崎(2日目・前半)2020.7.24

1日目はこちら

青森滞在2日目は、ガッツポーズが出るほど、気持ちの良いお天気だった。
旅先で目覚める朝は、毎回、心が飛び跳ねる。そして、そのわくわく感は、家から遠ければ遠いほど、より強くなるものだ。
ついに大間崎を目指すということで、早く行きたいと気持ちは逸る。けれど、まずは途中にある、道の駅しちのへに立ち寄り、親しい人達や職場へのお土産を買うことにした。

バイクや電車で旅に出た時、私はお土産を買うと、その場から宅配便で家に送ってしまう。電車の旅では荷物になるし、バイクの場合は、シートバッグに詰め込むことで、割れたり傷んだりしてしまうからだ。
今回も必要なお土産を買い、家に発送したのだが、このことが後に、小さな「人とのつながり」も運んでくることになる。
けれど、この時は、そんな未来があることなど、想像さえしていなかった。

買い物を済ませたら、あとは大間崎へ向かって、ひたすらタイヤを進めるだけになった。
R4を北上して、分かれ道から下北半島へと続く、R279に入った。通称、むつはまなすラインと呼ばれる、陸奥湾と津軽海峡をつなぐ道。
海が見えてすぐ、十符ヶ浦(とふがうら)を見渡せる場所を見つけて、その景色を眺めたいとバイクを止めた。
西側の風景と地図を見比べると、なるほど、景色と地形が頭の中で、しっかりと結びつく。小さな湾だからこその醍醐味だなと、方向音痴のくせに納得してみた。

直進しても右折しても恐山ですよと言う、何とも寛大な交差点も、迷わず北へ北へ。
陸奥湾を眺めながら走る、というのを期待していたのだが、残念ながら、R279から陸奥湾はあまり見えなかった。
けれど、コンパスが北を指し続けているだけで、気持ちが小躍りする。
そんな感覚を味わいながら走り続け、横浜町に着いた。いよいよ、ここからが下北半島!

下北半島にある道の駅のうち、今回立ち寄れたのは、道の駅よこはまだった。
横浜町は菜の花の名所で、作付面積は日本最大とのことだ。道の駅には、菜の花の蜂蜜と、葉のパウダーを使ったソフトクリームがある。
私が、これを逃すはずはない!
淡いグリーンのソフトクリームは、ほんのり蜂蜜の味がして、期待以上に美味しかった。

R279を走り続け、苦手なヘアピンカーブをいくつか抜けると、ついに津軽海峡にたどり着いた。
ここで、当たり前のように道端に座る、1匹の猿に遭遇したのだが、先方は私を完全無視だった。
そして、昭和に戻ったような、少しひなびた海沿いを走っていくと、大間町の手前の風間浦村で、気になるモニュメントを見つけた。
なんとも不思議な、バンザイ。バイクを止めて眺めていると、私も無意識に背伸びをしてしていた。

そして。
ついに、大間崎に到着!
写真やテレビで見た、まぐろの石像や、本州最北端の碑が、実際にそこにあった。
そして、私が暮らす街は、東北最南端の場所にあるので、大間崎に着いたと同時に、東北を縦断したとも言えるのだ。
愛機と自分だけの力で、ここまで来れたことが、とても嬉しく、何だかとても誇らしい気分だった。

快晴に恵まれた大間崎は、本当に本当に美しかった。
海の上に、遠く函館山が見える。そして、泳いでいけそうな近い距離にある弁天島と、白黒の小さな灯台が、不思議で可愛らしい風景を作っていた。
静かに凪いだ海と、白い絵の具を筆で掃いたような青空、その境目にあるぽこぽことした雲のかたまり。初めて見た津軽海峡は、ずっと眺めていたいと思うほど穏やかで、とてもやさしい海だった。

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