おバイク一人旅〜青森→岩手→福島(2日目後半・3日目)2020.7.24→25
大間崎で、存分に風景を堪能した私は、もうひとつのお目当てをめざして、再びバイクにまたがった。
旅の楽しみはツーリング、景色、そして食。大間といえば、そう、何と言ってもまぐろ!
私はここでまぐろを食べようと、出発前から目論んでいたのだ。
お店は、あらかじめ調べていた「浜寿司」さんへ。
颯爽とバイクを走らせ・・・始めたのだが、あろうことか、持病の方向音痴がここで大発作!
大間崎からさほど離れていないお店まで、何度も同じ道をぐるぐる回ってしまった。
やっとたどり着いたお店の前には、何組ものお客さんが並んでいた。
急いでその列に加わり、メニューを見ると、お目当てのまぐろ丼は2種類。赤身と中トロが3,400円、そこに大トロが加わると、4,200円だったと記憶している。
普段なら、1食で3,400円でもためらうが、この時ばかりはまったく迷わず、大トロ入りを選んでいた。
もちろん、お味はとんでもなく美味!
高価な食事の思い出というより、大間でまぐろを食べるという「経験」をした、そんなふうに思えるほどだった。
食事の後、空のキャンバスに、雲が抽象画を描いた場所を見つけて、愛機の写真を撮った。
空、海、そしてバイク。青というのは、光を吸い込む加減で、無限に表情を変え続ける色だと思う。
これを記念写真として、視覚も味覚も至福で満たしてくれた、大間町を後にした。
来た道を途中まで戻り、むつ市から県道を通って、下北半島の東側、東通村へ。
本当はこの先の、尻屋崎へ行きたかったが、時間的にどうしても無理だった。後ろ髪を、ごっそり抜けそうなほど引かれながら、仕方なく南下を始め、県道からR338へ出た。
そこは、車通りが少なく、木々が立ち並んだ道路だった。走っているうちに、まるでパラレルワールドに入りこんだかのような、一抹の寂しさと不安を覚えてしまう。その一方で、邪魔するものが何もないライディングを、純粋に楽しむこともできた。
この日は青森県境の向こう、岩手県の二戸市に宿を取っていたが、チェックインの時間に遅れそうだったので、最初に見つけたコンビニで休憩しながら、宿に電話を入れた。
・・・けれど、電波が悪いのか、先方の声がまったく聞こえない!
仕方なく家族にLINEを入れ、代わりに宿に連絡してくれるよう依頼してから、また走り出した。その後は、R338をひたすら、ただひたすら。コンパスは、律儀に南を指し続けていた。
そして、おいらせ町の下田百石インターにたどり着くと、そこから百石道路に乗り、八戸北で八戸自動車道へ。県境を抜け、軽米インターで高速を下りて、二戸町の金田一温泉郷に到着した。
この日の宿は「割烹旅館おぼない」さん。
若い女性スタッフが明るく迎えて下さり、その笑顔に、無事にたどり着けた安堵感がこみ上げてきた。
チェックイン時間は過ぎていたが、先にお風呂に入らせていただけたのが、本当にありがたかった。
温泉を楽しみ、素晴らしいお食事に舌づつみを打って、長い1日が終わった。よく走り、絶景を眺めて、美味しいものばかり食べた、大満足の1日・・・と、少しだけ振り返った後は、もう眠りに落ちていた。
宿のスタッフのお話によると、二戸では昔むかし、農作物は雑穀程度しか採れなかったそうだ。
そのため、お客様があると「せめてお腹いっぱい食べて欲しい」と、量をたくさん出した。
何でも手に入るようになった現在でも、その想いだけは、受け継がれているのだという。
身体に優しい、雑穀米の朝食を堪能した後は、雨の天気予報が出ていることもあり、早々に帰路へ。
東北道の花巻から仙台辺りまで、雨が降りはしたものの、幸いなことに、高速を下りるほどは強くならずに済んだ。
そして、福島県の郡山ジャンクションから磐越道に抜け、地元いわきへと、無事に帰ることができた。
翌日、頑張った愛機を磨いていると、宅配便のドライバーさんが、七戸から送ったお土産を届けてくれた。
「きれいなバイクですねぇ」
「ありがとうございます、青森に行ってきたんですよ」
そんな話をしながら、荷物の箱を受け取った・・・その、数日後。
点検のお願いに、いつものバイク屋さんに行くと、あのドライバーさんの姿が!
なんと、彼は、私と同じ店のお客さんだったのだ。
私の愛機を覚えていてくださり、時間の許す間、お互いの楽しく話をすることができた。
こんなふうに、バイクは時々、思わぬ「人とのつながり」を運んでくれる。それもまた、2輪の魅力のひとつに違いない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?