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俳句、自選自解

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自分の創作物を見ていただくのは「ナンカチガウ」と思いつつ、おだてられて始めてしまいました。
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2023年9月の記事一覧

俳句、自選自解007(考える人)

俳句、自選自解007(考える人)

考える人の像うつ木の実かなつねたまじめ

中学には、ロダンの考える人があった。あの、ブロンズの質感で、その悩みが一筋縄ではないように見える。顔もほりが深く、濃ゆい。

コツンっ

彼の頭にドングリが落ちた。
アイデアとは、いつも外部からの刺激なのだと理解した。

俳句、自選自解006(空虚)

俳句、自選自解006(空虚)

空虚とは空腹のこと曼珠沙華つねたまじめ

二十そこそこの私は、いつも空虚だった。
頭も、心も、足りないものばかりだった。それでも、お腹がいっぱいになれば、何かが満たされる。

この句ははじめ、

空虚とは空腹のこと食の秋

という俳句だった。
俳誌に投句すると、泉田秋硯先生は下五を「曼珠沙華」と添削し、載せてくださった。

生きることへの虚しさ、食べることの悲しさと残酷さにとらわれていた私の心は、

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