通級指導は支援級所属よりも悩ましいと思う。
通級指導というのは、発達障害などによって苦手な事がある場合、週に一度くらいの割合で通常の授業を抜けて、他校で開かれる教室に通い、苦手な分野を補うこと。例えば長時間座っているのが苦手とか、感情のコントロールがうまく出来ないとか。
…という認識でいた。
うちの2番目の子、ニンタは知的障害があるので、通級という選択肢は考えておらず、支援級一択だった。或いは、住んでいる地域によっては養護学校ということになるかもしれない。
でも、通級指導なるものがある、という事は、ニンタが一年生になる時に説明されたので一応知っている。そして、「ははあ、うちには関係ないけど、それは難のある制度だな」という第一印象だった。
なぜなら、通級指導は普段の授業をお休みして参加しなければならず、送迎も親がやるので、本人にも、働く親にとっても負担のかかる制度のように思えたから。(私は働いていないけれども)。
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知的障害のあるニンタの場合、他の子と一緒に授業を受けても、理解できない事が多いのだから、支援級で個別にゆっくり授業をしてもらえる方がありがたい。支援級に所属することに迷いはない。
ところが通級の場合、知的には問題がないけれども、ただ集団行動が苦手、などのパターンが多いのだろう。理解できるはずの授業を抜けて、その分の授業は後日受けられない。
もともとハンデがあるのに、授業数を減らされるというハンデを二重にかけられる気がして、「通級指導はどうして放課後にやってくれないの?」と、他人事ながら納得いかない気持ちだった。
そして先日、3番目のミコが、「自閉症の傾向あり」と言われて、これが他人事でなくなっている。
でもミコは、現在保育園で問題なく集団生活を送っている。親の目から見ての事だけれど、通級指導は受けさせたくない、授業を抜けてまで受ける必要はない、と、すぐに思った。
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ところが、私は失念していた。吃音も通級指導なのであった。
おお…!
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先日、ミコの吃音の療育で、言語の先生とお話した。発達検査の結果を見ながら、その先生なりの見立てを話してもらう。
「検査の場合、その日の一場面しか見られないので、断片的な情報で判断しますが、私の場合は、毎月2回ほどお会いしているので、ミコちゃんの成長を感じています。賢いお子さんなので、他人との関わり方や集団生活の過ごし方などは、これからも成長と共に学習して、補っていけると思います。ですから、情緒的な面では、普通級で問題ないと思いますが、現在、吃音は悪化しているので、このままの状態でしたら、一年生からは通級で吃音の指導を受けた方が良いでしょう」
療育というのは、小学校進学前の年長さんまでが主な対象で、進学後は学校での指導へ移行する。学校でカバーできない分は療育センターで請け負う事もあるけれど(だから、ニンタもまだ時々通っている)、年長さんのミコの場合は、通例通り今年度で卒業となる。
ミコの自閉症の程度がどうであれ、ミコは通級指導に通わなければならない。これはもうほぼ決定に近い。
いや、吃音を放置してでも授業に参加させたい、という信念があれば別だろう。でも、保育園と違って、小学校では音読もあるし、大勢の前で発表することも多い。そこでどう行動すれば良いか、ということは、一生の問題であって、頼りになる相談相手、指導者は必要だと、私は思う。
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第二の選択肢として、吃音は自分で病院なり指導教室を探して、習い事のように自分達で放課後やります、という事もあるかもしれない。
なくはないけれど、私が情報を精査して良い場所を見つける自信がない。もしやるとすれば、学校が用意してくれた「通級指導」がミコに合わない、と感じてから、比較検討するべきだとも思う。
通級指導を受けるのならば、抜けた分の授業を、プリントなどでカバーしてもらえるように先生とお話して、必要なら家で一緒にやったり、そういう気配り目配りを親がやっていくという事になる…のかな…?
まあ、始まってみないとわからないけれども。
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もう正直いっぱいいっぱいで、その日は1番目の子、いっちゃんに愚痴をこぼした。「聞いてよ、ミコの吃音は小学校になったら通級指導なんだよ、もうしんどいよ」。
すると、いっちゃんから「おかあさんは、いろんなタイプのこどもを育てた人として、将来どっかで講演とかしそうだね!」と言われた。
本当に、どうしてこんなに次々と課題が与えられるのか、将来そうやって講演でもするのかしらと思ったけれど、いやいや、もっと苦労しているおかあさんは山程いるもの、私レベルで講演の依頼は来ませんよ、などと心の中でおかしな謙遜をした。
◇
自分の子に持病があってもいい。知的障害があってもいい。発達障害があってもいい。吃音があってもいい。もうこどもの生まれ持ったそのものを憂いたりする段階ではない。
でも、そういう少数派の子のために作られた制度を、勉強して理解してサポートして、そして誰に言われたわけでもないけれど、心配して心配して心配して。
そういう事に、私はもう、疲れた。
疲れたけれど、日々は続くし、こどもは大きくなるし、やるしかなくて。
考えることも無意味に思えて、制度に乗って、どんぶらこどんぶらこ。
流れていく。
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