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『ゴールデンカムイ』#281 函館のひと

 北島三郎『函館の女』のジャケットパロディを経て、本編へ。

函館へやってきた

 函館です。
 この街は、幕末史においても重要。というのも、皆さん黒船来航で幕府がびっくりしたというイメージがあるかと思いますが、先んじてロシアと交渉しているのですね。
 函館にはロシア人が早々と来まして、教会やバーニャまで建設していたのです。ペリー以前の国際交流というのは重要なのに、あんまり把握されていないと。ペリーが来るより前から、松前藩の人々やアイヌは、異国船を目にしていたのです。
 ここで杉元やアシリパはイカ焼きを食べています。今でも北海道物産展で売っているやつ! ヒンナヒンナだけど、アイヌにはウェケペレがないそうです。

五稜郭は幕府対ロシア政策の象徴

 ここで五稜郭の説明へ。
 戦国時代の城は、対大砲防御が度外視されています。大坂の陣では、東軍がイギリス経由で大砲を使い、天守閣まで砲弾を撃ち込み、淀の方の侍女を殺傷しています。けれどもあの戦いが戦国最後の攻城戦。日本の城は、大砲に備える必要はない。それどころか一国一城令により破却されました。
 ところがロシア南下の脅威を察した幕府は、それではいかんと思った。そこでオランダ経由で築城技術を身につけ、五稜郭のような城を建てました。五稜郭だけがずば抜けた知名度ですが、北海道にはこうした西洋由来の城郭跡が他にもあります。
 五稜郭とは、幕府の対ロ対策の象徴でもある。
 若い土方も出てきて、箱館戦争を振り返っています。箱館戦争とは皮肉なもので、幕府海軍が当然のことながらここまで兵士と物資を運んできた。海軍について言えば、戊辰戦争時でも幕府が上でした。
 江戸まで逃げ帰った徳川慶喜に、勝海舟は激怒しました。なんてことしてくれたんだ、無傷の海軍があるじゃねえか! 海軍の運用次第では、幕府がそうむざむざと負けたわけでもない。軍備において幕府がきだわって劣っていたかというと、実はそうでもないと。

 土方が戦死したとされる土地から、新たな夢が始める。そう土方は言います。
 『ゴールデンカムイ』の特徴は、明治維新が中途半端だったと描くところ。こと北海道からみれば、明治維新がどれだけ幕府の努力を反故にし、無茶苦茶にしたか見えてくるのです。

 五稜郭は無人になった。誰も寄り付かない。灯台下暗しとはこのことだと杉元は驚いています。野田先生はきっとミステリがお好きなんでしょうね。そういう隠し方だ。あれだけ広い北海道、ヒグマがうろつく山奥に隠してもいい。ましてやアイヌのもの。
 それをそうしなかった。

 のっぺら坊は、函館山のロシア領事館からここへ運んだと白石は言います。それは海賊房太郎のもたらした情報でした。軍艦カレバラとの取引は領事が個人的に勧めた違法行為。領事も家族とカレバラもろとも沈み、金塊だけが領事館に残されていたのです。
 図書室奥にある階段へ案内するキムシプ。彼以外、皆地下室を知らずに命を落としたといいます。
 すると外で鯉登平二の話声が。鯉登音之進誘拐事件と、キムシプが地下室に向かった時系列は重なっているのです。ここはもう安全ではなくなり、金塊は五稜郭に動かされたと。
 しかし、ウイルクたちは動揺している。ウェンカムイに皆殺されたと語るキムシプと、「これはどういうことなんだ」と動揺するウイルク。そこには何があったのか?

 もたもたしないで回収に行こうとする一行ですが、背後には第七師団がいるのでした。

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『ゴールデンカムイ』アニメ、本誌、単行本感想をまとめました。無料分が長いので投げ銭感覚でどうぞ。武将ジャパンに掲載していました。歴史ネタでより楽しめることをめざします。

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