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コロナ禍の黄色いバスの運転手・オンラインインタビュー<パンデミック下での大型免許取得>from USA

アメリカ、NY州在住のボリス・クルシンさんにオンラインインタビューを行いました。(ボリスさんのプロフィールは前回の記事をご参照ください)

コロナ禍のアメリカで、黄色いスクールバスの運転手になったボリスさん。大型免許取得にコロナはどう影響したのでしょうか?


――それではボリスさん、早速ですが本日はよろしくお願いします!

ボリスさん:はい、よろしくお願いします!

――黄色いスクールバスの運転手であるボリスさんですが、まずは何故バスの運転手になろうと思ったのか教えてください。

ボリスさん:理由はいくつかあるのですが、まずは子供の頃からの夢だったこと、車の運転、特に大きな乗り物の運転が好きだったためです。そしてもちろん給与面も大切です。それからバスの運営会社の組織体制が良かったこと、大型免許を取得するのに約半年かかったのですが費用は全てバス会社が出してくれました。

――免許取得費用を全てバス会社が出してくれるとは、凄いですね。

ボリスさん:はい。おそらく費用は全部で約2,000ドル(約21万円)くらいかかっていると思います。僕は去年(2020年後半)に免許を取ったのですが、その時ちょうどコロナパンデミックの最中で、年配のドライバーが大量に辞めました。それで新しいドライバーを大勢募集してたんです。大抵の人は大型免許を持ってないので、会社としては必要な出資だったのだと思います。

――なるほど。

ボリスさん:大型免許の取得という新しいことにチャレンジすること自体も魅力的でした。以前の仕事から徐々にこのバスの仕事へシフトできたのも良かったです。それから一番大切なのは、夏休みが長いことです。学校は通常3か月休みがあるので、その期間は他の仕事や趣味などやりたいことができます。シンプルに人生をもっとエンジョイできますよね。

――確かに1年間の内1/4が休みだったら人生もっとエンジョイできると思います。そういう仕事はなかなかないので羨ましいです。

ボリスさん:ただ入社してからわかったのですが、実際の休みは2カ月でした。その間にはちょこちょこトレーニングなどもあるし、希望すれば(いろいろな条件があるのですが)その2カ月の間も働くことができます。あと、働かない期間は給与でないので、良し悪しです。

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担当バスの前でマスク着用しながら自撮りするボリスさん(冬に撮影)。少ない生徒を乗せるルート用には、この小さめのバスが使われる。

――それは確かに良し悪しですね。ボリスさんはバスの運転手になってどのくらい経ちますか?

ボリスさん:約7カ月です。今年の1月から働き始めました。

――その前に大型免許を取得するのに半年かかったのですよね?

ボリスさん:はい。コロナ禍なので通常より随分長くかかりました。去年の今頃はDMV(アメリカの車両管理局、運転免許試験や車両登録を行う機関)が閉まっていました。DMVだけでなく、医療機関の健康診断やバックグラウンドチェック(信用調査のこと。アメリカでは犯罪・事故・自己破産・懲戒処分歴から、学歴・職歴の確認まで行われる)を行う機関も閉まっていたので、全てが遅れました。

――それは大変でした。コロナの影響はそういうところにも現れていたのですね。

ボリスさん:バスドライバーを含むエッセンシャルワーカーのためには特別な処置が取られ、時間はかかりましたがプロセスはされました。健康診断はとても精密なものが要求されます。ドラッグテストなども含まれますよ。通常はこういった検査などを含めて2カ月で免許が取得できるのですが、去年は半年もかかりました。

――通常の3倍もかかったのですか。

ボリスさん:今でもDMVなんかには遅れがでています。先日新しいスクーターを買ったのですが、通常ならただオフィスに行って登録を行うだけなのに、今は事前に予約を取って訪れる必要がありました。その予約も最短で2週間後でした。

――バスの運転手になって半年以上が経ったとのことですが、実際にドライバーになってみてどうですか? どういったことが楽しいと思いますか?

ボリスさん:バスのルートはいろいろあるのですが、僕がアサインされたのは養護学校に行くスクールバスのルートでした。いろいろなハンディキャップをもった子供たちを乗せて学校まで行くのですが、そのときに、バスアテンダントと子供専任のナースが同行します。自分を含め基本3人のチームで子供たちの送迎をします。徐々に良いチームになっていき、チームワークで行うことにとてもやりたいとういか、楽しみを感じました。

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運転席からの眺め。同じモデルのバスが並ぶ。

――養護学校への送迎をチームで行うのですか。それは少し予想外でした。

ボリスさん:僕のルートだと、送迎する生徒は3,4人で、年齢も小学生低学年から高校生までまちまちです。車いすに乗った子供や、授業中も看護師の付き添いが必要な子供もいます。バスの昇降ドアから車いすを出し入れするのには、バス側の操作と車いす側の付き添いで最低2名必要です。それから、バックグラウンドの異なるハンディキャップを持った生徒たちが皆車内で安全に過ごしてもらうために、バスアテンダントが必要になります。

――それはまさにチームワークですね。

ボリスさん:それから、車いすに乗った言葉の発せない女の子がいるのですが、その子はいつも周りを観察していて、目が合うとときどき笑いかけてくれる時があります。そういう時、とてもハッピーな気持ちになりますね。

――それはとても温かな気持ちになりますね。では反対に、この半年間で残念だったことはありますか?

ボリスさん:うーん……。すべてが新しくフレッシュで、ネガティブなことはあまりなかったです。あえていうならば、もう少し勤務時間が長いといいなと思います。

――残業ということですか?

ボリスさん:いえ、一日の労働時間が短いんです。朝と午後の送迎だと合わせても一日8時間の労働時間にはなりません。なので、一日8時間くらいの労働時間になればいいなと思います。時間給で働いているので。

――そのあたり、組織や給与体系について深堀させていただきたいのですが、長くなりましたので今回はいったんここで終わりたいと思います。ここまでありがとうございました!