「永遠のウイスキー響」─バーテンダーの視(め)
「響の17年物が手に入りましたぞ」と、数少ない友より緑色の便りが届いた。
「それはそれは、早々にいただきにあがらねばなりませんなぁ。して奥様の御機嫌は如何か? 」
「上々なり」
横浜に独り暮らしを始め、田舎の閉塞感から解放されてきた頃、近い将来には結婚し、この地へちょっとだけ良いマンションを買い、奥さんと子供、週末には友人を招き料理の腕を振るう……、などと夢想していた時期があった。しかしそれは杞憂。すっかり仕事に没頭している内、あっという間に20代を駆け抜け、気づけば