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たからもの

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#短編小説

湿気の街の住人。

湿気の街の住人。

 どうも、湿度文学。です。

 年中、湿度の高い街、「湿気の街」。
 ここでは、noteとTwitterで投稿している文章に登場する、街の住人を紹介します。

 ようこそ、湿気の街へ。

*

ペストマスクの男
濃紺色のペストマスクを被った男。「湿気の街」の住人を憂鬱から救おうと奮闘している。自称、「救世主」。正気な女子高生曰く「笑顔はあまりにも屑そう」。コーヒーと煙草が好き。イケメンが死ぬ程嫌い

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はらわた

※犬猫が殺される描写があります

「内臓触りてえなって」
「は? なんて?」
「内臓」
「が?」
「触りたい」
 部屋のど真ん中でデカい図体を横たえてグラビア誌を眺めていたフミヤがそう言い放ったのは、あまりにも唐突だった。週刊誌の熱いバトルシーンから現実に引き戻された俺は、彼の視線の先に目をやる。フミヤが広げていたのは、紐パン紐ビキニを身につけた巨乳の女が猫を抱いているページだった。
「お前、巨乳

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熱狂

 ぐしゃっ。だか、ぐにゃっ。だか、そういったような、自分の頭が潰れる音を、青田は他人事のように聞いていた。飲んでいた缶チューハイの中身が床に広がっていて、その炭酸の泡がポコポコと浮いている水面に、真っ赤な液体が混ざり、透明だった酒は青田の垂れ流す血液に侵食され始めていた。
 青田は、気分が悪くなってきた。痛いのは勿論だが、自分の血が混ざった酒は酷く不味そうだし、殴られた頭はなんだかぐにゃぐにゃに凹

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変態

 午後八時、ブロックで頭を殴られた。ブロックと言ってもLEGOブロックみたいなオモチャじゃなくて、民家の塀とかに使われる、コンクリートブロックだった。
 殴られた時、最初はまさかコンクリートブロックだなんて思わなかったんだけど、というか殴られたのもよくわかんなくて、なんか変な音がして頭がすごく痛いなーなんて思ってたら血がぼたぼた垂れてきて、めちゃくちゃ気持ち悪くなってきて、は? と思って振り返った

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