光るから星になる

最近読んだエッセイに、国際宇宙ステーションの観測をきっかけに交際が始まったという話が載っていた。実話と受け止めるには美しさが巨大すぎて、思わず友達のにーちゃんに電話で共有した。

ひとしきりときめいた後に『でもね、これ言うのちょっと恥ずかしいんだけど…』とはにかんだ前置きで、にーちゃんが思い出を話し始めた。

ある夜中に『流星群が見れるかもしれないから一緒に見よう』という理由で彼氏が突然家に来たらしい。にーちゃんの彼氏はこういうロマンチックを臆面もなくやるのがとても似合う人だ。にーちゃんはこれを「『きちゃった』をされる」と言う。

屋上に上がって毛布を用意し、寝転がって星を待つ。鼻頭を赤くしながら流れ星に何を願うか考えて、そのうち1つは隣にいる人と同じことを願うことを確かに感じる穏やかな時間。東京の空だからあまり期待していなかったようだけど、星は全部で4つ流れたらしい。『お願いごと4つ叶うね』と言ったにーちゃんに彼氏は『いっこでいいよ、』と返したそうだ。

『わたしこの先いつか他の人と付き合っても、絶対この瞬間を死ぬまで忘れないんだろうなって思ったんだよね』と確かめるような声音で締めくくられたこの濃縮ロマンスを浴びた私は、思わずベッドにひっくり返った。電話の向こうで流れる「もしもし!?りょう!聞こえてる??えーっ、どうしようWi-Fiかな…」をBGMに、恋は本当に人生にシーンをもたらすのだな、としみじみ納得した夜だった。

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