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星の花の便り

『気高い人』


これは金木犀の花言葉である。金木犀が咲くとあたり一面に甘く惚れるような香りと可愛らしい星の花が絨毯のように敷きつめられ、街はより一層華やかな秋の模様替えをする。街の中でこれだけよい香りのする花は少ないため秋の訪れを教えてくれるとても貴重な存在である。
残念なのは秋の長雨にさらされると小さな無数の星のかけらはあっという間に散って急に香りを落としてしまうことだ。それでも人は一瞬の高揚感をしっかりと記憶にとどめて離さない。

人はなんでも模倣したものを作り身近に置きたがる。それは人間のいつまでも無くさずに遺しておきたいという欲望が露わになったからだろう。味覚や嗅覚といったあらゆる五感が世の中に溢れかえったまがい物に狂わされているような気がする。
私はその中でも花の香りを人工的に作り上げたものになんだか違和感を感じる。確かに良い香りはするが、花のみずみずしさと清涼感にはほど遠く、芳香剤・消臭剤(特定の悪臭をかき消すための薬剤と言っても過言ではない)にしか思えないものばかりに感じる。やはり、花の香りは生きた花から胸いっぱいに深く吸い込みたいと思ってしまう。

今朝は10月のスタートにふさわしい金木犀の香りがほのかに揺蕩っていた。誰かと会った時に「今日は金木犀の香りがしたね」と言い合える季節になったなんて、なんだかくすぐったい。季節を″花″そのもので感じて心が通じ合える温もりをいつまでも大切にしたい。


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