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虹を描く

私は学童保育所でアルバイトをしている。これはある日の保育中に虹がかかった時のこと。

「ねねー!あの虹は誰が描いたの⁈」

私にそう質問してきたのは小学5年生の自閉症スペクトラム障害をもつ男の子だった。この子はすごく優しくて周囲の子に気配りもできる子である。私はこの子が発したこの言葉にすごくあったかい気持ちになった。虹を描くなんて発想は私にはなかったし気づかなかったからだ。この子は素直に純粋に思ったことを聞いてくれていた。周囲の子は「〇〇くん、虹は描けないんだよ?気づいたら空に浮かんでいるんだよ。」と教えていた。私はこの子の素敵な発想を壊したくなかった。はっきりと空に浮かんだ虹がだんだんと消えていくのを一緒に眺めていた。「虹が描けたら何色を使う?ずっと綺麗な虹を残していたいね!」私はこんな風にこの子との会話を続けた。この会話で他の子たちも大いに話が盛り上がりそのあと虹のお絵かきを楽しんだ。

私はこの話がすごくあったかくて心に残ったから知り合いに話してみた。でもその人は「虹なんて描けるわけないよね。障害持ってるから分からないんだろうね。」とひどく冷たい言葉を言い放った。私は話す相手を間違えた、と思った。こんなに人を突き放すような発言をする人だと思わなかったから悲しさまで込み上げてきたのを覚えている。

障害があるなしで人を区別するようなことを平気な顔をしてする人とは距離をとりたいと感じた。同じ人間なのにどうしてこうも優劣で差別を図ろうとするのかと悲しく思う。障害・性別等でラベルを貼りつけて人を区別し認識するようなことが当たり前になってしまってはいけないと考える。少なくとも私はそんなことをしたくない。私は他者を尊重しあえる、素敵な発想を共有できるような人にたくさん出会いたいと思う。今日も私はそんな人に出会えるように期待を胸に外へ出る。



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