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2時間の恋のシナリオ

バンドマンだけはやめとけよってどこかで聞いた覚えはある。

それならバンドマン風はありなのか?なんて考えている。

打ち終わらないパソコンの文字を目で追いながらこの2時間ずっと頭を悩ませているのはこの頃気になる彼のことばかりだ。

初めて会った時、私と変わらないくらいの背の低さと、毛先があちこちに遊んでいるかのような天然パーマと、撫で肩の3つのポイントがいかにもライブステージでベースを引いていそうなバンドマンにそっくりで脳裏にバチっと焼きついた。

名前と顔を一致させるのが苦手で、マスク時代になってからというもの、さらに困難になった人当てゲームにおいても彼だけは難なくクリアできた逸材だった。

周りをよく見て動いてくれる彼は誰からも気さくに頼られている。

嫌なところが何一つ見当たらない好青年と言うべきだろうか。

たまにでるお茶目な人柄がより一層愛される秘訣だろうか。

私もその愛嬌が欲しい…。

風の噂によると、最近彼は恋人と破局したらしい。

ずいぶん長く付き合っていたようで、結婚を視野にそろそろ動き出そうかとしていた際に振られたそうな。

これはかなり痛い、、、大怪我だな。

それはそれはショックを受けていて、失恋のせいか普段ならありえない小さなミスも頻発している。

別に失恋の隙を狙って落としたいとかそういうことではない。

そこまでして恋人になってほしいとは思っていない。

だいたいそういうパターンで一緒になったカップルの行く末はそう長くはない。

思い出も薄く、寿命も短いのだ。

とにかく、私は彼に元気を取り戻していつものようなお茶目な姿を見せてほしいだけなのだ。

彼の調子が狂うと、私までネジが飛んで狂いそうなのだ。

現に、仕事に集中できていないのだから困ったものだ。

そういえば、お菓子作りにハマっている話をした時に、甘いものが食べたいって言っていたなぁ。

近頃甘いものをもらったり、誰かと一緒に食べたりしてなくて欲しているって拗ねていたような。

きっと破局前は彼女さんと一緒に食べていたんだろうなぁ。

そりゃそうだよね。

カップルならデートやらイベントごとで食べるものね。

酸いも甘いも一緒にね。

今度、お菓子を差し入れしようか。

あまりものっていうことにしたらいいよね、

差し入れで他のスタッフにも渡せばカモフラージュにもなるし。

そんなことばかり考えている。

結局何も進んでない、この2時間。

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