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3回目の転職活動を包み隠さず振り返る

転職活動でM社に内定をいただき、入社が決まった。

一区切りついたこの状態で、今回の転職活動を振り返ろうと思う。

これは自身のためでもあり、今後身近な誰かが就職・転職する際に役に立つことを想定して記録・公開することにした。

1.企業が候補者に求めるもの


今まで耳にタコができるほど聞いて知ってはいたが、改めて、転職活動とは自身と企業のマッチングの場であることを再認識した。
だからこそ、自己分析して自身がどんな特徴・人間性・性格であるかを表現する必要があり、企業はそれが自社でマッチするかを見極める

企業側が候補者に求めることはたった2つ。

自社で活躍できるか
 →経験、能力を見る
長く働けるか(早期離職しないか)
 →性格、価値観を見る

候補者が企業にアピールすることもたった2つ。

①希望企業で活躍できる根拠
 →経験、能力
②希望企業にフィットする根拠
 →性格、価値観

双方のどちらかでも嘘偽りがあると、ミスマッチによるストレスや早期離職に繋がりやすい。企業は莫大なコストを投じて人材採用をしているのでミスは許されない。
だからこそシビアな戦いになることが多い。

さて、自身の転職活動を振り返っていきたい。

2.転職活動3回目のリアル


9月1日から本格的に転職活動をスタートさせた。

9月中は不採用が連続し苦労した。3回目の転職ともなると過去の転職活動時より書類選考の通過率はガクッと下がった気がする

職務経歴書の推敲を繰り返した結果多少は改善したが、「転職回数」と「経歴で転職ホッパーの烙印を押されて門前払いされるリスク」は比例する事実を目の当たりにした。
でもこれは仕方ない。自分が採用担当者でも合理性と確率論を考えてそうするだろうから。

面接では特に志望度が高かったS社やU社で玉砕したのは精神的ダメージが大きかった。
面接の敗因を突き詰めると、以下が不明瞭であることがわかってきた。

・転職・退職理由
・転職の軸

負けが込んでいた時は、転職理由を聞かれて「年収を上げたい、オープンコミュ二ケーションな環境が良い」と話していた。
これは企業によって解釈のされ方にズレがあるため非常にリスキーな回答である。他責思考と思われても仕方がない。

つまり裏を返せば、上記のように面接で必ず聞かれる質問に対して自責思考で理路整然と話せる準備さえ万全にしておけば面接選考の通過率は高くなるということだ。

仮に不採用となったとしてもそれは企業側とのアンマッチでありお互いにとって幸せだったと言えるので後悔が少ない。

ただし、100%本音ベースで話して100%マッチすることはありえないので、ある程度選考企業に寄せた話し方を心掛けるとさらに通過率を上乗せできる。
これは企業HPなどでミッション、ビジョン、バリュー、カルチャー(MVVC)をチェックし、自身の価値観や経験とマッチする部分を探すと良いだろう。

3.コミュニケーション能力とロジカルさとは何か


面接で大切なのは、経験や話す内容以上に、コミュニケーション能力だと思う。(特に営業職希望であればなおさら)

コミュニケーション能力と聞いて苦手意識を持つ必要は全くない。

なぜなら、ちまたでよく言われる愛想の良さや人と打ち解ける早さとは全く関係がなく、誰でも意識して訓練すれば身につけられるものであるからだ。

転職活動でいうコミュニケーション能力とは、以下2点を指す。

①質問に対して的確+端的に答える力
②相手の意図を汲み取って、プラスアルファ(ちょっと突っ込みたくなるような話)加えて返答する力

②はややレベルが高い話だが、①が問題なくできていればよほど倍率が高くて難関企業でない限りはそこまで苦労はしないはずである。

また、よく言われる「論理的思考」「ロジカルさ」もここで言語化しておくと、
以下ができることを指している。

—-----------------------------------------------
質問に一言で端的に答える
      ↓
補足説明(根拠、理由、具体例など)

—-----------------------------------------------

たとえばこんな感じ。

—-----------------------------------------------
Q.
他の企業からも内定を複数得たとして、その中で1社に選定する上で基準となるものは何ですか?

A.
一言でいうと、価値観です。価値観とは、自身の価値観と企業のバリューがフィットするかどうかを指しており特に重視しています。なぜ価値観を大事にするかというと、今後長く同じ環境で働き続けたいと考えているからです。なぜ長働きたいかというと・・(省略)
—-----------------------------------------------

①答え → ②根拠、理由、具体例など


結論から伝えて、その後徐々に話を膨らませていく。

というより、この話し方をしていれば必然的に自身の価値観や人間性までドリルダウンした話になるので、お互いにとって都合がいいのである。
これは、簡単そうに見えるが実際にやろうとしたら驚くほどできないことが多いので、練習と経験を積んで身につける必要がある。

※上記の形式でロジカルに話したとしても一方的に話し続けるのはNGなので注意。
 あくまで最優先すべきは面接官との会話のキャッチボールであることを忘れない。

4.合否を分ける最大のポイント


上記ができた上で、合否を分ける大きなポイントは逆質問の時間である。
これは企業にとって候補者を採用するか否かを見極める絶好の機会。

余談だが、逆質問の時間に「特にありません」などと言い放ってしまう人がいるとしたら、それは意中の人との初デートで何も喋らないのと同じくらい「何しに来た!?!?」感が満載なのでくれぐれも気をつけてほしい。


具体的には以下を見られている。

・志望度合(事前準備、情報収集力)
・職種・職務の理解度
・先回りして物事を想像し、リスクや懸念を察知する力
・候補者が職場に求めるもの


まず、入社して実際に働くことを前提で質問しているかが大きなポイント。
営業であれば、与えられる年間予算と取扱商材の平均単価くらいは最低限押さえておくべきだろう。これを聞かずに営業で成果を出したいとかいくら口でアピールしても、行き当たりばったりな奴か本気度がない奴と思われる。

社会人経験がある人ではなかなかいないと思うが、企業側が一般公開している情報(HPやSNSなどの公式情報)に記載されていることをわざわざ面接の場で聞くのは印象が悪い。
志望度が低い、自分で調べる能力がないと思われて不採用となる可能性が高い。

就業条件(給与、就業時間、福利厚生など)について聞くのもリスキーだからやめた方がいいだろう。
自由に質問してくれという時間なので本来であれば聞きたいことを聞く場であるはずだが、条件にフォーカスした質問をすると、どうしても質問の受け手は「仮にその条件が満たせなくなったら退職するのか?」という疑問から逃れられなくなる。

条件は上を見ればキリがない。選考中の企業よりも条件で上回る先はいくらでもあるはず。
たとえるなら、結婚相手を顔だけで選ぶようなものだ。選ばれる側からしたら「他にいくらでも顔が良い人がいるのになぜ私なの?」「他の意図があるんでしょ」「本音はなんなの?」となるだろう。

だからこそ、その企業のオンリーワンに惚れた!と言わねばならない。
仮にいくら探しても考えてもオンリーワンがないのであれば、そんな企業には行くべきではない。

そして条件面に関しては他に知る手段がいくらでもある(転職エージェントを通して確認する、信用できる口コミを見るなど)ので、あえて面接で聞くのはナンセンスと言える。

5.転職活動中の軌道修正


自身は、U社の不採用通知を受けた9月下旬あたりから、改めて以下を見直した。

・転職理由
・転職の軸
・質問に端的に答えること
・会話のノイズをなくすこと(あのー、んー、なんていうんですかね、など)

転職理由は、「ゴリゴリ数字を追って達成感を味わうこと」とした。
これがかなり功を奏したと思う。MAツールなどが台頭してきたとはいえ営業職が不必要な会社は今のところほぼ無いし、営業職であるのに数字は追わなくていい会社もほぼ無い。
つまり、営業で数字を追う意欲がある人というのは採用したいと考える企業が相対的に多い。(実績もあればなお良し)
特に営業に力を入れていて、社内競争を推奨している企業からの受けは抜群だ。入社を決めたM社はまさにその典型である。これからの急成長を目論んでいるベンチャーなどでも喜ばれる話だろう。
話していて自身もワクワクするため、これが自分が求めていることであり本音なのだと自覚できた。過去の達成経験が起因しているのだと思う。

上記に加えて、過去扱ってきた商材が無形で自社のサービスと近ければ近いほどマッチ度は増す。どれほどの成果を上げてきたかは人それぞれだが、大体の人は盛って話すので企業側も話半分に聞いているはずで、それ以上に重要なのは自社のカルチャーとのフィット感だろう。

ただ、数字ゴリゴリをアピールすると、「だったら外資系企業かフルコミの保険営業マンでもいいのでは?」という疑問を持たれる場合が多い。
それを望んでいる(そういう企業の選考)のであれば全く問題ないが、そうでないのであれば、個人の成果でチーム、会社に貢献したいという考え方を持っていることも合わせて伝えるべきだろう。これは聞かれる前に自分で予防線をはるのがベスト。
顧客満足を無視したり他人を蹴落としたりしてまで自身の成果にこだわる奴と思われたら損である。

結果、今回の転職は大成功だった。今後の選考企業も考慮しつつ、11月中には就業することになる予定である。

6.転職活動の軽いまとめ


転職活動とは、企業と候補者の化かし合い、いたちごっこに見えるくらい本音より建前が多い勝負である。(当事者でない第三者が見たら、茶番以外の何物でもないだろう笑)

が、この構造を理解した上で勝ちに行ける戦略を立てられる程度に地頭が良いビジネスマンと一緒に働きたいと思う企業が多いので、この仕組みで転職市場はずっと回り続けている。

採用選考を進める中で誰もが気づくことだが、企業によって特徴がたくさんあって面白い。入社もせずに企業の内情を知れる機会は転職活動以外になかなかない。

特にライブである面接で取り繕うのはお互い難しいので、リアルが見える貴重な瞬間だ。経験なので存分に楽しんで今後の社会人生活の糧とした方が得である。

したがって、まだ入社が決まっていない段階で候補者に違和感を抱かせる企業には絶対に入社してはいけない。たとえ取るに足らない小さなことであったとしても。
(単にあなたと企業の相性が悪い・カルチャーフィットしない可能性もある)

7.選考段階で気づくべき!企業に対する違和感とその原因


たとえば以下のような要素で、企業の程度を知ることができる。

◆日程調整の返信の早さ
→社内の意思決定の早さ、風通しが知れる

◆開始時間前に面接を始められるか、オンタイムで開始されるか、遅れてくるか
 遅れた場合は、冒頭に口頭で誠意ある謝罪があるか(謝罪せずにシレっと面接を始める面接官が意外と多い……!)
→社内&客先での時間感覚、誠実さ、隠蔽体質の有無が知れる

◆面接官がまず自己紹介や会社紹介をするか、いきなり質問や自己紹介を求めてくるか
→候補者の立場をどう捉えているかが知れる

◆面接での会話の自己(自社)開示具合
→社内のコミュニケーションの様子が知れる

◆面接しているときの会話のスムーズさ、表情、ジェスチャー
→面接官の地頭の良さ、会話慣れしているかどうかが知れる
→会社の顔として社外に出して恥ずかしくない人を面接に出せるほどに
 人材レベルを有しているかが知れる

◆上から目線か、フラットか、下手に出てくるか
→社内の縦社会具体を知れる
→面接段階でもうすでに自分の部下のように敬語を引っ込めてくる人(企業)は危険
 逆に下手に出てき過ぎる企業も薄っぺらくてNG

◆周囲のノイズの有無
→オフィスのレベルが知れる
→採用面接すら個室でできないショボいオフィス 
→採用する人材に対する優先度の低さが知れる → ブラック企業の可能性

◆Web面接システムの質(映像がフリーズせず、音声がプツプツ途切れずクリアか)
→企業の資金力&ネットリテラシーが知れる
→インターネット環境(回線やPCなど)に投資できないほどに資金不足、
 大した問題ではないと考えているズレた感覚の経営者である可能性

※上記例はあくまで主観だが、会社の歴史が浅かったり、面接官の年齢が若いほど上記のような違和感を与えてくる可能性が高い傾向がある。そんなところでマイナスな印象を与えてくるなよもったいないと言いたくなるようなポカをやらかす。

8.リモート・Web面接ならではの注意点


COVID-19の影響でリモート面接が多いため、リアル対面以上に、表情や頷く仕草、相槌のうまさが求められている気がする。これがへたくそな人はそもそも選考の土俵に上がれていないので、自己認識して練習・改善する必要がある。

また、「服装自由」を真に受けてTシャツで面接に望むのもおすすめできない。
Yシャツやスーツで面接しても失うものは何もないが、Tシャツだとそれだけで全てを失うリスクをはらんでいる。
(シャツの柄、色、ロゴなどを見せられた日には、面接の会話が頭に入ってこなくなる。)

だったら企業側が最初から「スーツ着用」と書いておけばいいのだが、あえて服装自由を謳う目的があることを考えねばならない。
それくらい建前を利用して人を判断する企業も一定数あることを踏まえて無難 of 無難を選択するのが正しいと言える。
常に自分が相手にどうみられるか、相手がどう感じるかを考えられればそこまで難しい判断ではない。


9.内定~入社~勤務の流れはどの企業でも同じように見えて実は違うという話

ここで、内定→入社は誰でも同じように見えて実は同じではないという話をしたい。

入社は内定が獲得できれば誰でも可能だが、入社の仕方は千差万別だと思う。
たとえば企業側の本音を考えるとして、以下の2パターンを見てほしい。

(1)採用か不採用か悩むけれど他の候補者と比較検討した結果、相対的に内定を出す
(2)「今まで何千件と採用面接をしてきたけれど、
    あなたほど採用したいと思った人は過去にいなかった。ぜひ入社してほしい」
   と内定を出す

両者の入社後の仕事の成果に対する昇給、出世、仕事のしやすさを考えたら、一口に内定といっても、スタートラインの位置は選考~内定の段階で既に差がついていることがわかる。

もちろん、期待値が高くない中で成果を出して信用を得ていくという勝ち方もある。
しかし、(2)のように最大の期待値を引っ提げて入社できるチャンスがあるのならそれに越したことはないのではないか。というのが現在の自分の答えである。
考えてもみてほしい。自分は現在何歳か。転職回数は?今後のキャリアを考えても、転職する可能性は決して多くはないだろう。

転職の際に、高い期待値をもって入社企業に迎えてもらえるチャンスは、人生のうち何度経験できるだろうか。1度も経験しない人も決して珍しくないはずである。そんな中、もし大きな期待と共に内定をもらえたのであれば、それはこの上ない喜びであり、社会人冥利に尽きるというもの。今まで頑張ってきたことが認められた瞬間でもある。その期待に応えてほしい。内定を出してくれた企業に、自分を選んで間違いなかったと思わせてほしい。

期待値のコントロールの難しさは、別の記事で詳しく書いているので、もし興味があれば覗いてみることをおすすめする。



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