みろひー(今城裕実)

キラキラ起業女子には程遠い、ぬるめ古参オタクのWEB系自営業者。公私ともにフリーランス…

みろひー(今城裕実)

キラキラ起業女子には程遠い、ぬるめ古参オタクのWEB系自営業者。公私ともにフリーランスなJJ(熟女)。ほぼ仕事に関係ない話をゆるっと書いています。長期間放置からの気まぐれ再開。別のSNSに書いていたものからの転載もあるので、時間軸がバラバラです。

記事一覧

天命ガラガラ

大阪というところは、油断できない街である。 いつどこで、まるでコントのような会話に遭遇するかわからない。 ある日、大阪南部にあるN駅直結のショッピングモールで服を…

唇に溺れる

自転車で遠出をした。 まだ真夏ほどの潔さはない蒼穹を仰ぐと、ふと「ああ、世界って広いんだな」とあたりまえの感慨が浮かんだ。 世界は、とても広くて。 私は、とても小…

揺れて揺られて南海電車

まだコロナのコの字も聞こえてなかった時期の、春浅いある日。 神戸方面に所用があって、私は電車に乗っていました。 休日の南海線は思ったより混雑していて、短い前足…い…

夜の底、天空の穴

確か、小学生になって間もなくのこと。 夜空の満月をはるかに仰いだ時、幼い私の頭に、ふと「ある考え」が浮かんだ。 あれは、夜空に浮かんだお月様だと言うけれど、ほん…

ご飯を冷凍する前に肩にのせてみたら予想外の一石二鳥だった話

深夜3時。 草木も爆睡している時のことです。 仕事を終えた私、もうボロボロでした。 他人が見たら、機織り直後の鶴か遡上後の鮭のようだと思ったことでしょう。 しかし、…

花見の思い出(うちの子、視野欠損したってばよ)

お花見の季節になると、思い出すことがある。 あれはもう十年以上前の出来事。 毎年恒例となっていた、K市での花見オフ会に参加するために私は家を空けていた。 当時の私…

自己肯定感と事実認識の話

「自己肯定感が高くなければ成功しない」という話に、疑問を持っている。 というか、自己肯定感という言葉をなんだか誤解している人に対して。 例えば。 私が「パートナー…

高難度クエスト!パーティードレスを探せ!!

先日、友人の結婚式&披露宴がありまして。 今どき主流の会費制ウェディングパーティじゃなく、立派な式場の本格的なやつ。 で、困ったのが「なに着て行こう…」ですよ。 …

インキ臭い男

16歳になってすぐ、アルバイトを始めた。 家の近くにあった、パンとケーキと喫茶の店。今風に言うなら、カフェベーカリーと言ったところ。 商品を出す時に、たまたま手が空…

天命ガラガラ

大阪というところは、油断できない街である。 いつどこで、まるでコントのような会話に遭遇するかわからない。 ある日、大阪南部にあるN駅直結のショッピングモールで服を選んでいた私のすぐ側で、三人組のご婦人が服を見ていた。 年の頃はアラコキだろうか。この世代の大阪女性にありがちな非常に賑やかな声で、いやでも耳に入ってくる。 A「いやっ!あんた、これええんちゃうのん!」 B「ほんま、ええ色やわ。ちょっと着てみよかしら」 どうやら、婦人Bの服を買うのに付き合っている様子。 ちなみ

唇に溺れる

自転車で遠出をした。 まだ真夏ほどの潔さはない蒼穹を仰ぐと、ふと「ああ、世界って広いんだな」とあたりまえの感慨が浮かんだ。 世界は、とても広くて。 私は、とても小さくて。 ぐん、とペダルに力をこめると、自転車は風を切って進む。 この広い世界で、小さな私と、小さな他の生命が出会うことは奇跡だろう。 そう奇跡、滅多にない、ものすごく低い確率……の、はず。 なのに、なぜ。 こうも頻繁に、私のリップグロスで羽虫が溺れ死ぬのか。 やめろよ。こんな広いんだから、もっと他の死に場所あ

揺れて揺られて南海電車

まだコロナのコの字も聞こえてなかった時期の、春浅いある日。 神戸方面に所用があって、私は電車に乗っていました。 休日の南海線は思ったより混雑していて、短い前足…いえ腕を伸ばして吊革を持ち、車両の中ほどに立つことに。 私の目の前に座っているのは、今風のあっさり顔のお兄さん。フィギュアスケートの羽生くんを田舎風に煮しめて少し拡大コピーしたような、高身長でスラリとした純朴そうなイケメンです。 しかし惜しいことに、メガネかけてない… 惜しい。実に惜しい。 4回転ジャンプでわずかに両

夜の底、天空の穴

確か、小学生になって間もなくのこと。 夜空の満月をはるかに仰いだ時、幼い私の頭に、ふと「ある考え」が浮かんだ。 あれは、夜空に浮かんだお月様だと言うけれど、ほんとにそうなのかな? 自分の目で確かめたわけじゃないから、実はちがうのかもしれない。 もしかしたらあれは…ずうっと高いところに開いた穴なんじゃないの? ほんとは、この世界は壺の内側のようなカタチをしていて、お月様と思っているあれは、はるか上に見えている壺の口で。 私たちは壺の底に住んでいて、仰ぎ見る壺の口から射す光をお

ご飯を冷凍する前に肩にのせてみたら予想外の一石二鳥だった話

深夜3時。 草木も爆睡している時のことです。 仕事を終えた私、もうボロボロでした。 他人が見たら、機織り直後の鶴か遡上後の鮭のようだと思ったことでしょう。 しかし、腐っても(意味深)主婦。 「パトラッシュ、僕もう疲れたんだ…何だかとっても眠いんだ…」と、目を閉じるわけにはいきません。 明朝のご飯のため炊飯器をセットしなければ。 キッチンに行き炊飯器をあけると、茶碗2杯分ほどのご飯がまだ残っていました。 しゃもじで取り出して、ラップに包んで、平たくして。 でもまだ熱々のご飯、

花見の思い出(うちの子、視野欠損したってばよ)

お花見の季節になると、思い出すことがある。 あれはもう十年以上前の出来事。 毎年恒例となっていた、K市での花見オフ会に参加するために私は家を空けていた。 当時の私はストレスの塊みたいなもので、温かく迎えてくれるK市の友人たちに会うのが楽しみで楽しみで。 花見前日に前ノリして、友人2人とともに滝と渓流で有名な観光地へピクニックに出かけ、山を登り始めた時――。 携帯電話が鳴った。 目の調子が悪いと近所の眼科医院に行っていた息子(当時十代後半)が、大きな病院で検査をすることになっ

自己肯定感と事実認識の話

「自己肯定感が高くなければ成功しない」という話に、疑問を持っている。 というか、自己肯定感という言葉をなんだか誤解している人に対して。 例えば。 私が「パートナーがいたらいいなと思うようになったけど、私のスペックだとなかなか難しいよね」と言ったら。 脊髄反射で 「そんなこと言っちゃダメだよ!もっと自己肯定感を高く持たないと。私のスペックが~なんて言ってたら、幸せが逃げちゃうよ!」 と力説してくる人がいる。 マジでいる。 私は思うのだ。 「節子、それ自己肯定感ちゃう、脳内

高難度クエスト!パーティードレスを探せ!!

先日、友人の結婚式&披露宴がありまして。 今どき主流の会費制ウェディングパーティじゃなく、立派な式場の本格的なやつ。 で、困ったのが「なに着て行こう…」ですよ。 二次会にも行くので、着物じゃ動きづらいし、かと言ってドレスなんて持ってないし。 ここんとこ、コンビニ以外開いてない時間帯しか自由がないので、なかなか買いにも行けなくて。 ギリギリ前日になってから、何とか時間をつくって服を買いに行きました。 以下、イイ歳のBBAが迷って迷って服を買ったという、ものっそいどうでもいい話

インキ臭い男

16歳になってすぐ、アルバイトを始めた。 家の近くにあった、パンとケーキと喫茶の店。今風に言うなら、カフェベーカリーと言ったところ。 商品を出す時に、たまたま手が空いていたのでマジックでPOPを書いたら、よく売れるようになった。 その後、オーナーに言われて店のPOPと値札を書くのは私の仕事になった。 当時は、POPの書き方を教えてくれる講座もなく、本ですらほぼ皆無で書ける人が少なかったので、「便利なバイトの子」として重宝された。 オーナーづてに、常連さんのお店のものを頼まれる