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妄想してる間に大人になった | 0512-14日記


5月12日 失ってしまったもの

スタバのいちごフラペチーノに感動しなくなったのは、一体いつからなのか考えていた。

それを初めて飲んだのは高校生のとき。たしか体育祭の準備期間で、同じチームだった友達と放課後2人で飲みに行った。シブツタ1階のスタバだったと思う。
端的に言って、めっちゃくちゃ美味しかった。あまりに美味しかったから、それからは毎年いちごの季節になるたび飲みに行った。2,3回飲んだ年もある。ある種の恒例行事になっていた。

「でも」なのか。それとも「だから」なのか。
歳を重ねるにつれて、私はいちごフラペチーノに感動しなくなった。発売されるという情報を聞いても、ワクワクしなくなっていた。以前は発売日を心待ちにしていたのに。ただ甘いだけじゃん、なんて。捻くれたことを感じるようになってしまった。

もう感動しないんだよね、と言いつつも、心のどこかで感動を待っている自分がいる。飲んでみたら「やっぱり美味しい!」と思えるんじゃないか。あのときの心が躍るような感動をもう一度味わえるんじゃないかって。

というわけで、今年も飲みに行ってきました。

イラストが可愛い

最初に出てきた感想は「やっぱり甘いな」だった。
私はいつから、甘さを甘さでしか認識できなくなったんだろう。甘さから広がっていく背徳感とか高揚感とか、そういうものを感じていたいのに。

あるいは、元々いちごフラペチーノ自体に大した感動はなくて、「飲む」ことに付随する状況が特別だったんだろうか。放課後に友だちと渋谷に行って、決して多くはないお小遣いをはたいて700円の飲み物を買う。加工アプリを使って自撮りをして、インスタのストーリーに上げる。そんな状況も全て含めて私は感動していたのか。

もしそうだとしても、漠然とした寂しさは消えない。眩い制服だけではない、大事なものを失ってしまったような気がする。


5月13日 #食欲に抗わない生活

何かを食べながら、道を歩いてる人が好きだ。

観光地にあるような食べ歩き商店街の道ではなくて、住宅街にある裏路地やオフィス街の大通り、河川敷など。何の変哲もない道で食べ物を片手に歩いてる人を見ると、思わずにやけてしまう。
「なんか良い」って、まさにこういう気持ちのことだ。中にはマナーが云々と言う人もいるんだろうけど、なんか良いなと私は思う。食欲に抗えないって感じで。人間らしいじゃんか。

先日、ワッフルをそれぞれ両手に持ちながら並んで歩く3人組を見かけた。それなりに大きな駅のコンコースだった。1つじゃなくて2つ買っちゃうところも、我慢できずに同時に食べちゃうところも、そんな可愛い悪事を働ける友だちがいるところも。全部が素敵で、とても満たされた気分にしてもらった。

そして今日、片手に傘を持ちながらホットドックを食べている人に出会った。雨のなかホットドック......?? その姿はなかなかにシュールで最初は驚いてしまったのだけど、すれ違ってから反対方向に歩いているうちに、その人のことをどんどん好きになってしまった。振り返って、ホットドックに食らいついている姿をもう一度見せてもらいたいと思った。

いっぱい食べる君が好き♪という歌があるけど、私も食欲に正直な人が大好き。食を楽しんでいる人が好き。美味しそうに食べる人が好き!
わたしの大好きな人たち、飯をいっぱい食ってくれ。


5月14日 妄想してる間に大人になった

GW中に見た原田マハさんトークショーでの話が、
ずっと頭に残っている。

棟方志功の孫であり研究者でもある石井頼子さんと共に、棟方志功について、そしてマハさんの作品について語ってくれるというイベント。私は残念ながら参加できなかったので、後日オンラインでアーカイブを見た。
沢山いる作家さんの中でも、特に敬愛しているマハさん。文章が好きなのは勿論、私はマハさんの話を聞くことも好きなのです。

今回は対談相手が実の孫ということで、マハさんの脳内にある棟方と、石井頼子さんの記憶の中にある棟方とのギャップが聞けて面白かった。

「まあよくもこんなに妄想を広げられるなって!笑」
「わたしは妄想が止まらないので......笑」

※ニュアンス

マハさんと言えば、アート小説。
ただ、そのうちの何割かは完全なフィクションで構成されている。(全く実在していない人物がメインキャラクターとして登場することもある)  
それは全てマハさんの想像力、もとい妄想力で作られているらしい。とにかく妄想するんだと今回の対談でも言っていて、石井頼子さんも驚いていた。

私も、よく妄想をする。
小学生のころは好きな男の子といい感じになる妄想、少し成長してからは好きなアイドルと結婚する妄想。
その癖は今でも変わっていない。架空の恋愛(のようなもの)に限らず、誕生日プレゼントをもらう妄想とか、友だちと交わす日常会話の妄想とか、とにかくありとあらゆるものを妄想している。想像や予測とは少し違う。もっと楽観的でポジティブなものだ。

好きな男の子と手を繋ぐ妄想をしていた頃、まさか大人になっても妄想を続けているとは思わなかった。大人は現実の世界を生きているんだと信じていた。いや、今でも信じている。妄想ばかりに浸っている自分を客観視したとき、突如として猛烈な劣等感に襲われる。周りに置いていかれながら、私だけが妄想の世界に取り残されているみたいだった。


妄想してる間に大人になった。大人になってしまった。
でも今回、ほかの誰でもないマハさんの口からはっきりと「妄想が止まらない」という言葉を聞いて、妄想に浸るのも悪くないと思えた。子供の私と、大人の私。2人の私が救われていくようだった。

本もすごく良かったので是非。

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