マガジンのカバー画像

風俗嬢に人生を救われた話

15
そのまんまです。 人生をどう躓いて、どう足掻いて、どんな迷惑をかけてしまって、どう救ってもらったのか。 あれこれ綴っていきます。
運営しているクリエイター

#痛い話

風俗嬢に人生を救われた話(9)

風俗嬢に人生を救われた話(9)

<無音>

10月。一度も店に行かず過ごしたのは、実に10ヶ月ぶりだった。肉体的にも精神的にも、とても楽だったのは、なんとも皮肉な話だ。登楼がいかに自分の心身をすり減らしていたのか、窺い知れるというものである。
とは言え、世話になった女性達の写メ日記については、ちょこちょこと拝見していた。元気でやっているかどうかが気になったし、注目度が上がりやすいよう、ランキング等の投票には協力していたからだ。

もっとみる
風俗嬢に人生を救われた話(8)

風俗嬢に人生を救われた話(8)

<潮時>

9月末の休日。いつものように、重たい体を引き摺りながら、店へ向かっていた。
それにしても、この日の重さは格別だった。

理由は単純明快だ。
決別を宣言するためである。2度と、店に来ることはないと。

きっかけは、思わぬ形で訪れた。贖罪を理由に、今後も通い続けるのは責務ではないか、と考えていたところを、別の事情で、それができなくなった。

かねてより交流があった女性の1人と、正式に交際が

もっとみる
風俗嬢に人生を救われた話(7)

風俗嬢に人生を救われた話(7)

<冷笑>

約束を取り付けてから数日、何度かLINEのやり取りを繰り返した後。
一通の連絡で、状況は一変した。

「この間は思わず外で会う、なんて言っちゃいましたけど、すみません。
やっぱり、お店に来られないなんて辛すぎます」

――さもありなん、である。
当然、落ち込んだ。だが、彼女の気持ちはおおいにわかった。

ロングタイムで入るものの、行為はスローで摩擦・消耗が少なく、そのくせ月辺りで入る回

もっとみる