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-THE INTERVIEW- #07 Koichi(前編) 〜写真を愛する人が語る、写真のこと〜

こんばんは。STAFFのはるきです。いよいよ夏ですね。梅雨どこいった…
さて、お久しぶりの THE INTERVIEWの時間です。

大人気企画のインタビュー本編、第7弾!
「 THE INTERVIEW 」は実際に4 Silent Birdsのカメラストラップを愛用されている方に、インタビューをさせていただき、その方の視点や活動のお話、写真を撮る日々の中にカメラアクセサリーを取り入れる楽しさやこだわりを聞き出していく連載企画。

本日は日本中を飛び回りながら写真を撮り続けている、Koichi氏にお越しいただきました!
KoichiさんのInstagramアカウントがこちら

「hakuchuu」として知っている方も多いのではないでしょうか。日本の四季や花火を文字通り「すべて」追いかけながら写真に収めているKoichi氏。写真界隈のバズを牽引しているといっても過言ではないフォトグラファーですね。
今回は、僕の友人でもあるKoichi氏にインタビューをさせていただき、彼のフォトグラファーとしての生い立ちや、美しいとまで言える彼の写真への愛や作品撮りにかける想いを前半に、後半にはその行動力とフィルムカメラを使い続ける理由、「写真家」としてのこれからについてを聞いてきました。

Koichi氏のファンはもちろん、写真を愛するすべての人にぜひ読んでほしい内容です。ぜひ、お楽しみください!


行動の全てが写真のために。フォトグラファーKoichi誕生秘話

はるき ── とはいえ、結構付き合いも長いので今日は友達同士の会話ぐらいのテンションで喋っていけたらなと思います。Koichiくんと呼ばせてもらいますね。

Koichiくんのフリーランスフォトグラファーとしての普段の活動はどんなことをしていますか?

Koichi ── 今は地方創生メインで活動していて、地方創生について掘り下げてしまうとそれだけで相当長くなってしまうんですが(笑)、47都道府県あってその中の県によって季節ごとに見頃やおすすめがたくさんあって、もちろん各県にも写真家さんがたくさんいて活躍されているんだけど、その地域ごとの写真家さんと一緒に色々なことをしていくのが最近の主な活動だね。

はるき ── 地域の人たちと一緒にやっていく。

Koichi ── そうそう。その土地は良さがいっぱいあるから、それを自分なりの視点で見て伝える。関東にいるカメラマンがポンときました、それは悪いことだけではなく客観的な視点も持っているということで。さらにそこで仲良くなることで内部にも目を向けていけて、長い間通うことによってだんだん自分の視点が変化していくというところ含めて、新しく自分が行く土地でできることだと思う。だから自分なりに協力できる部分で色々お手伝いさせてもらうというのが自分なりの地方創生で今やらせてもらっていることだね。

8×10判フィルムの大判カメラ
通称「エイトバイテン」で撮影した
山口県長門市、俵山温泉の方々

はるき ── いくらでも話せてしまいそうですが(笑)話が逸れてしまいそうなので次の質問にいきますね。Koichiくんの写真の活動歴を教えてください。

Koichi ── 大学卒業後1年間家具屋さんで働いた後、クリエイター3人でチームを結成したけど、それぞれやりたいことが見つかったので半年で解散することになりました。そうこうしているうちにお金が途絶えて、アルバイトをしないとまずいぞ、俺ニートじゃんってなっちゃって。自分の元職場のカラオケ屋が運営しているスタジオにお願いしてアルバイトするようになったと。もちろんそれだけじゃ足りないからいっぱいやらなきゃいけなくなって。でも飲食店やそれ以外の会社で働くことは自分の中では違うなってなって思ってたのね、だから何かしら写真に関われるところに身を置きたいと思ったのよ。

スタジオとか文教スタジオのスタッフとして六本木ヒルズの展望台で写真を撮っていて、相手とのコミュニケーションを学びたかったからこういう仕事をやってた。

はるき ── 六本木の展望台で撮ってた!?(笑)

Koichi ── 展望台でやってた(笑)ずっと。
それとGOOPASSの機材管理のスタッフになって、色んな中古カメラとか入荷してくるじゃん。色んなカメラをいじれるようになりたくて、全部動作チェックもするからデジタルのメーカーに強くなるのね。そうすると。最新のレンズを触れるし性能チェックもやらせてもらってたのがいい経験になって。コロナ禍の時はずっとお世話になってた。

はるき ── そうなんや。

Koichi ── 本当に助けられた。後もう一個あって、中古のカメラ屋さん。そこで、フィルムの技術と文化を学んだ。

はるき ── すごく面白いのが、全部にちゃんと目的があるという。

Koichi ── それはある。だって無駄な時間過ごしたくなかったからね。純粋に知りたくて。その場所に身を置けば知れるということが大きかったから、お金もらいながら全部勉強させてもらえたなと思う。

はるき ── なるほど。Koichiくんはデジタルもフィルムについてもめちゃくちゃ詳しい印象があったけど、すごく腑に落ちました。

最新を知りつつ"写真の歴史"を学ぶ写真家だからできること

はるき ── Koichiくんはデジタルもフィルムも詳しいなという話をしましたが、普段のカメラの使い方を教えてください。

Koichi ── 俺のカメラについて簡単にまとめると、デジタルの最新を知りつつ、"写真の歴史"。後ろ側。両方の矢印で走れる写真家になりたいのね。道を知るっていうのが大事なの。だから…ああこれは語りたいな…ちょっと語らせて(笑)

はるき ── オッケー(笑)

Koichi ── 今の写真家さんたちって大半が年配の方。その人たちがいるからカメラ界隈がある。SNS世代の人たちは今デジタルの人が多いけど、昔から写真やってて今も残ってる方々ってさ、大半は年配じゃない?その人たちがいるから今のカメラ界隈は成り立っているんだよ。
だけど、そこの人たちが乗り越えてきた時代っていうのは、8割がフィルムなんだよ。生きてきた8割が。デジタルなんて歴史的に考えたらフィルムの何分の一なんてぐらい、ほんとちょっとなんだよ。そこを同じようにに話せる若者がいないんだよ。特にこの平成令和の時代は。
「写真家です」って言って、「俺たちの時代のフィルムカメラ知っとんのか」って言われて、悔しくて。でも俺らってギリギリフィルムの時代じゃん。てことは、その両方を伝えていける数少ない人間だと思わない?

その人たちとフィルムカメラのことも同じように話せるか話せないかで受け入れられ方が違いすぎて。目の色変えて話してくれるおじさんたち。それが楽しくて。その時代を生きた人たちに聞くのが一番勉強になる。

はるき ── ほんと、一貫してるね。

Koichi ── そっちを知ってデジタルに活かすってめっちゃ大事よ。便利なものを知ってるからこそ昔のカメラを丁寧に扱えるし、昔を知ってるからデジタルでも一枚を大事に撮れるようになれるっていう相乗効果があるから。だからその両方の軸で写真を楽しんでいけるような写真家になれたら、時代をつなぐことができるカメラマンになれるかなって。写真って年齢も性別も国籍も関係なく楽しめるものだから、そこに壁があったら勿体無いじゃん。そういうのも取っ払ってみんなで楽しんで作っていける写真の文化って素敵だなって俺は思うから、たくさんのことを知りたいと思う。新しいことだけじゃなくて。

はるき ── 確かに、時代をつなぐことができるのは我々世代。

Koichi ── そうだよ。ギリギリだよ。使命だね。

好奇心のまま、偶然の融合を作り込んで唯一無二を作ってきた

はるき ── Koichiといえば「強烈に印象に残る写真」例えば虫眼鏡、君の名は、東京駅、鵠沼海岸の夕焼けリフレクションのような。Koichiくんの写真は「ずっと心に残る」印象があるんですよ。

Koichi ── えー、嬉しい。

はるき ── きっとそれが色んな人に見てもらい始めた写真になったのかなと思っているんですけど、それを撮ってた時にKoichiくんは何を意識して撮っていましたか。

Koichi ── そうだね、作り込むのが好きで、ただその場所で絶景を撮るより、何かの組み合わせでその瞬間にしか撮れない唯一無二を撮ることが大事なのかなと思って。それは俺の恩師から言われた言葉が印象的で。

はるき ── うんうん。

Koichi ── 富士山撮りに行った時にさ、雲海と。なかなか動かないおじちゃんがいたのね。正面の真ん中で撮ってて。あー、これは…と思っていたら「おじさん自体が画になってて、展望台ごと全部入れちゃえば綺麗じゃない?どうしようもない状況があったらそれすらも記録として写真に収めるのも面白いんじゃないの?」ってチラッと言ってくれたのがあって。あ、確かにな、となって。人が入る瞬間ってさ、その瞬間しか撮れないじゃん。その一期一会を掛け合わせることで新しい作品が撮れる。そこで引いて人を入れた写真を撮ったらそれは俺しか撮っていないんだよ。

それに気づき始めた時があって、偶然の融合って面白いなってなったんだよ。それだけだとスナップぽくなるけど、それを衣装とか小道具とかで自分で作り込んでいったら自分だけのオリジナルになるのではないかと思い始めて。海外のクリエイターさんを中心にヒントを得て、それをアレンジして作っていったのがその頃。他の偶然性や作り込み要素を入れていくと面白いなって。頭の中で組み上げていくのが好きだから、好奇心のままにやってたね。

はるき ── 好奇心のままに。

Koichi ── うん。やりたいからやってみようって感じだったね。

写真を初めてまもない頃に、恩師に撮ってもらった1枚。
「偶然の融合」を作り込んでいくKoichi氏の写真

その時その人が生きていたという何よりもの証拠。それが"写真"

はるき ── 前半最後の質問です。Koichiくんにとって「写真とは」。

Koichi ── カメラと聞かれたら「時間を切り取る魔法の道具」。
写真とは何ですかと聞かれたら…「今を未来に伝えるもの」かな。でもこれはちゃんと考えないと、今思いつきで言えることでもないような気もする。

はるき ── 確かに。だから一言でしゃべるっていうよりは「写真について」今から語りましょう。

Koichi ── そうだね。これすっごい終わらんくなるなあ(笑)
写真を好きになったのは親の影響。お母さんが写真好きで、お母さんが好きなのはじいちゃんの影響なのね。じいちゃんは戦時中に写真を撮ってた人なんだよね。そのころに首からLeica下げられて「これお前が一生かかっても稼げんぐらいの金額だぞ」っていう話をじいちゃんからされて(笑)。
その後からじいちゃんが一家に一台あるようなカメラでずっとお母さんを撮り続けてたのね。その遺伝で、お母さんも写真が好きだった。じいちゃんもお母さんも俺がちっちゃい頃からの写真を全部アルバムに残してくれて。「祝 Koichi生誕」みたいな、俺が生まれた瞬間の一枚からアルバムが始まってて。俺の小学校に入るぐらいまでの人生を全部アルバムにまとめてもらってるのよね。行った場所のチケットとかその時の状況とか気持ちとかメッセージも添えられてて。

はるき ── へええ、すご。

Koichi ── それがフィルムの時代だったけど、その時代の写真が令和に残ってるってすごいじゃん。極端に言えば歴史の人物の写真がさ、今の時代に鮮明に残ってる。正に時代を渡ってきてるというか。その時期がどうだったかっていうのを視覚的に残すことができるものだから。だってネガってすごいよな。粒子が刻まれてるんだぜ。

はるき ── (笑)

Koichi ── データじゃないから。その場所にあった情景がさ、粒子になってさ、樹脂に張り付いてるってロマンよね。
その時その場所にあった情報がさ、形になって刻まれてるの。そこが俺のフィルムの沼なんだよね。始めた理由なんだよね。

その時代がどうだったかっていうのを次の時代に残しておくすごい大事なものだと思うし、その瞬間にシャッターを切らなかったら撮れなかった一瞬なわけだし。写真に残ってるということは紛れもなくその時間があったということだし。その時その人が生きていたってことを証明する何よりの証拠だと思う。生きた証だよね。証明できるツール。

はるき ── もう、愛というよりも、「使命」やね。そのために生きてきてるね、Koichiくんが。

Koichi ── そうねえ。写真に対して自分ができることをやっていくべきだと思う。俺にとっては、時代を紡いできてくれたカメラたちを、今の時代に残して次の時代に繋げていくことなんだと思う。出会ってしまったからなこいつら(カメラ)にな。

長岡花火の撮影地にて
カメラはHope TACHIHARA8 ×10
レンズはSchneider APO Symmar-S 360mm f6.8
撮影:別所隆弘氏

はるき ── (笑)いやあいいですねえ。もっと話を聞いていたいのですが、前半はこのあたりで止めます。最後に告知があれば教えてください。

Koichi ── 「It will Be」という、大阪で素敵な写真展にゲストとして参加させていただくことになりました。自分の場合は一枚にインパクトと想いを込めた写真で展示させていただこうと思います。入場していただいた時にすごく目立つ場所に飾っていただくと思うので、スマホ上で見る写真と実際に等身大の大きさで見る写真とでは迫力も違うし、生きた写真だよね。形として見る写真は全然違うと思うので、期待に応えられるような写真を準備していきますので、直接会いにきていてだけたら嬉しいです。話をいっぱいしたいです。

はるき ── ちなみにこれは僕が主催の一人になっている展示です。Koichiくんには、見にきた人に最初に飛び込んでくる強烈なインパクトを持った写真を出してくれとお願いしました。どんな写真が展示されるのか、めちゃくちゃ楽しみにしています!

Koichi ── いやほんと楽しみ。日月と在廊する予定なので、たくさん写真の話をしましょう。


ということで、Koichiくんのインタビューの前半をお届けしました。
止まらない話を何とかここまでまとめました(笑)

もっと深い話や愛用するストラップの話が後半に続いていきますので、ぜひ続きも楽しみにお待ちください!

KoichiさんのSNSアカウントはこちらです
Instagram: @hakuchuu
X: @Kfish1882

というわけで、次の記事、いや展示会場でぜひお会いしましょう☺️

ほな。




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