熱に浮かされ舵をとるのさ
何かを始めるのに、遅すぎる事はない。
私は、学生の頃まで殆ど本を読まずに生きてきた。小説はおろか、漫画、ゲームなどの媒体に触れてこなかった。
そのため、今でも漫画やゲームには苦手意識がある。嫌いではないが、漫画を読むのが異常に遅い。私の最も信頼できる友人が、「漫画は文字を全部は読まないのだ」と言っていたが、それは本当なのだろうか。なんならザザザ...などの効果音もしっかり読んだ方が、費用対情報量的な観点では、お得なのではないだろうか。
昔から苦手なものといえば、教育科目における、歴史である。何度教科書を読んでも、乱雑に書かれた情報量の多い居酒屋のメニューのように、文字の字面ばかりが視界に入ってきて、そこから情報をうまく読み取ることができないのだ。教科書のどこに出し巻き卵が載っているのか、全く把握できないのである。
中学の時、「まんがで学ぶ!日本史!」を手に取ったこともあったのだが、よく考えたら私は漫画を読むことも苦手なので、ただ苦手が二乗されるだけであった。「マイナスかけるマイナスはプラス」という数学のテーゼが、現実世界の事象に置き換えることができた例など、この世に存在するのだろうか。もう数学まで苦手になりそうである。
そんなわけで歴史を克服できないまま、何故か奇跡的に合格した第一志望の高校でも案の定、世界史のテストの補修(日本史だけにとどまらず世界史も苦手なのかよ!絶望である)を受けていた。
社会科なんて覚えるだけじゃねえか!たるんでんだよ!!という意見は全く否定しない。そうなのだ。たるんでいる。やる気がない。何を言われても反論する気もない。覚えればいいものを覚えない私に、圧倒的に非があるのだから。
というかそもそも、覚えるだけだと思って、後回しにしているからいけないのかもしれない。結局ギリギリになって覚えたつもりでテストに挑み、解答用紙を埋めることができないのだ。
私は情けなく、ガラガラの解答用紙を手に、補修を受けることになったのだが、クラスでもうひとり、補修を受けていた寺島くんというクラスメイトがいた。そこで見せてもらった彼の解答用紙は(もっと点数が高い人の解答用紙を見るべきである)、全ての解答欄がびっしりと埋められていた。そしてその答えにはことごとくバツがつけられていたのである。
とにかくなんでもいいから解答欄を埋めろ、みたいなアドバイスを、たしかにどこかで聞いたことがあったが(それにしてもわかってもいないのに適当に埋めて正解したとして、意味があるのだろうか)、あれを本当に実践している人をそれまで見た事がなかった。まず、全く解答がわからない場合、適当に埋める事すら、かなり難易度が高いはずだ。そう考えると、一体彼は何を書いて解答欄を埋めたのだろう。もしかして解答欄に自作の詩でも書いたのだろうか。と思ってよく見たら、明らかに場違いな場所にアメリカンドリームとか書かれていた。怖すぎる。世界どころか、クラスという小社会のなかですら、こんなにも理解不能な存在がいるというのに、世界の歴史を学ぶのは私には難易度が高過ぎやしないか。
そうやって私は、苦手なものを苦手なまま生きてきた。
ところで最近友人に、とにかく物凄く面白いアニメがある、とおすすめされた。冒頭にも書いた通り、私はあまりアニメは見ないのだが、どうやらそれは、世間的にもかなり面白いとされていることがわかった。
しかもそれは、歴史や地理などの要素を含み、私の信頼できる友人によれば、ほぼ世界史を学んでいるようなものらしい。一応、私が世界史がかなり苦手で、深刻な方向音痴を患っていることも伝えたが、楽しく面白く、歴史や地理を基礎から学べるそうで、より一層おすすめされたのである。
そんなわけで、最近私はアマゾンプライムでアニメを見始めた。
「ワンピース」というアニメを、みなさんは知っているだろうか。
オープニングの「富、名声、力!この世の全てを手に入れた男、ゴールドロジャー!」の「力」の抽象度が気になるくらいで、本当に自然に歴史が学べる、教育的アニメである。
このままいけば歴史を克服できるのではないか、とすら思っているほどだ。
実はここ最近noteの更新が滞っていたのは、仕事から帰ったあと、アニメ「ワンピース」による歴史の勉強をしていたからである。何歳になっても、学び続ける姿勢を忘れず、若々しくいたいものだ。もしもこれからワンピースを見ようとしている人がいたら、ぜひ仲間になろうではないか。
さあ、本日も家へ帰り、海へ出かけよう。新しいことを始めることは、いつだって私たちを、未知なる海へ出かけるような気持ちにさせるのだ。
世はまさに、大航海時代である。
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