冒険家になれなかった
みなさんは、2023年に立てた目標を達成できただろうか。
いくつも目標を立てた人、ひとつの大きな目標を立てた人、現状維持や健康を目標にした人もいただろう。
かくいう私も、2023年の年初め、たったひとつだけ目標を立てた。
それは、「パスポートを取得する」というものだ。
海外に行く予定があるわけではないが、とにかくパスポートが欲しかった。これに関しては1年前に記事を書いているので、理由が気になった稀有な人がいれば、読んでみてもよいだろう。
この目標の達成基準は明らかで、手元にパスポートがあるかどうか、その一点のみである。
また、目標のための行動も明確で、
①戸籍謄本を取得し、
②写真撮影をし、
③パスポートセンターで手続きをする
というのが必要な行動であり、頑張れば1日で行うことができる。これさえクリアできれば、その後2週間ほどで手元にパスポートを得ることができるのだ。
しかし、現状、私の手元にパスポートはない。
私はパスポートを作らなかったのだ。
1年間で取得できるタイミングがなかったということは、さぞのっぴきならない理由があったのだろう、と推測してくれたあなたを落胆させるのは、ひどく心苦しいが、なんとこれは、ただの怠惰によるものなのである。
実は、12月の中ば頃から、うっすらとパスポートを取得していないことを案じてはいた(11月までは当然考えていなかった)。しかし、このために有給を取得するのはな〜、などと悠長なことを思っている間に、年末は迫っていたのである。
とうとう12月28日になり、会社で最後の仕事をしながら、私は絶望感を味わっていた。2023年はあと3日もあるのに、役所やパスポートセンターの年末年始休業につき、目標達成不可能が確定したのだ。
これは、待ち合わせ時間ぴったりに着く予定で出発したのに、反対方向の電車に乗り込んでしまった時の悔しさに似ている(多分違う)。まだ今年が終わったわけではないが、もはやどうすることもできず、ただ時の流れに身を任せるしかなかった。
そうして残りの3日間、私は自らへの失望の念にいたぶられながら、じわじわと終わりへと向かっていった。
まあでも、海外旅行に行く予定もなかったわけだし、結果的に行かなかったのだから、いいじゃないか。という意見もあるだろう。
そうなのだ。なんなら、最大でも10年後には更新の必要があるパスポートにおいて、1年分得したと言ってもいい。もちろん私も一度はこの考えに至り、自分を納得させようとした。
しかし、本当にそれで済ませていいのだろうか。
1年間でたったひとつしか掲げなかった目標すらも、達成できなかったことを、もっと重く受け止めるべきではないのか。
こういう時にいつも、「花は盛りに、月は隈なきをのみ見るものかは」という徒然草の一節を一丁前に口にして、達成されない夢もまた美しい、などと言っているから、何も達成せずに生きてきてしまったのだろう。
そもそもこの言葉を使っていいのは、ある程度目的のために尽力した人間だけである。
とにかく今年は、もっと強い意志を持って行動することに決めた。
ぜったい充実した1年にしてやろう。
きっとパスポートも作ってやろう。
たぶん久しぶりに小説なんかも書こう。
できれば運動の習慣もつけよう。
もしかしたらnoteもめちゃくちゃ更新しよう。
奇跡的に海外旅行にも行くぞ〜!
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