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アジサイ(第二話)

前回のあらすじ

ある私立高校の入学式に挑む主人公。しかしそこに待っていたのは冷たい視線であった…

入学式場まで….

風邪をひきそうなほど冷たい視線は私の心を突き刺した。何故だ?私の顔に何か付いているのか?それともなんだ、私の第一印象に何か嫌いなところでもあったとでもいうのか。
悩む私を置いて視線は貫き続ける。小学生ならここでもう泣いて家に帰っているだろう。だが私はここで一年間を過ごすのだ、こちらも睨み返していては一年間を不快に過ごしてしまう。そのようなことは私にとって何の得もない、とりあえず今は誰にも目を合わせず過ごしていよう。
十何分程経った頃。担任が入ってきた。中学の時は熱血でいい先生だっただけに期待が高まり落ち着かない。そんな私の態度を尻目に教室の扉が開く。

ーーー当たりだーーー


正直今までこのクラスにプラスの要素を見出すことは出来ていなかったがこの担任だけは信頼できそうだ。
強面で腕は細いながらにがっちりしてかつ、落ち着いた性格に声。
私はこういう人間は変にやる気のある新任の先生の何百倍も頼りになるという事を熟知している。
どうやらこの後は少し距離のあるアリーナまで向かい入学式を行うようだ。


校舎を出た直後雨が降り出した。傘など持っているはずもなく、同じ中学で陽気だったが喋ったことがなかった後ろの男子に入れてもらうことになった。
彼は中学でも陽気で有名でオシャレでもあるしイケメンといえる。
中学では仲のいい友人たちのみと話していたので高校こそ様々な人間と関わることを目標にしているのもあり私とは人種が違うような気もするがそんなこと気にしていては楽しい高校生活を送れないだろう。
入学当初かつ同じ中学という事もあり初期印象や中学での勉強のやり方やら何やらを2人で話していた。同じ中学だったというのを彼に言うまで認知されていないのは少し悲しかったが….

前の人間と話そうとは思っていたがやはりハードルが高いもので中々話しかけられず背を向けてばかりだった….そんなその時自分の感覚を疑うようなことが起こったのだった….

(続く)

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