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最良の資料は、最高のプレゼンになるのか?(図解付き)

プレゼンテーションは、ミュージカル。

有難い事にもプレゼンテーション資料制作の依頼を頂く事が御座います。しかし、そのご依頼の殆どが「プレゼンテーション資料」制作ではなく、例えば「商品説明資料」制作を意味する場合が多いです。

多くの人が間違っていると思われるのは、いわゆる「説明資料」でプレゼンテーションが出来ると思っている事にあるように思います。

その為、私が制作する「プレゼンテーション資料」だと、殆ど仕事の対価を満足に得られる事がありません。よって私は、皆さんが満足される私の資料は、「プレゼンテーション資料」とは名ばかりの「説明資料」を提供しています。しかし、私自身満足に提供できる資料の制作が出来ず、ここ最近ではその多くの仕事をお断りしている次第です。

プレゼンテーションは、ただ伝えたい事を伝えるだけでは意味を成しません。『何を伝えるのか?』ではなく『どう伝わって欲しいのか?』この事に重点を置き、ある種の劇団の脚本家でなければならないと、私は考えるのです。

そうでなければ、そのプレゼンテーションに触れる観客の皆さんが、大切なお金をお支払い頂くその姿勢に報いる事が出来ないのではないだろうか。そして、それを軽視してしまう事自体、お客様を愚弄しているとさえ私は、思います。

プレゼンテーションを行う時の姿勢は、ミッキーの生みの親”ウォルトディズニー”さんであったり、劇団四季創業者の”浅利慶太”さんの様に、プレゼンテーションをご覧頂く方々に対して、夢や感動を与えられる人でなければならい。私は、そう考えております。

プレゼンテーション資料は、芸術作品。

「プレゼンテーション資料」に対する世の中の価値は、どことなく低く感じてしまっています。

以前このような取引がありました。まだメニュー表等を用意している頃に「お金はちゃんとお支払いするので、作ってもらえませんでしょうか?」というご依頼があり、初仕事という事もあり、私の持っている知識を全て注ぎ込んで納品しました。

いよいよお支払いの場面になり「おいくらでしょうか?」というご質問に対して、要した約1か月、惜しみなく投じた知識と技術等、また初仕事という事も考慮し、10万円と言いたいのを我慢し「5万円でいかがでしょうか?」とお伝えしたところ「高すぎる!」と言われてしまいました。

聞いたところ「2万円位で出来ると思っていた」と言われてしまいました。その時に思ったのは、いかにプレゼンテーションを作成する側の人たちの社会的地位が低く、その技術が如何に伝わらないのかという現実に直面したのを今でも覚えています。この時の取引を2万円で決着を付け、2度と仕事を受けない事を心に決めたものです。

プレゼンテーション資料を制作する前に大切にしている事。

資料制作においてアイデアが降ってくることを待つのも大切なことではありますが、目を閉じていれば湧くものでもなく、歩いていて急に思いつくものでもありません。まずは、プレゼンテーションの現場に仮想的に身を心の中で投影する事で、少しづつアイデアや言葉が沸きあがる事があります。よって、必ずクライアントにヒヤリングすることが御座います。それが、次の項目と理由になります。

『どんな場所でプレゼンテーションするのか?』

私の場合、プレゼンテーション資料を制作する前に決まって聞く最初の質問はこれです。

例えば、10人が入る会場で行うのと、100人が入る会場で行うのと、1,000人が入る会場で行うのとでは、制作する上で、使うフォントや文字の量、もしくは文字を置く高さが異なってきます。

極端に分かりやすい比較例として『10人の入る会場』と『1,000人の入る会場』とで大きく何が異なるのかを解説したいと思います。

『プレゼンテーション資料は、全員に見えなければ意味がない』

10人程度の会場でプレゼンテーションを行う際、割と無意識に資料を作っても概ね大丈夫です。線の細い明朝体を採用しても、多少の文字が多くなろうが特に問題ないでしょう。しかし、これが1,000人が入る会場となればまったく異なります。

1,000人が入る会場で、明朝体をベースに資料を作ってしまうと、前列から3列目程度の方は見えても、それ以降の列に座っている方は、目を細めなければ見えず、最後列に座っている人はもはや見えていないので、ほとんど資料は見えていないでしょう。見えてないぐらいならいいのですが、その内、その場にいる事さえ苦痛に感じてくるでしょう。

この場合、ゴシック体(私の場合、“HGP創英角ゴシックUB”もしくは“BIZ UDPゴシックの太文字加工”)を使う事が必須になります。
私はプレゼンテーション資料が投影されるスクリーンから、最後列の人まで何メートルの空間であるかを、頭の中で創造することで、資料制作の上で「使う文字」そして「1スライドに乗せる文字数」、更に言えば「使う配色を3色以内に留める」ことを決めています。

自分がその会場に来場する一人のお客様になりきることで、多くの学びを得ることが出来ます。この事前準備を怠り、「早く資料を作りたい」と思えば、思うほど、結果的に、まったく伝わらない一方的なプレゼンテーションとなり嫌悪感を与えてしまう可能性が多いに考えられます。

『スライドサイズは”4:3”を採用するのか、”16:9”を採用するのか?』

最近のトレンドとして”16:9”を採用されるケースが多いです。これを定着させたのは、アップル創業者のスティーブ・ジョブズさんや、孫正義さんと言った名プレゼンターなのかもしれません。彼らは、ただ単にそのサイズを採用した訳ではありません。何気なくカッコいいとか安直な発想ではないことをここで明確にお伝えしておきます。

そもそも昔のアナログ地上波時代のテレビと言えば4:3サイズで構成されていました。そんな中でハイビジョンテレビが進出し、そして映画感に行けば16:9サイズが主流です。不思議なもので、人の視覚特性上”16:9”というサイズ感に対して、「何かワクワクさせてしまう」感覚を抱かせる力が存在します。彼らは、そんな人の視覚特性を良く理解し、多くの観衆の目を集める為に、ある種の映画や舞台劇を演出しているのです。時には照明や音響を使い、人の体や心に衝撃波の様に伝える努力を、些細な事にも情熱を注ぎ、アプローチしています。

今既にお持ちのプレゼンテーション資料を、このサイズに変更するだけでも、何かが変わる可能性が秘めていたりする訳です。

『誰がプレゼンテーションをするのか?』

こんな経験をした事はないでしょうか?
お気に入りのレストランのシェフが辞め、新しいシェフに変わった瞬間に同じメニューなのに、味が変わってしまってお気に入りレストランからスタメン落ちしてしまうことって。

人には人の魅力がそれぞれ異なります。
色んな会社さんでこんなセリフを良く耳にします。「この子は、プレゼンテーションが好き(得意)で、いつもお願いしてるんですよ~」。私は、この言葉を聞く度に、内容によっては伝わっていない場面も起きているだろうし、その子自身の負担が大きくなり辛い気持ちを隠し持っているんだろうなと感じてしまいます。

一部の人の中で、プレゼンテーションは「社長さんがやるべき」とか「得意な人がやるべき」とか、自分勝手と言うべきか、誤った価値観でプレゼンターを選んでしまっている事が多く存在しています。

プレゼンテーションにおいてもっとも重要なことは、そのプレゼンテーションを誰に任せるのか?ということが肝になります。多くのプレゼンターは、自分の特性を理解していないことが多い為、周囲の人たちが見極めて選任することがすごく大事です。

『プレゼンテーションは、声の音量と音速で伝達の方向性が変わる』

声の使い方によって「体に伝わるプレゼンテーション」にするのか、「心に伝わるプレゼンテーション」にするのかを概ね決めて、誰にプレゼンターを努めて頂くのかを選任する必要があります。

「44310の独自的研究による音量と音速の持つ与える声のマトリックス」

プレゼンテーションを常に行っているベテランよりも、おぼつかない新人がプレゼンテーションを行う方が、時として伝わることだってあります。その事を理解せず、プレゼンテーションをしている自分に酔いしれて、人にプレゼンターを譲れない人を何人も見てきました。

あるいは、自分たちがしたくなくて、褒めておけばコイツがやってくれるだろうと責任転換させるような単細胞な上司や部下がいるのも実情なので、プレゼンターだけが悪い訳でもありません。

私は、誰が話すのか興味を持つのは、その人の「言葉の使い方」「心に伝えるのが得意な人なのか」「体に伝えるのが得意な人なのか」そのことも意識しながら、その人の得意なテリトリーにハマる資料を用意する事に意識を置いて制作する様にしています。

極論な事を言い出すかも知れませんが、この音量と音速を自らコントロールできる人は、資料なんて必要なくとも、人の心にも体にも伝えられるスーパープレゼンターになると私は考えます。

プレゼンターは、俳優(女優/男優)。

自分の声は、どこから生み出されるものなのかを知る事で、声のマトリックスをマスターすることで、どんな場面においても、その場が求める空気感や雰囲気を作り出し、空間を巻き込む事が出来るようになります。

そこまで出来るともはや俳優そのものです。
ですが、私が思う最高のプレゼンテーションは、名俳優がいてこそ実現するものだと思います。

よって私は、プレゼンテーションというのはこの様に考えております。

作品(プレゼンテーション資料)+俳優(プレゼンター)=舞台(プレゼンテーション)。つまり、『プレゼンテーションは、ミュージカル。』

どれだけ最良の資料を用意できたとしても、噺家によっては、最高のプレゼンテーションにならないというのが私の答えです。

如何にプレゼンテーションを知り、単に資料が良ければ、最高のプレゼンが出来ると思っている人たちを減らし、真に伝えられる作品と噺家を育てることが如何に重要かということを私は知っています。

学ぶ場を提供したい。

ここでは序章中の序章をお伝え致しました。
この事についてもっと深く知りたい、もっと良い資料制作がしたい、もっと良いプレゼンターになりたい。未来、自分もプレゼンテーションスクールを商いにしたいと考える未来ある若手の育成を目的とした「29歳からのプレゼンテーション-日本一美しいプレゼンテーションキャンパス-」を、メンバーシップ内で2023年5月に開校致します。

ご興味のある方は、ぜひキャンパスメンバーにエントリー頂けると幸いです。皆さまのご参加を心待ちしております。

以上。

著作
44310(SISISANTO)
代表 森川慎也

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