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今後の目標/『僕は君の「熱」に投資しよう』を読んで

僕は現在、メンタル疾患を患い、実家で療養中です。

大学卒業後、会計事務所で2年半勤務しました。その後学習塾へ転職したのが今年の9月でした。

しかし、体調を大幅に崩していた僕は、学習塾をわずか1か月半で退職し、現在は精神科で薬を処方され、実家で療養しています。

僕は会計事務所で、仕事に前向きに取り組むことができず、メンタル疾患を患ってしまいました。一方で、世の中には、毎日元気でバリバリ仕事に取り組んでいる人がたくさんいます。特に、起業家や経営者なんかは、寝る間も惜しんで仕事に没頭し、圧倒的に成果を出していたりします。

ポジティブに仕事に取り組むことができず、身体を壊してしまった自分と、バリバリに働いて成果を出している起業家。その違いはいったいどこにあるのでしょうか。

今回読んだこの本では、ベンチャーキャピタリストのアンリ氏が、若者に、起業など何かしらの挑戦を促す内容となっています。読み進めていくと、圧倒的な熱量で起業に取り組み、成功を果たしている起業家が多く登場します。起業家の起業に対する熱はいったいどこからやってくるのか、起業家にあって僕にないものは何なのか。そんな視点から、本書を読み解いていきました。

自分の社会人生活を振り返る

僕は、大学在学中から、税理士資格を取得するための試験勉強を始めていました。始めた理由としては、税務に興味があったということではありません。もともと自分は身体が弱く体調に不安があり、資格があったほうが安心できるという、ある意味で「逃げ」ともいえる、ネガティブな気持ちで資格勉強をスタートさせました。

大学卒業後は、会計事務所に就職し、税理士試験の勉強と並行しながら、会計事務所での仕事に取り組みました。

しかし、今振り返っても、僕は会計事務所での仕事を、熱を持って取り組んでいるとは言えない状態でした。毎日後ろ向きな気持ちで仕事を行っていました。会計や税務の内容に興味が持てず、次第に勉強量も減っていきました。

会計事務所で一人前の担当者として仕事をするには、膨大な量の会計や税務の専門知識の習得が不可欠です。しかし僕は、仕事ができないにも関わらず、勤務時間外に勉強するといった努力も怠り、さらにモチベーションも低下していくという、負のスパイラルに陥っていました。

2年半の間、もちろん成長した部分もありましたが、仕事に対して後ろ向きな姿勢は最後まで変わらず、ついにはメンタル疾患に陥ってしまいました。

しかし、起業家は、僕のような一般的な会社員より、はるかに多い業務量をこなさなければなりません。

起業家という生き物はみな、極端な仕事をしている。たとえてみれば、ひとりの人間が100年かかってやることを3年でやろうとするような仕事だ。さらにその3年間で、一生分の金を稼ごうとする。それが起業家の日常業務だ。(P.65)

起業家たちと自分の違いは、いったいどこにあったのでしょうか。

起業家たちが挑戦をするのは、楽しいから

起業家たちがなぜそんなにも頑張れるのか、本書では次のように説明されている。

僕の周りにいる起業家たちも、単純に楽しそうだからやっている人間が大多数だ。そして僕も、ただ「勝つ」のが好きで楽しいから、こんなことをやり続けている。(P.243)

つまり、僕に足りなかったのは、仕事を楽しむという姿勢だったと思います。思い返せば、会計事務所での仕事をしていて、楽しいと思えることはほとんどありませんでした。

もちろん、2年半も同じ仕事をしていれば、誰でも経験値がたまって多少の成長はします。しかし、仕事に対して後ろ向きな気持ちは変わりませんでした。

これは、自分が「楽しそう」と思えることを、仕事の出発点にしていないことに、問題があったのではないかと思います。先述したように僕は、自分の体調面の不安を考慮して、仕事選びをした経緯があります。ネガティブな部分から資格勉強を学生時代から始めたので、就職したときもネガティブなマインドでスタートしてしまっていました。これが、パワフルな起業家たちと自分の、仕事に対する姿勢の違いの1つだと思います。

楽しいと思えなかったのは、努力が足りなかった

しかし、たとえ初めはネガティブだったとしても、努力することによって、後天的にポジティブな姿勢を獲得することは可能だと思います。むしろ、ほとんどの会社員は、最初から楽しいと思って仕事をしている人は少ないと思います。「どんな仕事でもまずは3年やってみろ。」という言葉もあるように、仕事の面白さとは、努力なしにすぐにわかるものではないと思います。

しかし僕は、その努力すら足りず、2年半でドロップアウトし、さらに身体も壊してしまいました。勉強が足りないので、仕事内容に興味を持つことできず、後ろ向きな気持ちで仕事をせざるを得なかったです。これが二つ目の問題点だったと思います。

成果を出さなければ成長もない

ネガティブな状態で仕事をスタートさせ、さらに努力も足りなかった僕は、当然、仕事で成果を出すことはできませんでした。2年半働いても、顧客担当者の補助にとどまり、成長を実感することができませんでした。

仕事上の成果について、この本では、厳しい言及がされています。

この本に登場する起業家の中で、起業して5年間事業をつづけたものの、結局会社を清算した方の例が紹介されていました。この起業家について、著者は次のように評価しています。

彼が事業を通して経営者として成長したとは言えなかったし、微塵もそう思えなかった。(中略)勘違いしてはいけない。「頑張る」のと「成長する」のはまったく別のことだ。起業家の大義は事業を成長させることだ。(中略)起業家は、事業の成長に対して意味のある努力をするために、意味のない努力をしない決断をしなければならない。彼はその決断ができないまま、事業をたたんだ。彼の5年間での経営者としての成長は、残念ながら「ゼロ」だ。

かなり厳しいことを言っていると思いますが、正しいことだと思います。起業家は成果を出さなければ、ベンチャーキャピタリストから出資を受けた意味がなく、そこには何の成長もないということです。

このことは、会社勤めのサラリーマンにも当てはまるのではないでしょうか。給料をもらっている以上、そこには会社の利益に貢献する責任が生じます。成果が出せなければ、給料をもらう理由もないといえます。

僕は努力すら満足にしていなかったので、それ以下だといえます。そして成果を出せなかったので、一人で顧客担当者になるといった、新たな挑戦の機会も十分与えられず、成長もなかったのです。成長があれば、仕事にも楽しみを見出せるものだと思います。成果を出せなかったというのが、3つ目の問題点だと思います。

楽しいを出発点にする

この本では、基本的には起業すること、挑戦することを進めていますが、必ずしも無謀な挑戦を進めているわけではありません。メンタル疾患で実家療養中の僕としては、まずは社会復帰を果たすことが「挑戦」への第一歩となると思います。

そして、挑戦への第一歩として、「楽しいこと」を出発点にすることの重要性をこの著者は主張しています。

べつにむりやり無謀な挑戦をしろと言っているんじゃない。「やりたい」「やったほうが楽しそう」と思うことがあればやったほうがいい時代になってきている、という時代感覚だけは、しっかりつかんでおいたほうがいいということだ。(P.248)

では今後、僕が「楽しい」という気持ちを出発点として仕事を決めるには、どうすればよいのでしょうか。会計事務所で勤務している時代は、努力不足も相まって、楽しいと思えることはほとんどありませんでした。

しかし、転職した学習塾での仕事では、楽しいと思える出来事がありました。

それは、生徒の質問対応です。転職してまだ間もないくらいのタイミングですが、練習として、生徒が質問に来たら、一人で答えてみることになりました。その時は、中学3年生の生徒が数学の問題を質問してきて、頑張って答えました。何でもないような仕事ですが、僕にとっては、生徒に直接役に立てた気がして、とても楽しかったのです。

思えば、税理士試験の勉強をしている時も、僕は人に勉強を教えるのが好きでした。僕は本質的に、人に教えるということに楽しみを見出せるのかもしれません。このことは、今後のキャリアを考えるうえでの足掛かりとなると思っています。

今後の目標

楽しい」を出発点とすること、仕事のための努力を怠らないこと、仕事で成果を出して、成長の機会を得ること。この3つを、今後病気を治して社会復帰に挑戦する際の目標にしたいです。

思い返せば僕は、自分が楽しいという気持ちを押し殺して努力してきたことが多かったと思います。これからは、自分の心の中にある楽しいという気持ち熱を持てることに注意を向けて、これからの人生を生き抜いていきたいです。





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