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ゲノム編集の問題点、感情論だけでなく、結構あるんですよ。

ふるさと納税返礼品になった「ゲノム編集ふぐ」

ゲノム編集に対して「なぜ反対するの?」という方もいらっしゃると思います。

「最先端の技術に、感情的になる人っているんだよね~」

みたいな反応をする専門家もいますからね。

では、具体的にどんな問題点があるのでしょう。分かりやすく、ご説明します。


オフターゲットの問題

人のDNAは、4種類の塩基(A、T、G、C)が約30億並んで作られています。

その中で、たんぱく質を作るための部分を遺伝子といい、その遺伝子をまとめてゲノムといいます。

ゲノムは4種類の塩基(A、T、G、C)の並びで表現されます。その塩基の並びを塩基配列と言います。

「クリスパーキャス9」は、30の塩基配列を目印にしてゲノムを切る、という技術です。

30の塩基配列は4の20乗、つまり1,099,511,627,776通りあります。

人のDNAは30億の塩基配列ですから、同じDNAの中に、同じ配列がある可能性はほぼゼロなのですが、あるかもしれません。

また、2~3コの間違いなら、「同じ」と思ってしまうかもしれません。

実際、間違って切った、さらに切った時に変なものが入った、という事例が確認されています。

これは、詳しく調べた結果、分かった事実です。見ただけでは異変が分からないのが、ゲノム編集の怖い所…

そして、ゲノムを切るはさみが間違えて入ってしまったら!永久にゲノムを切り続けます。

ゲノム編集は自然界でも起きている、という方がいます。

ただ、自然界では一度切れて修復されたら終わり。ゲノム編集は、その塩基配列が変わるまで切り続けます。これが同じことですか?

そんな危険を冒してまで、ゲノム編集の動植物が必要ですか?と思うのです。


モザイクの問題

ゲノム編集を行う時、「発現カセット」というモノを直接受精卵に入れます。

細胞分裂が始まった段階で発現カセットを入れると、「ゲノム編集した細胞」と、「ゲノム編集していない細胞」が混在してしまうのです。

これが「モザイク」と呼ばれる現象です。

生まれた時から人工的にモザイクの生物は、今まで存在していませんから、この影響が全く分からないのです。

そんな可能性のある魚、食べて大丈夫?だって、人体実験ですよ。


実は、モザイクは人間でも問題になっています。

人間で問題なら、生物すべてで問題です。それを食べて大丈夫?




動物福祉の問題

ヨーロッパでは「アニマルウェルフェア」が重視されています。

これは鶏に関しての記事ですが、牛や豚も同様。

「動物保健法」というのがあって、動物の5つの権利を守るよう、決められています。

<五つの自由=Five Freedoms>
1.「飢えと渇きからの自由」(健康と活力のため に必要な新鮮な水と飼料の給与)
2.「不快からの自由」(畜舎や快適な休息場など の適切な飼養環境の整備) 3.「痛み、傷、病気からの自由」(予防あるいは 救急診察および救急処置) 4.「正常行動発現の自由」(十分な空間、適切な 施設、同種の仲間の存在) 5.「恐怖や悲しみからの自由」(心理的な苦しみ を避ける飼養環境の確保および適切な待遇)

ヨーロッパのアニマルウェルフェア社会の発展 日本獣医生命科学大学 名誉教授 松 木 洋 一 2021/12/21 引用

……ふるさと納税になっているゲノム編集ふぐは

食欲の調節に関わる遺伝子をゲノム編集技術で壊しており、食欲が旺盛になって体重が速く増える。

読売新聞オンライン ゲノム編集で成長1.9倍「22世紀ふぐ」、試験販売へ…トマト、マダイに続き3例目の認可 2021/12/16引用

ずーっと食べちゃうようにされたら、あなたならどう感じますか?

それは、動物福祉に反しませんか?

私はそんな風にゲノム編集されるのはイヤだし、これは動物福祉に反していると思います。だから、ゲノム編集に反対するのです。

そして、この魚、EUには輸出できないでしょう。風評被害も心配です。



ゲノム編集は病気と同じ?の問題

海外ではこんな報道がされています。

魚のレプチン受容体遺伝子に遺伝子改変を施した。この遺伝子の破壊は、哺乳類では体重増加や糖尿病と関連している。また、いくつかの魚種では、胚の発達、腎臓、血糖値の調節、行動などに影響する他の健康上の問題を抱えることもわかった。これまで、この人工的な遺伝子欠損を持つ魚は、複雑な代謝障害を調べるための疾患モデルとして用いられてきた。

TestBiotech ‘Progress’ going in the wrong direction: diseased New GE pufferfish 2021/12/16 引用

つまり、ココの遺伝子を変えると病気になるから、この病気を研究したい人が、わざわざゲノム編集して、この魚を使っていた、というのです。

じゃ、ふぐの内臓を見せて!骨はどうなってるの?と思っても、一切公開されていません。

あ、だからといって、一つだけ見ても納得しませんよ。生物には個体差がありますから、全個体に関してチェックが必要です。



それ、食べて大丈夫?の問題

また、得体のしれないものを食べて大丈夫?と思うのが普通です。


今回のフグは、この豚と同じゲノムを編集しています。

魚の方が、抵抗感がない外見ですかね。けれども、技術は一緒です。

どうですか?食べたいですか?


食べ物の味は、「雰囲気」「気分」に左右されるものなのです。

たとえ同じものでも、一緒に食べる人、場所、時間によっては味が変わってしまいます。場合によっては、おなかを壊すこともあります。

ケンカしながらご飯食べておいしいですか?不衛生な画像を見ながらご飯食べたら、おいしくないでしょ。

「何となくイヤ」「見た感じ、おいしく食べられない」は、立派な理由になるのです。



特許料の問題

そして、クリスパーキャス9の特許料。2団体で特許を巡って血みどろの戦いをしています。

ここはゲノム編集推進派が作っているサイト。そこにも、「決着つきました」という記事がありません。

ということは、商業利用をした場合、後で問題になる可能性が…

2kgで6000円のトマトも値上がりするかもしれませんよ。

わ、ポイント還元を始めたらしいです。私、このサイトはずーっと追っかけているのですが、

送料別途→送料込み→ポイント還元

ときましたか。そうとう苦しんでいるみたいですね。


食糧問題はゲノム編集で解決しない

ゲノム編集推進派の常とう句「食糧問題」。

「人口爆発で食糧難」は、見方を変えると「大企業が弱い国、自然から搾取した結果」です。

2021年9月に開催された「国連食料システムサミット」。

元々これは、国連の「国連家族農業年」という流れをくんでいました。

ただ、最近になってその流れが変化したのです。WHOが誰かに乗っ取られているという噂が…

そして、「国連家族農業年」に当初からかかわっていたアフリカの団体、スローフード協会などが「国連食料システムサミット」をボイコットしました。

気候危機と根本的な構造は一緒。カネにまみれた資本主義が食糧問題を生んだのです。

なので、ゲノム編集で食糧問題は解決できません。


つまり、閉鎖的技術は現代の問題を解決できない

「開放的技術」とは、「コミュニケーション、協業、他者との交流を促進する」技術である。それに対して、「閉鎖的技術」は、人々を分断し、「利用者を奴隷化し」、「生産物ならびにサービスの提供を独占する」技術を指す。
 例えば、「閉鎖的技術」の代表格は原子力発電である。長らく、原子力発電はクリーン・エネルギーとされてきた。だが、原子力発電はセキュリティ上の問題から、一般の人々から隔離され、その情報も秘密裏に管理されなくてはならない。このことが隠蔽体質につながり、重大な事故を招いてしまう。

人新世の「資本論」 斎藤幸平著 集英社新書 p226

ゲノム編集も「閉鎖的技術」です。詳しい情報は秘密裏に管理されます。

「閉鎖的技術」はその性質からして、民主主義的な管理には馴染まず、中央集権的なトップダウン型の政治を要請する。このように、技術と政治は無関係ではない。特定の技術は、特定の政治形態を結びついているのである。

人新世の「資本論」 斎藤幸平著 集英社新書 p227

つまり、閉鎖的技術は「格差問題」「気候危機」ともつながっているのです。

さらに、

ところが、その原因を作った企業は、被害が出ても因果関係が証明されないと言い張って補償をしない。もちろん、補償をしたところで、環境問題の場合は、元通りにならないことも多い。
 技術的転嫁は問題を解決しないのだ。むしろ、技術の濫用によって、矛盾は深まっていくばかりなのである。

人新世の「資本論」 斎藤幸平著 集英社新書 p46

遺伝子組み換えにしても、「ラウンドアップ」が問題になったのは、作られてから50年たってからです。

そして、外国で問題があったのに、日本では報道されません。「閉鎖的技術」の極みです。

もし今後「ゲノム編集」で問題が出た場合、それを一般市民が証明するのは非常に困難です。

だから、「ゲノム編集」を食べ物に応用する必要はないのです。

そんな頭脳とお金があったら、ぜひ「格差問題」「気候危機」を解決してください。


……そして、ゲノム編集フグをふるさと納税返礼品にしている、京都府宮津市長に伺います。

これが、未来の味ですか?



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