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秘密

秘密

私が君のことをどう想っているのか、君は知らない。
伝えてもいいんだけれど
なんだか負けたような気がするから、教えない。

私が 君の一挙一動で喜んだり
苦しくなったりしていることなんて、知らなくていいの。
君がくれる言葉ひとつひとつに
私の心が反応していることなんて、知らなくていいの。
君からの連絡がくる度に
私の心が波打つことなんて、知らなくていいの。
君の声が聴きたくて、毎晩君からの
連絡を

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君が好き

君が好き

君が好きだよって言ったら、君は驚くかな。
驚かせるつもりはないんだけど…
きっと君は、目を大きく見開いて驚くんだろうな。

だって君は
私の気持ちに全く気が付かずに、あの子の話ばかりしていたもんね。
でもね、そんな君を責めたい訳じゃないんだ。
君とあの子の恋路を邪魔したい訳でもないの。
ただ、私の気持ちに気が付いて欲しかっただけ。君を想っている人がここにいるんだよーって、伝えたかっただけ。
ただ、

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紡ぐ

紡ぐ

人から人へと出会いは紡ぐ
人から人へと想いは紡ぐ
貴方と私が出会ったのは偶然?それとも必然?

点と点が繋がり線になり、やがて大きな円になる
まあるい まあるい 円になる
私はその円の中にいたいと思う

人から人へと出会いは紡ぐ
人から人へと想いは紡ぐ
貴方と私が出会ったのは、きっと運命

ブラックコーヒーと砂糖とミルクをひとつずつ

ブラックコーヒーと砂糖とミルクをひとつずつ

窓から差し込む光に目を覚ます。
肩も腰も痛い…僕はいつから寝ていたんだろう。
固まっていた身体を背伸びでほぐし、少しの身支度を済ませ家を出る。
今は何時なんだろうか。イタズラなほど目の前にチラつく光に、僕は目を細めた。
家から線路沿いを歩いて徒歩20分のカフェへ向かう。
白いレンガ調の壁に薄茶色のオークの扉。
観葉植物がたくさん並べられたドアを開けると、目の前にカウンター席が並んでいる。
僕は一番

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いつもより少し幸せな、初夏の昼下がり

いつもより少し幸せな、初夏の昼下がり

ベタッとした空気に目が覚める。
あぁ、今年もこの季節がやってきた。
身体を少し捻らせ反対方向を見ると
そこには誰もいなかった。
暑さ以外に睡眠の邪魔をしてくるものはいないと悟り、また眠りにつく。

遠くから声が聞こえる。
聞き慣れた声。僕の好きな声。
美味しいご飯をくれる声。
仕方がないから起きることにした。

いつもの食器。いつものご飯。
いつもの声が聞こえる。とても幸せだ。
でも、今日は少

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