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月曜日の自治体対応は憂鬱だ

月曜日は憂鬱だ。

シンプルに仕事が始まるからというからだが、月曜日にある「自治体職員指導」という謎の名目が鬱屈さに拍車をかけている。

自分は自治体職員ではない。外部企業の立場から自治体相手に仕事させてもらっている者だ。そんな自分が自治体職員の指導をするかというと、自治体の人間がなぜか職員を指導してあげないからだ。

先日も彼らの対応が私たちを沸かせた。

少しだけ文字化けしている(一部だけ「?」に化けているが、内容は十分理解できる)クレームメールに対し、担当は「文字化けしてて意味がわからないので、私じゃなくて別の人間に聞いてください 」という内容で返信をしていた。
「別の人間」とは市役所外の人間であった。さらに丁寧なことに、その『個人』連絡先を添付してある。
もちろん、その「別の人間」へのフォローは一切なし。

送信直後、履歴を偶然確認していたので、すぐにこちらから謝罪のメールを送れたものの、クレームがさらなるクレームを呼ぶところだった。

民間だ、公務員だという問題ではない。仕事させちゃいかんレベルである。

例を挙げればキリがないくらい、このレベルの事例は毎週のように発生しているのだが、基本的に彼らはお咎めなし。
担当である彼個人の問題かというとそうでもなく、当課長も同様の対応をよくするし、前任者たちもまた同じようなレベル感だった。

未だ様々な手続き事務が業務のほとんどを占めている自治体。
聞いたところによると業務内容を人事評価に反映させるのが難しいらしく、人事評価がちゃんと機能していない自治体もあるそうだ。

余程の大事にならない限り、評価は常に標準。
どうやらこの程度の内容では人事評価には影響ないらしい。

影響はないので、指導もしない。
机並べている先輩方は直接責任ないので見て見ぬふり。
当人が行ったことは当人の責任だが、相当大事にならない限り、ダメージゼロ。
このように基本的に責任が発生しないため、係長、課長は機能せず。

自治体は替えが聞かない。
一般企業だと取引先がいなくなるだろうが、市民はそこに住んでいる限りはその自治体と取引をしないといけない。
競争の原理と責任と矜持が抜け落ちた完全無敵モードにて事業が日々推進されている。

そのしわ寄せは事業の成果そのものにはもちろんのこと、私たちのような外部企業にも押し寄せてくる。
先日も「自治体から失礼な対応された!」とお叱りの連絡をいただいた。
案の定、お怒りになるのももっともな内容であった。
クレームのクレーム対応はかなり骨が折れるものである。

このしょうもないことで手を取られないよう、毎週の業務連絡の中で、自治体職員を「指導」しているわけだ。

一応擁護すると彼は別に悪意をもってやっているわけではない。
純粋に何が悪いか、どれだけ失礼なことをしでかしているか、そもそもわかっていないのだ。

仕事で関わっている以上、仕事以外の側面には触れたくないが、支障なく日常生活を送れているか心配なレベルである。
彼らはこれまで「指導」されずに過ごしてきたのだろう。それはそれで不幸なことだと私は思う。

先生、上司、同僚、取引先、友人、家族…
様々な「指導」があって今の私がある。
指導の瞬間はしんどいがおかげで、特殊な場面でもない限り対応できる身のこなしは身に着けることができた。

現在、「指導」しているのはこのような老婆心も少し含まれている。
組織の人間に代わって「指導」する。
それは私たちのためでもあり、地域事業のためでもあり、何より本人のためでもあるのだと。わかっている。エゴ剝き出しだ。

ただ正直、これはこれで中々しんどいものがある。

当然と言えば当然だが、「指導」は当人に責任のある立場の者から発せられてこそ心に響くものだ。「外部」からの指導はどうやら心に残りにくいらしい。

クレームメールはダブルチェックして返信しましょう、○○の場合は△△を確認してから返答しましょう等、再発防止案とセットにして提案しているが、一向に実施されている様子はない。
そして今日も同様のミスが繰り返されている。

また何よりしんどいのは「コイツ何言ってんだ???」という反応を目の前でされることだ。

相手は何に対して怒っているのか、市役所外の世界ではどのような応対がされているか、そもそもなぜ「失礼のない」ようにしないといけないのか等、まさに世間の常識とされている(と私が思っているもの)を発生した事例に合わせて噛み砕いて紹介している。

平たく言うと「相手を思いやる気持ちを少しで良いのでもって行動しましょう。するとお互いハッピーになるので、物事がスムーズに進みやすいです。逆に自分本位な行動は残念ながら嫌われがちです。自分以外の関係者にも迷惑かけちゃうので、気付いたら止めましょう」と言っているつもりなのだが、どうも理解している反応ではない。

どうやら、そもそも「指導」に必要な「指導」も足りていないらしい。
だからこそ「指導」が必要となっているのであるが、これが実るのは果たしていつになるだろうか…。

同フロアの人間からも「なんでコイツこんなこと言ってんだ?」感がムンムン伝わってくる。
何より目の前の人間が「???」という反応をするのは中々しんどい。

もちろんこの自治体も職員全てがこのような人たちではないし、全国では素晴らしい取り組みをしている職員はたくさんいる。

ただ同様に目前の有様が、別にここだけ特別というものでもないのだろう。
自治体叩きは好きではないが、いざ直面すると叩かれても仕方ない側面もあるように感じてしまう。

今日もまた、新たな苦情が寄せられた。
以前にもあったような内容である。前回のものが伝わってないとすると、さてどのように伝えればよいのだろうか…。

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