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プロなら結果出せよ

この一つの動画を見てからずっと考えていました。引用してコメントする内容も何度も何度も編集しては下書きに保存してを繰り返していました。考え抜いた結果noteに記そうと思いました。


その動画がこちらです。

この動画は一部切り取られているため、全てを理解することができません。ただ自分なりに検索をして長尺のものも拝見しました。

僕はこれまで陸上競技を専門としてきました。
試合に負けて、一度もこのような叱咤激励を応援者から直接受けたことはありません。

おそらく僕だけでなく個人競技の選手は試合で負けて応援者と口論になったりなどの経験はないのではないでしょうか。

引退して、Jリーグクラブの一員になり、プロ野球球団の一員になり、試合に勝てば応援者と喜びを分かち合い、負ければまた次も頑張ってと応援されたり、プロなら結果を出せと厳しい言葉を言われたり、個人競技とは真逆の世界を今生きています。

僕はプロなら結果が全てという考え方です。誰よりも努力をしたと思っていても、どんなに準備をしてきても、どんなにキツく苦しい練習を耐え抜いてきても、結果が出なければ意味がないと思って生きてきました。自分なりにやりきってオリンピックに行けずに引退した時に努力に意味も価値もないんだと思ってスパイクを脱ぎました。

コーチになった今も全力で日々、選手と向き合っても選手の足が速くならない。走るたびに怪我をする。選手のプラスに一切なっていない。そうなったとしたらコーチを辞めるべきだと思っています。必ず結果を残すんだと。

ただ、いわきFCというチームの一員になって、個人ではなくチームスポーツを知れば知るほど、経験すればするほど、その準備や努力の数が1人ではなく複数になったときに、結果が全てなんだという考え方って正しかったのかと思うようになりました。

勝利するために日々のトレーニングに全力で向き合うこと。これはプロとして当然です。ただ、その中で予期せぬ試合中での怪我、トレーニング中での怪我、感染症、防ぎようがないよという事態も数多くありました。特にサッカーは接触が当たり前のスポーツです。自分に矢印を向けて自分自身がどんなに準備をしても、一つの接触で全て終わる瞬間もこの目で見てきました。

サッカーの場合移籍もあります。
選手も自身の成長のためにシーズンの途中でも慣れ親しんだクラブから離れることもあるわけです。

怪我で長期離脱を余儀なくされる、感染症で試合に出れない、移籍で主力がいなくなる。どんなに対策をしても防ぎようがない事態ってあるんだなということを学びました。

日々、全力でクラブを応援してくれているファン、サポーターの心理からすると、俺たちはこんなに声を枯らして全力で応援しているのになんで勝てないんだという感情がプロなら結果を出せという方向になってしまう。何かを変えてほしい、このままじゃだめだ。そう思うことはクラブを心底愛しているからだとも思います。

一方で負けてもいいやと思って試合をしている選手はいません。
動画で柿谷選手が話している、選手は一生懸命やっている。その気持ちもとてもよく分かります。

俺も(サポーター)やってる。俺も(選手)やってる。ファンもチームを取り巻く全ての人もみんなやっている。でもなぜこういうことが起きるのか。

僕の結論はクラブ理念でした。

そのクラブを応援する理由。好きな選手がいる。地元だから。知り合いがいる。家族がプレーしている。理由はきっとそれぞれだと思います。

大事なことは、で、僕たち私たちが応援しているクラブってどこを目指しているんでしたっけ?です。

僕が所属するいわきFC のミッションに

「いわき市を東北一の都市にする」というものがあります。じゃあそのためにどうすればいいの?我々いわきFCが「90分間止まらない、倒れない」「魂の息吹くフットボール」の実現がいわきFCのミッションの実現に必要な要素の一つなんだ。

いわきFCの戦略

僕は昨年このいわきFCのスプリントコーチに就任が決まってから、いわきFCについてとにかく調べました。YouTubeで「いわきFC」と検索してどんなチームなのかを理解しようと思いました。大倉社長のnoteも全て読みました。いわきFCはどういうクラブで、なぜこのクラブが誕生したのか、このクラブはどこを目指しているのか。初めてチームスポーツの一員になったわけなんですが、主観では何一つ戸惑うことなく毎日を過ごすことができました。それはなぜか。

いわきFCのクラブ理念があまりにも明確だったからです。


J2昇格!J1昇格!実にわかりやすい目標設定です。どうすれば昇格できるか。ルールは誰もが分かっています。ただ、いわきFCがJ1に昇格した!まあみんなサッカー上手いんだけど、でも、なんかサッカー自体あんまり面白くないんだよね。すぐ転んでシミュレーションばっかだし。選手あんまり必死で走ってる感じしないよね。ファンサービスも微妙だし。

例えは極端ですが、仮にこれでJ1の舞台に上がったとしても応援者は、サポーターは増えないなと思います。

チームがうまくいっていない、苦しい、結果が出ていない。その時に誰かを攻めることにあまり意味がなく、僕が私が応援しているクラブってどこを目指してるんだっけ?どういうサッカーをしようとしているチームなんだっけ?どういうきっかけで創られたチームなんだっけ?選手は?クラブは?サポーターは?クラブに関わる全ての人たちが考えるべきなのではないでしょうか。

今でも忘れられない、いわきFC山下優人キャプテンが僕に話してくれたこと。

「このクラブは選手がクラブ理念を理解しているので」

これを聞いた時に、このクラブは絶対にJリーグの中で唯一無二のクラブになると確信しました。

プロなら結果を出せよ。

この言葉は紛れもなく真実ではあると思います。ただその結果は勝ちでも負けであったとしても、勝ち方、負け方が大事なんだと思います。

とはいえ、毎回毎回負けてたらどうするの?
だからこそクラブに関わる全ての人たちが逃げずに、誰のせいにもせずに、現実と向き合わなければならない。残酷ですが現実はいつも正しいんです。

努力に価値も意味もない。それは違いました。

努力の方向が違っただけ。
我々はどこを目指して向かっているのか。
迷った時ほど、答えはいつもシンプル。なはずです。

そして、意味のある正しい努力にはきっと価値があるはずです。

チームであろうが、個人であろうが、アスリートであろうが、なかろうが、

それぞれの1番最初に期待に胸膨らませてこれに向かって頑張るぞと決めた何かを考えること。これが困難を乗り越えられるきっかけになると信じています。

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