トヨタの燃料電池車:miraiに明るい未来は待っているのだろうか?
今年の富士、24時間耐久レースには豊田章男社長のドライブする水素カローラが2年連続で参戦しました。豊田社長のラップも向上したほか、ピットイン時間が大幅に短縮されたことも注目点の一つ。バイオディーゼル車より、かなりいいタイムを出せるので、将来の伸びしろはきっと大きいかも!
さて、水素といえば市販車のMIRAI。モデルチェンジを経て2世代目に移行、後輪駆動になって、デザインもまずまず。なのはいいとして、まだまだ自動車燃料として馴染みのない水素はこれから有望なのだろうか?
自動車会社として開発の課題は小型軽量化。レース専用のカローラとは違ってMIRAIは燃料電池車。出すのは水と水蒸気だけ、ただ膨大な量の気体の水素が必要で、それを安全に格納できる水素タンクもまた高価、かつメンテナンスが大変。200気圧もの水素を大きなタンクに振り分けて、搭載スペースをひねり出すのは車重が2トンもあるMIRAIには容易でも大衆車や軽自動車だともっと効率のいい小型のタンクや置き場所が必要になってくる。
もしも、条件に適う小型の水素(燃料電池)カローラがそこそこの価格でデビューしたとしたら、我が家の玄関前に駐車する日はやってくるだろうか?そのためにはまず販売価格だが、そのほかにもまだまだ関門はある。
まず水素を格納する高圧のタンクの扱いが問題なのだ
高圧の水素タンクには数年ごとの定期メンテナンスが必要で、これが車検のインターバルとは一致していない。車検を通ってきても、タイミングが悪ければ翌年、タンクの検査のためにまた代車を借り出してくる必要に迫られる。それも、日帰りなら良い方で、長期のメンテナンス・交換の場合は1週間コースも覚悟だとか?
しかも、お近くのトヨタ店ならどこでも受け付けてくれるのかといえばそうはいかない。水素の扱いには専門の資格が必要でトヨタのお店でも、受け入れ可能な店舗は限られるというのである。
あなたがもしも日産リーフやサクラのオーナーだったら、フツーに車検に出して、思いのほか低額で戻ってくることに気をよくすることでしょう。でも相手は水素。安全に水素を持ち運ぶためのタンクには、まだまだ様々な安全基準や管理・検査が必要でそのための何日かをあなたは余計に奪われることになる。
まあ、これは今現在水素カローラが私にも買える価格で市販されていたらの話ですが、現在のMIRAIのオーナーにも求められるのが実情です。
トヨタという大メーカーが巨額の開発費を投じて市販化にこぎつけた、それは称賛されるべきトライアルですが、販売店サイドから見れば必ずしも簡単な話ではありません。これは、いくら開発・生産側が頑張ってみても、販売。整備のセクションが伴わないと結局ユーザーのメリットにはならない、というお手本のようなものです。
もしもあなたがお手頃価格のMIRAI中古車(それも即納可能な状態で)見つけて、近所の国道沿いにイワタニの水素ステーションがあるのを知っているならば、タンクのメンテナンスにかかる費用や時間のロスも一緒に検討しなければなりません。それがなかったら街中で見かけるMIRAIの台数ももう少し多かったかもしれませんね。ホンダも燃料電池車から撤退などせず、HONDAらしいミライを見せてくれていたことでしょう。
併せて社会的なインフラ整備も絶対に不可欠です。メーカーがどれほど頑張っても自前で全国に水素ステーションを拡充する余力はありません。その点日産が偉かったのは、リーフの発売時点で全国の日産販売店網に自前で、急速充電器を配置していたことです。これがリーフを即買いした理由の一つでした。
水素という燃料源の調達からデリバリー、そして充填した後のタンクの問題まで、一番の問題はまだコストが高いこと.これが足を引っ張っています。戦略的価格でガソリン車とそん色ない燃料代にはなっていますが、タンクのメンテナンスで、がっぽり頂いた補助金も結局は底をついてしまうかもしれません。
現行型のMIRAIがどんなに優れたクルマであっても、お財布に余裕が潤沢にあっても、広い心とバックアップカーがなければMIRAIが我が家にやってくる日は訪れそうにありません。(決して日産をヨイショしてトヨタにケチつけてるわけじゃありません。インフラ整備やタンクの安全基準など行政側の積極姿勢がない限り、いちメーカーがどんなにいい車を作っても、買ってもらえない!と言いたいあけなのです)
という訳で、もしも2030年までに水素カローラが出てきたら、サブスクでも何でも乗ってみたい、その前にマニュアル6MTのカローラを戦列に加えられたら・・・・・と、ガ―ガ―寝ている妻の傍で密かに夢を膨らませているのです