mediamixとナイト・フィーバーがカ・イ・カ・ンだったワケ

1970年代後半の映画「サタデー・ナイト・フィーバー」の大ヒットはアメリカばかりか日本も熱狂の渦に巻き込みました。
映画がヒットしただけではありません。サウンド・トラック盤は全米ベスト・セラーとなり、ここから5曲以上も連続してシングル・カットされ、ヒット・チャートのトップを半年も一つのレコード会社が席巻する記録的な大当たりとなりました。
映画を観た人はアルバムを買いに走り、感動の余韻に浸る。ヒット曲を繰り返し聞いたリスナーはどんな映画か、観に劇場へ足を運ぶ。映画と音楽業界が双方を宣伝媒体として補完関係を結ぶ最初の成功例と目されているのがこの映画でした。

この戦略をきっかけとして、メディア・ミックスという考え方が広まります。他メディアをライバルとしてではなく、宣伝媒体と捉えて協調し、複合効果を狙おうという戦略です。

日本でもすぐさま応用した会社があります。角川書店の御曹司が始めた映画製作(KADOKAWA映画)、その映画作品のテーマ音楽をヒット・チャートに送り込み、更には書店でも原作本のプロモーションを展開する。この戦略からはセーラー服のまま機関銃を持ってカ・イ・カ・ンと口走る薬師丸ひろ子、時をかける原田知世という少女、等々スターたちが生まれ、横溝正史の作品がベストセラーとして広く愛読されることになります。
金田一耕助が登場する横溝作品は何本も映画化され、そのたびにTVCFが繰り返し放送され、男子はプール授業の季節になると必ずと言っていいほど、水面であのポーズを真似したものでした。シンクロナイズド・スイミングが一般に知られるよりもずっと前の話です。

CMや書店でのセールのみならず、映画の主題歌を歌ったジョー山中の「人間の証明」がヒットすると、映画、書籍、音楽というメディアがセットで売れるというメディア・ミックスの効果が一層顕著となります。それは主演女優が歌う「セーラー服と機関銃」然り、原田知世の「時をかける少女」然りで、このころからは映画のヒットと主題歌のヒットは切っても切れない関係となってゆきます。

ヒット曲と結びつける手法はテレビ・ドラマにも多用され、最近の例では逃げ恥の恋ダンスがいい例です。こちらは動画サイトをも巻き込んだ社会ブームとしても捉えられ、ネットをメディア・ミックスに取り込んだ新たな例にも挙げられるでしょう。

反面、ネットの普及で苦境に立たされた雑誌というメディアが、これから先反撃の狼煙を上げるとするならば、こうしたメディアミックスの手法をとるのも選択肢に挙げられないでしょうか?QRコードを多用することで紙面には表現できない音や動画の世界をリンクさせるとか、購入者にのみ閲覧権利がもたらされるようなサイトへの誘導を袋とじに織り込むとか・・・・

新聞というメディアも、記事に対してのコメントや同意といったレスポンスをリアルタイムで表現できる媒体を共存させることで、より付加価値の高いメディアへと脱皮を図る日が来るのかもしれません・・・・・

ラジオ番組にリクエストのハガキを書き送り、数日後の放送を楽しみに待つ‥‥昭和でアナログなラジオの聴き方もファクシミリやメール、ツイッターに大部分凌駕されてしまいました。リアルタイムでレスポンスが返ってくるのは製作側としては嬉しい限り。反発する意見だって貴重な声の一環です。わからない事柄についてはリスナーがすぐに反応して答えを用意してくれる‥‥・こども電話相談室も商売あがったり??情報化社会の新しい伝達手段・関係強化が、ここ10年ちょっとの間にすっかり構築されてきた感があります。
それにはスマートフォンが果たした役割も非常に大きく、外出中でもラジオが聴取でき、時間差や地域差までもチャラにしてくれる技術と、そこから番組宛にレスポンスできる様々な手段が・・・・・・

でも、いまだにハガキのみに応える番組も少ないながら存在していて、リスナーは我先に採用される日を心待ちにしています。今もその人気の番組を聴きながらキーを叩いているわけで・・・・・

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