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大人になっても成長する私たち

はじめに

まず初めに、この記事ではビジネスパーソンが大人になっても成長し続ける、という視点で考察したものであることを一言添えたい。
仕事以外にも、趣味・育児・近所の人との関係などなど成長させてくれる機会は沢山ある。でも今回はビジネスシーンに焦点を絞って、私なりの考えをまとめていきたい。

人は仕事を通して成長する。その成長の度合いは、会社にある評価制度や一般論でいうキャリアのステップアップ以外にも、人としての器で測ることができる。

これがまさに成人発達理論であり、それをベースにこれからの人材育成のあり方を考えてみたら、なんともしっくり腹落ちしたので頭の整理の意味も込めて綴りたい。

成人発達理論とは

沢山書籍は出ているが、私のオススメ本はこちら。
なぜ部下とうまくいかないのか

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成人発達理論とは、
大人になってからも人はゆっくり時間をかけて成長していく。発達段階が上がっていくと物事を俯瞰的にみたり自分を客観視できるようになるので、物事を広く深く捉えることができるようになっていく
という考え方である。

前提として

 ​・発達段階が高いから偉いとか優越の話ではない
・自分よりも上の発達段階を意識することはできない
・発達段階は環境や置かれている状況、感情の状態で上下する
・水平的な成長(=知識などの向上)は発達段階に関係なく提供し合えるが、垂直的成長(=意識の器の拡大)は発達段階が上の人から下の人にしか与えられない


というのも特徴だ。

かなりざっくりだが各発達段階を記す。


発達段階1 : 成人前

発達段階2 : 利己的段階、道具主義的段階(成人の約10%)

・自分中心の世界観で、自分の関心事や欲求を満たすことに焦点が当てられている
・二分法的な世界観を持ち、自分と他者の世界も真っ二つにする
・次の発達段階に行くには、他者の視点に立つような訓練を積むと良い


発達段階3 : 他者依存段階、慣習的段階(成人の約70%)

・自分の意思決定基準を持っておらず、意見や考えを表明することができない
・自分自身の中に芽生えつつある自分独自の考え方や思いにまだ気付いておらず、組織や社会の決まり事に従いがち
・次の発達段階に行くには、自分の考えを言語化するような習慣づけを強化すると良い


発達段階4 : 自己著述段階(成人の20%未満)

・自分の意見や主張を明確に語ることができ、自分自身を合理的に律することができる
・他者を独自の価値基準を持つ大切な存在とみなし、敬意を表すことができる
・次の発達段階に行くには、(社内外の)他者からのフィードバックを受け、他者の視点を受け入れる器を作るのが良い


発達段階5 : 相互発達段階 (成人の数%)

・自分の価値体系にも囚われず、お互いの成長、発達を促すような触媒の役割を務める
・リスクをとり物事を推進する力をもっている
・人と組織の永続的な成長を促し、導いてくれる真のリーダーとなる

仕事を通して人の発達段階は上がる

変化がますます激しくなり現状維持は難しくなると、いわゆる発達段階3では太刀打ちできなくなる。
なので発達段階4の世界が見える人を増やしていくことが重要なのではないか。

ビジネスパーソンであれば一日の大半を仕事に充てる人が多いので、成長のチャンスは仕事の中に多くあるはずだ。
何より、自分一人でできる仕事は本当に僅かで、ほとんどが他者との関わり合いから成り立つのだから、他者の視点を受け入れる姿勢でいれば少しづつでも成長していくはずである。

2030年、人の育て方は変わるのか?

働き方も変化している時代

これまでの日本の働く環境は、1社に勤め上げる人が大半。そこから3回転職するのが当たり前の時代に入った。
雇用形態は正社員を最初に想定する人も多いだろう。

2021年の今はどうか?
副業兼業を許容する会社が少しづつ増え始め、社外で挑戦する人が増えてきている。
フリーランス、業務委託で会社と関わる、という働き方を選択する人も以前より増加傾向にある。

育成やフィードバックの方法に変化はあるのか?

私もそうだが、もっぱら育成の方法は座学の研修が使われてきた。研修の中でワークショップはあるものの、実践の場が結局社内になるので、良くも悪くも内輪で大事に育てよう感が出てしまう。そしてこっちも社内独特のルールや上司の顔色をつい伺ってしまう。

独立している人々はどうか。
自ら研修を受ける人もいるかもしれないが、自分が携わったプロジェクトの中でフィードバックや評価を他者からもらう機会というのは、実はあまりないかもしれない。

副業兼業ももっと当たり前になれば、自社以外での仕事にも割く時間も多くなるので、これまでのように常にその人の成長を所属企業が見ているわけではない。そんな状況での育成というのは、そもそも会社として何をすれば良いのか、企業も個人もまだ解をもっていないのではないか?

これからの人材育成は1社、1コミュニティにはとどまらない

所属するコミュニティは4個以上が当たり前の時代

この15年ほどで、インターネットやSNSが発展したこともあり、年齢層に関係なく、複数のコミュニティに属する人が増えている。
※総務省の調査レポート参照

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趣味の分野もだが、最近はビジネススキルを高めていくための学びの場としてサロンビジネスも活発だ。

これからは、様々なコミュニティの中で、多くの人と関わっていくことになる。
そのコミュニティの中で他者からフィードバックを受けて成長していくのだから、もはや所属企業だけで1個人を育てることには限界がくると私は思う。

特に成人の70%を占める発達段階3が発達段階4の世界を見るためには、他者との関わりの中で自分の価値観の軸を見つけ言語化していくことが重要だ。
社外のコミュニティというのはまさにその絶好のチャンスである。
社外の人と、仕事やプロジェクトを通して深く学び合い、その中で他者の価値観や新たな自分の一面に出会えるのだ。

見える世界が変わると、もっと自分らしく働けるのか?

発達段階を高るとは、自分の器を広げ、物事を広く深く捉えられるようになることである。

これができるようになると、例え変化が激しくとも、自分なりの価値観や判断軸を持ち、落ち着いて対処できるようになる。
逆にできないと、情報にだけ踊らされ、人の目だけが気になり、自分らしく成長していくことがどんどん難しくなるのではないか、と考える。

自分と誰かを比べるでもなく、自分の世界に閉じこもるでもない。自分がどうありたいか、どう働いてどう価値を社会に出していきたいか考えられるようになると、もっと自分らしく働けるのではないだろうか。

これからの人材育成のあり方

成長機会が社外にも広がっていく

これからは、自社だけでなく様々なコミュニティの中で、様々な人とプロジェクトを一緒に推進して行く時代になる。
そうなると、これまでのように自分の会社や上司だけでなく、もっと多くの人がフィードバックをくれる相手になる。
つまり、プロジェクトや所属するコミュニティの中でフィードバックしあったり、新たな価値観に触れ合っていくことになるのだ。

所属企業の上司以外の上司の重要性

会社にいると、いつも良い上司に恵まれるわけでもない。

なんなら、今いる会社が発達段階を高めるという観点でベストであるとも限らない。
もしくは、今の上司がすごく良くても、もしかしたら他の人の価値観に触れたら、内なる自分が更に花開くかもしれない。

いずれにせよ、今の自分の上司と全然違うタイプの上司が所属企業の外にもいて、定期的にフィードバックやアドバイスをくれたら器の広がりが更に加速するのではないか?

企業間でオープンに育成する仕組みが今後できるのでは?

企業は、いついなくなるかわからない個人の育成を自分たちだけで行い、転職された日には、時に失恋のごとく心を痛める。
転職も副業も当たり前になっていくのなら、もはや自社で抱えこまず、オープンに外と協力しながら、関わる全ての人を育てていく、そんなスタンスでいるのがこれからの時代にはしっくり来るのではないだろうか。

個人も、会社が育ててくれると安心仕切るのではなく、所属する全てのコミュニティに自分の人としての器を広げてくれるチャンスがあるという気概を持ち、自分自身も相手と成長していく気持ちでいれば、どんな変化が来ようとも、もっと自分らしく成長できるのではないか。

これからの人材育成は、実践ベースで、企業同士が協力しながら人を育てる。
それが組織の、社会の発達段階を高めることとなる。
そうなったら、仕事を通して成長していくことはもっと楽しくなるのではないだろうかと私は考える。

そこで、企業は自社で育成カリキュラムを作るのではなく、

・育成の一貫で週数時間、他社のプロジェクトに参加させ、そこでもらったフィードバックも評価やキャリア相談の材料とする
・他社も交えた斜めメンター制度(ナナメンター)をつくる
・副業兼業先での成果、先方からのフィードバックも加味して評価し、本人の今後のキャリアパスを考える

という仕組みを作るのはどうだろうか。
企業も個人も、今よりもっと成長でき、社会全体で人を育成していける、そんなことを思い描き今回は終わりとしたい。


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