夜中の自転車

　そろそろ寝ようとして、いろいろと支度をし、２階に上がる前に、縁側のような場所から、外を見た。

　古い木造の木枠のガラス窓。

　ここ１０年で建った近くのマンションの街灯などで、以前よりも明るくなったのだけど、当たり前だけど夜は暗い。

　特に日が暮れて、だんだん時間が経ち、午前１２時を超える頃は夜が重なってきて、余計に暗さが増して、黒くなっていくような気がするのは、普段から人通りが少ない場所ではあるけれど、終電がなくなったあたりから、ほとんど人が通らなくなるからだ。

　もう午前２時になる。

　早く寝なくちゃと思いながら、読んでいる本が面白くて、今でなくてもいいはずなのに、このときに全部を読まないと、その理解や面白さは変わってしまうのではないか、などと思ってしまって、読み切ってしまったので、遅くなってしまった。

　それでも、今日読み切って、よかったと思ったのは、まだイメージが自分の中に残っていて、さらに先まで進んでいくような気になるせいもある。

　同時に、やっぱり眠るのが遅くなると、疲れてしまうから、という微妙な後悔もあって、そして、寝る前に外を見たら、道路を自転車が通っていった。

　乗っているのは若い女性。カゴには大きめのバッグが入っている。

　その姿が、なにか変わっていると思ったら、実は２台の自転車がほぼピッタリ並んで、走っているのが、見ていたらわかった。

　もう一台の自転車も、おそらく同年代の若い女性のようで、その2台はスムーズに走って、視界から消えていった。

　そのわずかな時間に不思議な感じがしたのは、この時刻になると、街灯があるとはいえ、夜中で本当に暗くなっていて、闇が覆い被さった感じになっていて、それは、誰かが横切っても、そこに変化はないのに、今は、まるで昼間のようにちょっと楽しそうに、2台の自転車が通り過ぎただけで、夜中の重さがちょっと軽くなったからだ。

　ただ、都内だったら、それほどこの時刻に人が通ることは珍しくないし、同じように若くても、アルコールがらみに思えると、もう少し夜になじんでいるように見えるのだけど、夜中に、どこかピクニックでも行くかのような昼間の気配を、あれだけ振りまけるのは、あまり見たことがなかった。

　ちょっと不思議な気持ちになった。

　

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