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「小便小僧」という存在は、微妙であり続けるのかもしれない。
東京、山手線・浜松町駅には、「小便小僧」がいる。
ホームの上で、「放尿」しているのだけど、その勢いの強さに驚いた記憶がある人も、少なくないのでは、と思っている。
「小便小僧」の歴史
浜松町駅には、壁にもモザイクレリーフがあり、「1909」という数字があるが、これは浜松町駅が開業された年で、「小便小僧」が駅に設置されたのは、それより43年後になる。
1952(昭和27)年は、戦後未だ人々の荒廃が止まない時期であった。当局では、鉄道開業80周年にあたり、乗客へのサービス運動運動を繰り広げることにしていた。各駅ではホームに花壇をつくったりし始めたが、当時の駅長・椎野栄三郎氏は、「大阪を夜行で発った旅客が夜明けの東京に着いたとき、何かはっと目の覚めるようなものはないか」と考えていた。親しかった小林光院長(新橋駅の嘱託歯科医)に相談すると、蔵に眠っていた小便小僧を持ってきて、「こんなものでよかったら」と寄贈を受けた。それは小林氏の祖父の代から所有されていたものであった。早速、みかん箱を重ねて小便小僧を設置し、駅長室のトイレしか出なかった水をホースで引いて、水も出るようにした。しかし当初、「このようなものを公衆の面前にさらしていいものか」という迷いはあったという。
その後も、「小便小僧」に服を着せるようになり、それについても論争があったりしながらも、70年の歴史を刻み、今は浜松町駅のシンボルのようになっているのは間違いない。
排尿姿勢
「小便小僧」は、基本的には裸で排尿する、という状態なので、浜松町に設置する際にも、『「このようなものを公衆の面前にさらしていいものか」という迷いはあった』存在でもあるようだ。
元々、そうした葛藤を生む部分もあるのだけど、今後は、さらに違う論争を呼ぶかもしれない。
近年、様々な事情もあり、男性の小便の際も、座って行うことが推奨される家庭も増えてきた。
そうであるならば、迷いなく「立って排尿する」姿の「小便小僧」は、近いうちに、「まるで立ってすることが正しいかのような存在」として、新たに論争の的になる可能性はないだろうか。
恥ずかしながら、浜松町の駅に小便小僧のモザイクレリーフがあるのを初めて知って、「小便小僧」は、常に圧倒的に賛同されるような揺るぎのない存在。というよりは、場合によっては論争を生みやすい微妙な存在でもあるのでは、と改めて思った。
そう考えると、「小便小僧」は、現代美術的な要素も強いのかもしれない、とも感じさせる。
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