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いろいろなことを、考えてみました。

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自分の能力の足りなさを自覚しながら、いろいろなことを、考えて、書いて、考えました。
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2022年8月の記事一覧

「世の中は、それほど甘くない」のは、どうしてなのか。それを、改めて考える。

 随分と前のことだけど、不思議な高齢者に会ったことがある。  その当時、呼び名自体はなかったものの、後期高齢者というような年齢の男性だった。話をしていて、かなりそばで見ても、顔にシワがほとんど見えず、肌のツヤもよかった。  髪はほぼ真っ白になっていて、だから、それなりの年齢に見えるのだけど、話し方も柔らかく、空気感も穏やかだった。  微妙に現実感がない存在だった。  その人は、何代も資産家のようで、その当時の肩書きも自営業的なものだったけれど、自分とは、全く違うものを

夏の終わりの気持ち。

 毎日、猛暑日が続いていた。  命に危険が及ぶ暑さ。そんな表現をされるような状況だと、外へ出かける気持ちは削られる。さらに、新型コロナウイルスの新規感染者数が、世界最多が続いたから、個人的には外出を自粛する日々が続いた。  少し前までの夏は違っていた。  自分はそれほど縁はないけれど、清涼飲料水のCMのように海で山で、やたらと楽しそうにしている若い男女の映像に代表されるような、あの「浮かれた夏」だった。  その夏でなくなったのは、何だか寂しい気持ちだった。  何しろ

テレビ画面に映った「風景」が、やたらと気になる。

 ロンドンブーツが深夜の番組で、「ガサ入れ」というコーナーをやっていたことがある。  それは、主に若いカップルのどちらかが、相手の行動が怪しいから、浮気などをしていないか、調査してほしいという依頼を受けて、ロンドンブーツの二人が、その住居を家探しする、という今では考えられない企画だった。  当初、ロンブーの二人は、気が乗らないように見えたが、そのうちに、この番組の人気が上がったせいもあったのか、だんだんと気持ちが入っていくように見えた。特に田村淳の、相手をうまく誘導してい

「永遠の微調整」という言葉で、考えたこと。

 テレビを見ていて、妻が強く反応した言葉があった。  「永遠の微調整」という表現だった。  政治学者・中島岳志が、政治学の文脈で使った言葉を、歌手・UAが、自分の歌詞に使うほど響いたというエピソードが語られていたのだけど、妻にとっても、メモをとるほど、届いていた。  そして、妻の熱気に影響もされているのだけど、私にも確かに伝わり、それは「人とのつながり」に関わる表現にも思えた。 「人とのつながり」 人と人とは、細い糸のようなものでつながっている。  それは、古い言い伝

「常識」はウソのように変わることがあるのを、「乳酸」が教えてくれた。

 歯磨きの仕方は、今の「常識」は、どうなっているのだろうか?  個人的な記憶だけど、最初は、歯に向かって横にゴシゴシと磨くのが正しかった。そのうちに、縦になり、さらには歯茎に当てるようにしてかきだす。になったはずだけど、そのたびに、これまでの「常識」はなかったように扱われていた。  本当だったら、これまでの「常識」のどこが間違っていたから、次の「常識」に移ったというような説明をきちんと聞いていれば、もっと納得がいったはずなのに、その理由は語られることがなく、「常識」が変わ

「あなたは組織の人間だから」は、今は、人を黙らせる力が強すぎると思う。

 毎週、録画して見ているテレビ番組はいくつかある。  この番組で、さまざまな放送局のアナウンサーが集まり、悩みを相談するという企画があった。  その中で、耳に残ったのが、この言葉だ。  「あなたは組織の人間だから」  この時は、笑いと共に語られていたのだけど、この言葉は、シリアスな場面で使われる頻度と、その相手を黙らせる力の強さがどんどん増してしまっているような気がする。  それは、ちょっと怖いことだと思う。 「組織」の変化 私自身は、組織にいる時間は短かった。

「普通」という言葉の「暴力性」について、考える。

 もう何年も前になってしまったのだけど、「普通」を「フツウ」という表記にした講演会を聴きに行った。 「普通の幸せ」 こうした話を無料で聞ける機会が、それも土曜日に開催されるのはありがたいと思いながら、出かけて内容は興味深く、質疑応答の時間も比較的、長くとってくれた。  講演を聴いていて、もし時間があったら聞いてみたいことがあったのだけど、その前に男性が質問のような、意見のような言葉に対して、早口で、しかも本当に有無を言わせないほどの「正しさ」で講師が言葉を次々と並べていっ