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「永遠の微調整」という言葉で、考えたこと。

 テレビを見ていて、妻が強く反応した言葉があった。

 「永遠の微調整」という表現だった。

 政治学者・中島岳志が、政治学の文脈で使った言葉を、歌手・UAが、自分の歌詞に使うほど響いたというエピソードが語られていたのだけど、妻にとっても、メモをとるほど、届いていた。

 そして、妻の熱気に影響もされているのだけど、私にも確かに伝わり、それは「人とのつながり」に関わる表現にも思えた。

「人とのつながり」

 人と人とは、細い糸のようなものでつながっている。
 それは、古い言い伝えで言えば、「赤い糸」の話に似ているかもしれない。

 だけど、それとは違うのは、私のイメージでは、そのつなぐ「糸」は細く、それもお互いに伸びてきて、つながるけれど、その関係や気持ちの変化によって、何本にも増え、場合によっては、切れることも少なくないことだ。

 二人の人間の間で、毎日のように「つながりの糸」は増えたり、切れたり、それが無数に繰り返される。お互いに、気にかけることで、「糸」は伸び、受け入れられる結果として、つながりが強くなっていく。

 だけど、いったん無数の「つながりの糸」でしっかりと結ばれたとしても、それで安心して、何もしなければ、次々と「糸」は切れてしまう。その「糸」を一気に何本も結ぼうとするような大げさなこと、昔で言えば、普段は関係を大事にしないのに、1年に1回、海外旅行に連れて行けばいい、といった粗い作業では、本当にしっかりとつながらない。

 だから、人と人との関係は、当然なのかもしれないけれど「永遠の微調整」が必要なことを、私は結婚して、年月を重ねることで、少しずつ分かってきたような気がする。そして、それを大変なことと思わないような相手と一緒に生きてこれたことは、かなり幸運なのだとも思う。


 さらに、そうした人とのつながりは、誰とでも存在して、例えば、一回しか会わないような人で、一瞬ですぐに切れてしまう「糸」であっても、その瞬間にできる「つながり」を、可能な範囲で、丁寧に「微調整」し続けることはできる。

 そのことで、人間関係は、より豊かになるし、その繰り返しが、自分自身だけではなく、社会全体の幸福感を増していくことに(とてもわずかだけど)つながるはずだ、とどこかで信じている。

 そういう地味で些細と思える作業も、未来のためにできること、だと思う。




#未来のためにできること   #永遠の微調整


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