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猫の目の大きさが違うと思ったら〇〇だった話

この記事は2022年の6月から9月までの3か月間続いた我が家の猫「タイガ」の闘病履歴です。

猫に限らず何でもそうだと思うんですが、心配しすぎも良くないけど、心配しなさすぎも良くない事があります。
特に猫は喋らないし、余程症状が悪化しない限りは痛いとか痒いとか症状が分かりません。

目に見える症状をググって答えがあったとしても、誤った事と誤解してしまう場合もありますし、獣医さんに診てもらっても原因が分からない場合もあります。
脅す訳では無いんですが、猫や動物を飼われている方はご一読して頂き、こういうケースもあったと言う事を記憶に留めて頂ければと思います。

タイガの基礎データ

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写真右のキジトラ猫がタイガ(♀)

2010年の8月に左のミルク(♂)と共に保護親さんから譲渡して頂き、2022年現在12才の女の子です。

2才の時に子宮摘出済、6才くらいの検診時に片方の腎臓が縮小してほとんど機能していない事が判明。
原因は不明ですが、それ以来腎臓ケアのカリカリ餌をずっと食べさせており、血液検査等の数値は良好です。

おや?目の大きさが…?

6月上旬頃の夜、ふと奥さんが机の下にいるタイガを見て、「タイガの目の大きさが違ってるw 光が当たっているところと影になっているとこで違うのかなw」と言いました。

その時はそういう事もあるのかな、と思って特に確認もせずにスルーしましたが、その数日後にマジマジと見てみると、確かに大きさが違う

「右目が小さい」ように見えます。
早速「猫 目 大きさ違う」で検索してみると、

猫の瞳孔は一般的に左右対称になっているので、左右で瞳孔の大きさが違うというのは正常な状態だとは言えません。 例えば、「猫の瞳孔の大きさが違うことに気が付いたけど、数日で元に戻った」という時などは、心配するような大きな病気ではないことがほとんどです。

ねこちゃんホンポ

こんな記事がトップに出てきて「大きな病気ではないことがほとんどです」と言う文言に安心したものの、奥さんが症状を見つけてから数日経っているので、念のためかかりつけの動物病院に電話しました。

すると、「診てみない事には何とも言えないので、一度受診してほしい」との返事でした。まぁそれもそうだと思い、2日後に有給を取り、病院の予約を取りました。

眼圧高っ、緑内障かも?

獣医さんに診せると、「左目の瞳孔が大きくなってますね」との事。
右目が小さいんじゃなくて、左目が大きいそうです。

まず行ったのは眼圧検査。

これはネットで拾った画像ですが、目に麻酔点眼をした後に機械でトントンと軽く叩き、目の圧力を計測します。

タイガはものすごく従順な猫で、お尻に体温計を入れる時も、上記写真のように目をトントンする時も、全く鳴かず微動だにせず、毎回獣医さんが驚いてましたw

計測の結果、左目の眼圧値は50超えでした。
通常は20未満との事なので、倍以上の圧力があり、目がパンパンになっていて、痛みがある状態との事です。

人も猫も、目の中にある房水が涙による排出によって目の中の圧力が保たれているのですが、房水が流れ出にくい症状になると溜まり続けて圧力が上がります。
この状態が悪化すると、最悪で失明となります。

とにかく、何故眼圧が高い状態になっているのか原因を突き止めないといけないとの事で、検査をする事になりました。

血液と血圧の検査、目のエコー検査、レントゲン検査を行うために半日入院させる事になったのですが、夕方に再度病院へ行き結果を聞くと、特に異常は診られないとの結果でした。

異常は無いけど、眼圧は高い、そこで獣医さんは「緑内障かもしれない」と初めて病名を口に出しました。

緑内障って、人間だと年配の人がかかる病気で、失明とかはあるからもしれないけど、死ぬことはないよな…とその時は楽観的に受けました。

そして、眼圧を下げる効果のある点眼液(チモロール)を2~3時間置きに点眼して、経過を診せてもらいたいと言われました。
2~3時間置きって結構大変だけど、奥さんと手分けして行う事に。

因みに、この日の治療代は39,000円くらいでした。

眼球摘出?

翌日、再び病院へ行き眼圧検査すると、30辺りまで下がっていました…が、獣医さん曰く
「点眼によりこの数値を維持できればこのままでも良いけど、おそらく視力はもう無いですし、あまり長くは続かない事が多いです。長くても1年とか…、その後は眼球の摘出をする事も考えて下さい」

え…マジ?
もう左目は見えてないの?
目取っちゃうの?

色々考えましたが、また次の日来てくれと言われたし、きっちり点眼をするしか術は無く。

翌日検査をすると、また眼圧は上がっていたので、点眼薬を増やす事になりました。トルソプトと言う薬で、こちらは6時間置きとの事。

ここまでで4日連続通院している訳ですが、最初を除く3日間の眼圧検査についての治療代は9,000円くらいでした。つまり、合わせると7万円弱はかかってるって事ですね…、通院と点眼と仕事と子どもの世話で感覚が麻痺してましたけど。


更に3日後に通院。眼圧は相変わらず高く、獣医さんもお悩みモード。眼圧が高い状態は悪い状態なので、どうにかしないといけない。

僕の方からは、摘出は最後の手段としたい旨は伝えているので、獣医さんも相当考えたうえで、こう提案されました。

「眼圧が高い状態の原因は分からないけど、何かしら炎症が起きている可能性はあります。どうせ、この後摘出の処置を行うのであれば試せる事は全部試したいので、ステロイドを使いましょう」

薬の名前は失念しましたが、ステロイド系の点眼薬を処方されました。


3日後に再び検査。なんと眼圧は下がりました!
今まで40後半だった数値が20後半まで下がりました。

これで摘出手術はしなくても良いかも…?と言う感じでしたが、まだまだ安心できる状況ではないので、再び一週間後に検査する事に。

一週間後に眼圧検査をすると、20後半まで下がった眼圧は30半ばへ戻っていました。
獣医さんとの重苦しいムードの中、タイガの左目を見ると、なんか傷っぽいものが。
「この傷のようなものは大丈夫ですかね?」と言うと、
「どれどれ…あ~ステロイドの影響で傷ができちゃってるかも」
傷があると黄色く跡が残る点眼液をしたところ、バッチリ残っていたので傷ついた状態でした、傷があるからにはステロイドは使用できないと言う事で、ステロイドは中止。その代わり点眼液が2つ増えました。
傷を保護する「ヒアルロン酸」と「ロメワン」と言う点眼薬です。

点眼薬は増えましたが、処方された4種の点眼薬は全て6時間置きになりました。そして、次の点眼薬との間隔は5分開けなければならない…。

つまり、毎日6時間置きに5分置き点眼を4回行う訳です。
5分置き点眼4回って、スムーズにいっても、最短でも20分かかりますからね。タイガは逃げずに点眼を受け入れてくれたので、点眼の都度逃げ回るような猫だったら心が折れて、早々に摘出手術を選んだかもしれません。

点眼は、僕と奥さんで分担して行っていました。
専用のLINEグループを作り、点眼したら投稿するようにして、何が何時に点眼されていたのか分かるようにしていました。

この方法だと、点眼毎の5分間隔が簡単に確認できて便利

ちなみに、点眼薬は1つ3,000円くらいです。
ステロイドも3,000円くらいだったんですが、1週間使って止めましょうって言われた時には複雑な心境です。

セカンドオピニオン

最終的に眼球摘出は避けられないとしても、お世話になっている動物病院は眼の専門ではないので打つ手なしの状態のようです。
そこで眼の専門病院を診てもらっては?と言う話になり、都内の動物眼科病院を紹介してもらう事になりました。

まず病院の方から眼科病院へ連絡を取ったのですが、そこでラタノプロストと言う点眼薬が効果があるかもしれないとアドバイスを頂き、翌日病院へ行きました。

そして、そのラタノプロストを一度使った翌日がこれ

一滴3,000円か…と辛い気持ちになったと同時に、その眼科病院は大丈夫なのか、と思ったのも事実です。

更に翌日、眼圧検査をすると50台の数値
効果が出ていない点眼を止めたいと言ってはみましたが、点眼を止めたら更に悪化する恐れがあるとの事で継続を言われ、眼科病院受診までは様子見と言う事になりました。

そして4日後、眼科病院の日。

クソ暑い中、首都高を走り、めちゃ狭い道を走り、何とか病院着。
眼科専門と言うだけあり、機材は専門的なものがたくさん。
今までの眼圧検査は麻酔をした後にやってたけど、ここは麻酔無しでやってたので驚いた。

小一時間ほど検査を行った後に眼球の写真をたくさん並べられて、獣医さんに説明されました。
診断結果は、今までとほとんど変わらず「緑内障」「視力は回復しない」「眼圧が高い原因は不明だが、眼球摘出は悪化を防ぐ合理的な治療法」との事でした。

結局摘出手術をする他無い、と言う事ですが、最後に「眼房水が抜けていない状態を改善する点眼薬があるので、試す価値があるかもしれない」と言われ、レスキュラと言う点眼薬が処方されました。

「試す」って言葉はこれで三回目なので嫌気がさしてたんですが、とりあえず藁にも縋る思いでやるしか無いですね。

これで一日に挿す点眼薬は再び計4種に。
ちなみに、この日の治療代は39,000円ぐらいでした。

そして、今までの点眼薬の他にレスキュラを行い、夜になってタイガの目を見てみると…

またか…と思いつつ、病院に電話してみたら
「それは薬の症状なので問題無いです、昨日伝え忘れました、ゴメンゴメンw」
…おいっ!とツッコミたいのをぐっと堪える。

そして、次週は半年に一度の健康診断をかかりつけ医の方で予約を取っていたので、そこで今回の検査結果報告をする事にしました。

そして手術へ

翌週、ミルクとタイガ2匹を病院に連れていき、ミルクは健康診断、タイガは相変わらず眼圧は40後半となっているので手術へ向けての相談。

すでに12才と猫としては高齢の部類に入るので、まずは全身麻酔ができる状態か検査をする必要があります。血液検査をして翌週へ。

翌週の7/31。眼圧検査を行うと、50台に逆戻り。
血液検査は問題なく、内臓も年齢にしては若いと言われ手術(正確には全身麻酔)は可能と判断されました。
手術の具体的な話になり、日程は8/26に決定。2~3日の入院で治療代は術後に清算するけど約20万円くらい。一週間前から飲ませる錠剤が処方され、手術の時に前金として現金50,000円を預けるなどの話をされました。
前金システムは違和感がありましたが、おそらく、病院に預けた後に引き取りに来ない心無い飼い主とかいるんじゃないかなぁと推測。

もう摘出するんなら点眼止めても良いよね?と聞いてみたら、手術の日まで現状維持はしてほしいとの事で続けるように言われました。
正直言って、ここからの約1か月の点眼は複雑な心境でした。

子どもは夏休みなのでどこか連れていってあげたいけど、6時間毎の点眼が必要だから遠出はできない。個人的な事を言えばFP試験が9月にあり、その勉強もしたいとか、また、子どもが歯の矯正をした方が良いと歯科医から言われて、治療費が75万円現金先払いと言う話もあり…まぁ悶々としていましたw

コロナ禍でもともと遠出はする気は無かったんですが、子どもが「〇〇に連れていってー!」と駄々をこねる子じゃなかったのが救いですw

手術当日まで、タイガは全然具合悪そうじゃなかったし、摘出しなくても良いんじゃないかなぁと半信半疑だったんですが、後の病理検査の結果を聞いて「危ねっ!取っておいて良かった」と今は思っています。

そして手術。
当初は手術後に面会に来てあげてほしいと言われましたが、麻酔が効いていて意識も無いような状態なので、翌日来て下さい、との事。

そして、翌日に面会。

顔や傷口の写真はグロいんで避けますが、左目は縫っており、体液が出るので目の下にドレーンが刺されていました。鳴く体力も無く、僕に反応してこちらを向こうとするものの体勢が辛いのか、ガクリと向こう側へ倒れる事を数回。

う~ん、辛そうだ…と見ていると、獣医さんが小さいジップロックみたいな物を持ってきて、見ると中には直径3cmくらいの丸いティッシュのようなブヨブヨした物が入っていました。

これ、摘出した眼球です。普通の眼球よりブヨブヨしている感じがしますね。原因究明のために病理検査に出そうかと思うんですが、どうですか?」

もう摘出しちゃったし、検査したところで何がどうなる訳でも無いんだけどなぁ…と思いつつ「あ、はい、分かりました」と返答。

後日の領収書を見て、「(検査には15,000円かかりますが)どうですか?」と言ってほしかったなぁと思うんですが、後の結果を知った時にはやってよかったと思ってます。

「できれば毎日お見舞いに来てあげてほしい」と言われ、翌日も行こうかと思ったけど、子どもに健康の尊さと言うか、家族の危機を体感してほしかったので、翌日は奥さんと子どもを病院へ連れていき、面会させました。

その日の様子は動画で送ってもらいましたが、少し鳴くようになっていました。
でも「ニャア」じゃなくて「ビャア」って感じですね。
人間で言う苦しみや悲鳴のように聞こえました。

その後タイガの方は何もありませんでしたが、ミルクの方が少し落ち込み気味…?

まぁ、タイガが戻ってくれば元気になるだろうと思い放置、それから4日経ってタイガは無事退院する事ができました。

退院時にエリザベスカラーが用意されていましたが、2才の時に買ったものがあるのでそれを伝えて購入はしませんでした。

よほど体格が変わらない限りは何才になっても使えるので、捨てない方が良いですよ!

手術・入院の治療代は、200,295円でした。

paypayで払った時にボーナス来い!と念じましたが当たらず、2,002ポイントが加算されました。

そして退院、病理検査の結果は

病院から家に帰るまで、鳴き声はずっと「ビャア」だったんですよね
いきなり病院に連れていかれて起きたら目に激痛があるわ、変な管が刺さってるわで、恐怖しか無かったんだろうな…と。

それが家に帰った途端「ニャア☆」に変わったので、余程嬉しかったんだろうなと思います。

これでめでたしめでたし…と思いきや、長年の相棒がいきなり片目になって帰ってきたもんだから、今までの寂しさ+ストレスで食欲減退&吐くようになってしまいました。翌週、術後検診の予約は取っていたのでミルクの予約も追加して、病院へ。

ミルクの診断については、先月の検診から400g減。やはりストレスの影響だろうと言う事で吐き気止め&胃薬。
タイガについては、特に問題は無いものの、眼球の病理検査の第一報が届いたとの事で聞いてみると「腫瘍があったみたいです。メラノーマがどうたらこうたら…」と簡単に説明され、新しい火の呪文か?と思いつつ、渡されたレポート用紙を読みました。

「悪性黒色腫…?これって癌って事ですか?」
「はい、そうです。」

癌…?

一瞬で頭の中が真っ白になりました。

もしも、6月の時点で、目の大きさが違うなんて良くある事だからと獣医に相談しなかったら…

もしも、8月の時点で、普段は痛そうにしてないから点眼を続けようと判断していたら…

目から癌が転移しまくって取り返しのつかない事になっていました。

「今回は早期に受診して頂いて、摘出までできたので、転移している可能性はほとんど無いと思います。」

獣医さんがそう言ってくれたので安心しましたが、いやホントに「危なかった…」の一言。

術後の経過

傷口を引っ掻くおそれがあるのでカラーは付けたままでしたが、術後二週間目の検診でも特に問題は無く抜糸。

その後カラーを外したんですが、何故かオマタの部分をペロペロ舐めすぎてハゲてしまいました。
再度診てもらったところ原因は不明だけど、痒み止めを処方してもらい、一週間程度で完治。

暫くタイガとミルクは近づこうとせず距離を取っていましたが、一か月もすると元の状態に戻りました。

この三か月は猫の通院に加え、子どもの歯の矯正、夏休みイベント、各ワクチン接種対応だったりで、何の予定も無い休みがほぼ無い状態で本当にキツかった。

タイガについては、半年毎に健康診断を行っており、来年の1月には癌の転移が無いかを診るので、まだ油断ができません。

この記事を見ている方はペットを飼っている方がほとんどだと思いますが、お金と心の余裕は確保しておかないと、いざと言う時にパニックになるでしょう。

子どもの歯の矯正代と併せて、この半年で我が家から100人以上の諭吉さんが旅立っていかれました…。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。


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