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ジャズに関するいくつかのこと

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私の描くイラストは、ジャズとは切っても切り離されない関係にあります。ジャズナンバーがタイトルのイラストもいくつか描いています。  ここでは、ジャズに関係するエッセイを綴っています。
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月花舎・ハリ書房オープンに寄せてー小説「手探りの夢のかけら」

月花舎・ハリ書房オープンに寄せてー小説「手探りの夢のかけら」

『月花舎・ハリ書房』
東京千代田区神保町、靖国通り沿いのビルの看板の一角にその文字が輝いて見えている…。2024年4月にオープン予定の月花舎・ハリ書房の内覧会に足を運んだ。
広々とした店内、粋な内装やアンティークな家具など、随所に四谷茶会記の面影も感じさせてくれる。
素晴らしい空間を今回も作ってくれているマスター福地さんはいつものように穏やかに出迎えてくれた。

『月花舎』…この言葉を初めて福地さ

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ビル・エヴァンスの厳しさとは何か?

ビル・エヴァンスの厳しさとは何か?

ビル・エヴァンスはジャズミュージシャンの中でも知名度が高く、幅広く支持されている印象がある。

ジャズの歴史的な貢献から言っても凄いジャズピアニストであることは周知のことであると思う。

一方で、有名なアルバム『ポートレート・イン・ジャズ』での写真にあるように、眼鏡をかけ、髪をぴっちりとセットしてスーツを着ているといった印象が強く、見た目はどこかインテリのビジネスマンのような感じだ。

『マイ・フ

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コルトレーンサウンドと音楽のなせること

コルトレーンサウンドと音楽のなせること

人生の中で自分を支えてくれたり励ましてくれる特別な音楽というのを持っている人は多いのではないかと思う。

それがロックやポップスだったり、日本の音楽だったり、洋楽だったりと人それぞれだろう。

私の場合、それはコルトレーンのマイフェイバリットシングスの演奏だった…。

北海道出身の私は、地元北海道のデザイン専門学校の商業施設デザイン学科を卒業。
上京して、ある建築会社へ就職した。

しかし、若気の

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押し入れの中のジャズ喫茶

押し入れの中のジャズ喫茶

以下の文章は去年の春、高校時代からの親友、喫茶茶会記(現、茶会記クリフサイド)のオーナー福地さんへ向けた寄稿文です。

大京町茶会記最後の残り香… すでに3分の2の荷物が運び出された、旧茶会記の喫茶室にお邪魔させてもらった。

カウンターはじめ、主要な設備はなく、音源も小さなスピーカーが一つ。まるで倉庫のような
空間で、店主福地さんにジャズを聴かせてもらう…。

そんな中、ふと20年以上も前の出来

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ワルツフォーデビーに込められたもの

ワルツフォーデビーに込められたもの

ジャズをあまり知らない人にジャズのアルバムを聴かせるとなった時、やはりビル・エヴァンスの"ワルツフォーデビー"を選んでしまう。そうすると概ね好印象を持たれるのだ。

"ワルツフォーデビー"は日本でのジャズアルバムセールスで最も売れているアルバムの一つらしい。おそらくジャズファンじゃない人たちも購入しているのだと思う。

タイトル曲の"ワルツフォーデビー"はビル・エヴァンスのオリジナルナンバーであり

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