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ハードコアとビジネスについて(前編) / SICK OF IT ALL vs BORN AGAINST

SICK OF IT ALL vs BORN AGAINST DEBATE ON WNYU(翻訳記事)

(youtube概要欄の直訳 ※この説明も微妙かもしれないが)
一方は、スティーブ・マーティン(In Effect Recordsの創設者、元Agnostic Front)、SICK OF IT ALLのルーとピート・コラー、Evacuate Recordsのサムが、1980年代後半のニューヨーク・ハードコア・シーンにおける商業的動機に基づくハードコア派閥とされる人物を代表している。もう一方は、ニューヨーク・ハードコアに関わるポピュリスト、DIYパンク派を代表するのが、BORN AGAINST/Vermiform RecordsのSam McPheetersとAdam Nathanson、Rorschach/Gern Blandsten RecordsのCharles Maggioである。

このnote記事は、90年代のハードコアの有名/重要な議論、WNYUで放送されたものを文字起こししたものです。SICK OF IT ALL vs BORN AGAINSTという構図になっており、それはハードコアでビジネスすること、DIYとは、大切にすることは何か、という様々なテーマにつながる問題提起になっている。そして当時の問題提起が、今の視点からみてどうだったのか自分たちはもう答えが出せるところにいるというところもポイントです。

聞き取りによる文字起こしを元にnote用に再編集したものです。何か間違いや指摘事項があれば是非ご連絡ください。また、言っている内容がよく理解出来ない箇所や音声が不鮮明な箇所、途中の言い合い/怒鳴り合いなどのパートは本質ではないので省略しています。

また、それぞれのセリフの前に「S」「B」と記載していますが、誰が誰の声なのか判別するのが難しいためSICK OF IT ALL側をS、BORN AGAINST側をB としています。本質的には「誰が言ったのか」は重要ではなくどういう言い合いだったのか、というところだと思いますので詳細まで知りたい人は自分で調べてください。

(参照元 : https://www.youtube.com/watch?v=r6M5UYqtR5w)

(司会)
この議論会は次のように進めたいと思います。
BORN AGAINSTの連中によるハードコアとは、ビジネスとはという問題提起が難しかったため、今気になっている問題をいくつか出してもらうことしました。 
ハードコアのビジネスについて議論をお願いいたします。
 

B:
バンドやレコード会社に関する嘘は何度も指摘されましたが、今知りたいのはあなたのバンドがレコード会社から歌詞検閲を受けているだろってこと。
それに対してどう答えるのか知りたい。 

S:
その手順についての説明はこうです。
各バンドがそれぞれの判断で、自分たちのレコードにこのような冒涜的な歌詞(Fワードとか)がないか確認します。
レコード店、ポップ・ストア、チェーン店、大型店、小型店など、さまざまなレコード店ですでに審査が行われています。歌詞カードに冒涜的な言葉が印刷されている場合は、このようなお店は取り扱いはされない。
しかし私たちがSICK OF IT ALLのレコードで行ったように、選択肢があります。1曲でも数曲でも、好きな曲の歌詞を載せる。そして、必要であれば、冒涜的な言葉を省略する。そして、レコードの中に、「この本来の歌詞を含めた歌詞全文が欲しい場合はここに連絡して」といいうアドレスを入れます。
これで店舗の検閲を乗り越えられます。「この曲は出さない、この曲は歌わせない」と言ってないのだから検閲にはならない。この方法であれば、すべてのキッズが歌詞を手に入れることができます。 

そうすることにしたのは、僕らのレコードがどこにでもあるようにしたいからだ。
なぜなら、私たちはDIYツアーに出てたり、小さな場所でも演奏するし、私たちのレコードは様々な場所にあるようにしたかったから。私たちは今までは決して届かない人たちに、ようやく届くことができるんです。 
「ショッピングモールであなたのレコードを見ることができるなんてすごい!」と声をかけてくれた子もいました。犯罪的行為だという人もいましたが、彼らは、レコードがそこにあって、9カ月も待ったり、ゆがんだり傷ついたりして郵送されてくる必要がないのは驚くべきことだと言っていました。

※3LA注:このあたりの発言は当時のUSの流通事情の悪さを思わせる。この記事はそもそもBORN AGAINSTを全面支持するための記事ではない。ハードコアパンクの反資本主義の思想を貫くBORN AGAINSTに対して、DIY/自立するための自分たちの経済圏/コミュニティを立ち上げようというSOIA側の対立構図となっている。ように見える。理想vs現実。

—- ここまで試し読み —--

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