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カンヌライオンズ2023 速報 - プリント&パブリッシング、ヘルス&ウェルネス部門

カンヌライオンズ2023が開幕しました。昨年に引き続き、各部門のグランプリ受賞作品について、速報的にまとめていきます。

初日は
・アウトドア(Track:Classic)
・プリント&パブリッシング(Track:Classic)
・ラジオ&オーディオ(Track:Classic)
・ヘルス&ウェルネス(Track:Health)
・ファーマ(Track:Health)
・ライオンズヘルス グランプリ for グッド(Track:Health)

の6部門の受賞作品が発表されました。

この記事では
・プリント&パブリッシング(Track:Classic)
・ヘルス&ウェルネス(Track:Health)

のグランプリを簡単にまとめます。


The Print & Publishing Lions celebrate creativity in circulation.
プリント&パブリッシング部門は、
流通するクリエーティビティを称えます。

The Health and Wellness Lions celebrate creativity for personal wellbeing.
Entries will need to demonstrate an inspired approach to consumer healthcare; exceptionally engaging work which promotes non-prescription products and services, publically educates to allow self-diagnosis or facilitates pro-active personal care.

ヘルス&ウェルネス部門は、
個人のウェルビーイングのためのクリエイティビティを称えます。
非処方箋の製品やサービスのプロモーション、自己診断のための教育、積極的なパーソナルケアの促進など、消費者ヘルスケアに対するインスピレーションに満ちたアプローチを実証する必要があります。


NEWSPAPERS INSIDE THE NEWSPAPER EDITION:プリント&パブリッシング部門グランプリ

Client:Annahar Newspaper

プリント&パブリッシング部門は、レバノンの新聞社An-Nahar(アンナハール)の"NEWSPAPERS INSIDE THE NEWSPAPER EDITION"がグランプリを受賞しました。アンナハールは昨年に引き続き同部門でのグランプリ受賞です。

↑ムービーはこちらから


*背景
アンナハールのかつての編集長 ゲブラン・トゥイニー氏は、レバノンで報道の自由を訴え続けていたが2005年に暗殺された。これに端を発し、2011年~2020年にかけてレバノン国内の6紙(Al Anouar、The Daily Star、Al Hayat、As Safir、Al Mostaqbal、Al Bayraq)が廃刊に追いやられてしまった。


*アイデア
トゥイニー氏の命日である12月12日の1日限定で、アンナハールの新聞に、過去廃刊となった6つのレバノン紙の一面を復活させた。1つの版に7つの異なる新聞が一堂に会した形となる。それぞれの記事はかつてその新聞を担当していたのと同じジャーナリストによって書かれており、人々が迫害を恐れることなく書きたいことを書こうという意志を表明した。


*結果
印刷版は完売。オンライン読者数の記録を更新。Twitterトレンドにランクイン。広告換算費1300万ドル(2023年6月時点で約18.4億円)。


アンナハールは、プリント&パブリッシング部門のグランプリ常連になりつつあります。2019年は『The Blank Edition』、2022年は『The Elections Edition』、そして2023年は『NEWSPAPERS INSIDE THE NEWSPAPER EDITION』でグランプリ。この部門における「パブリッシング」の比重は引き続き大きそうです。
※ちなみに2020/2021はDoveの「Courage is Beautiful」





THE LAST PERFORMANCE:ヘルス&ウェルネス部門グランプリ

Client:PARTNERS LIFE

ヘルス&ウェルネス部門は、ニュージーランドを拠点とする生命保険会社Partners Lifeの“THE LAST PERFORMANCE”がグランプリを受賞しました。


*背景
ニュージーランドは、世界で最も保険に加入していない国のひとつ。保険に対して無関心な人が多い。


*アイデア
ニュージーランドで人気のある殺人ミステリーテレビ番組「ブロークンウッド ミステリーズ」において、番組内で死んだ登場人物を”広報担当者”として起用した。毎回亡くなった被害者が遺体安置所に送られるシーンで終わるこの番組で、クレジットに入る直前、死んだ登場人物が目を覚まし視聴者に向かって語り出す。
例えば第1話では、シリーズ最初の殺人事件の被害者ジャニスを演じたNZ出身の女優メリル・メインを起用した30秒のスポットが放送された。ジャニスの死体が生き返ると、彼女はカメラに向かって「これは予想外だわ...息子たちはこれからママ無しでどうしたらいいの、ごめんね、生命保険には入ってないの」と嘆き、生命保険に加入することの重要性を強調した。
番組本編と同じ俳優、監督、撮影スタッフ、セットで撮影をしており、視聴者は保険会社のCMとしてこれが流れていることに気づかず見てしまうという構造になっている。


*結果
キャンペーン期間中のウェブサイト訪問数が135%増加。ファイナンシャルアドバイザーへの相談が75%増加。


死体に保険の広告という”ラストパフォーマンス”をさせる発想が面白いです。




その他の部門

残りの
・アウトドア
・ラジオ&オーディオ
・ファーマ
・ライオンズヘルス グランプリ for グッド

のグランプリについてはこちらをご覧ください。




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