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カンヌライオンズ2023 速報 - SDGs部門

カンヌライオンズ2023、最終日です。昨年に引き続き、各部門のグランプリ受賞作品について、速報的にまとめていきます。

最終日は
・フィルム(Track:Classic)
・グラス:ライオン for チェンジ(Track:Good)
・SDGs(Track:Good)
・グランプリ for グッド(Track:Good)
・チタニウム(Track:Good)

の5部門の受賞作品が発表されました。

この記事では
・SDGs(Track:Good)
のグランプリを簡単にまとめます。


The Sustainable Development Goals Lions celebrate creative problem solving, solutions or other initiatives that harness creativity and seek to positively impact the world.
SDGs部門は、創造性を発揮し、世界にポジティブな影響を与えようとするクリエーティブな問題解決、ソリューション、イニシアチブを称えます。



WHERE TO SETTLE:SDGs部門グランプリ

Client:MASTERCARD

SDGs部門は、MASTERCARDの"WHERE TO SETTLE"がグランプリを受賞しました。

*背景
ロシアによるウクライナ侵攻で、ウクライナ人口の約4分の1にあたる1000万人のウクライナ人が、ポーランドの首都ワルシャワに逃げ込んだ。しかし住居や仕事がないという危機からは逃れることができず、避難所生活を余儀なくされるという人道的な問題が立ちはだかっていた。


*アイデア
戦争から逃れてきたウクライナの人々がポーランドで仕事や住居を見つけるためのアプリ「wheretosettle」を、マスターカードが制作した。
マスターカードが所有する取引データと、ポーランド統計局が所有する給与情報を照らし合わせ、さらにポーランドの大手不動産プラットフォームと求人ポータルのデータと統合。カード、給与、不動産、求人という4つの情報をもとにして、そのユーザーにぴったりの住居と仕事の候補を複数提示する。
候補の提示場所の多くは、ポーランドに点在する小さな町。過疎化が進む地域に移民が定住することで、ポーランドのGDPが2~3%上昇する見込みがあると経済ジャーナリストが推定した。難民を救うだけではなく「難民がポーランドを救う」ということにポーランド国民が気づき始め、地方議員をはじめとして受け入れの機運も高まった。


*結果
移動してきた1000万人のうち、ポーランドに定住を決めたのは約150万人。そのうちの20%が「wheretosettle」を使って定住先を探して決めた。



あらゆるセクションをまたいでデータを統合し、ユーザーに最適なものをサジェストするというアプローチ。クリエーティブデータ部門でもBRONZEを受賞(あとPR GOLDも)していますが、SDGs部門でグランプリとなったのは「ウクライナ侵攻」というインパクトある出来事に対する問題解決だったからではないでしょうか。



そしてカンヌライオンズ2023、全日程が終了しました。今年は昨年と比べて、2冠3冠と複数グランプリを受賞するものが少なかったように見受けられます。
それだけ部門ごとに特色や重視点が際立ってきていたり、ひとつのアイデアで複数にまたがる課題を解決することが難しくなっているということだと推測しました。
個人的には「賞総なめ系」の企画もその年のヒーロー感があって好きですが、やはり今年のようにいろんな部門でいろんなグランプリが生まれている方が、広告クリエーティブの世界に彩りを感じられて面白いですね。来年の傾向にも注目です。



その他の部門

残りの
・フィルム(Track:Classic)
・グラス:ライオン for チェンジ(Track:Good)
・グランプリ for グッド(Track:Good)
・チタニウム(Track:Good)

のグランプリについてはこちらをご覧ください。※準備中





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